第88話 銀の翼の皆さん家臣になりましょう!
冒険者ギルドで銀の翼のメンバーに伝言を伝えようとしたら、冒険者ギルドのブッセ支部長の計らいで、2階にある部屋を1室貸してもらった。
そこで俺は、集まった銀の翼のメンバーと今後のことで話し合いをすることになる。
「まずはナーリッツ様、爵位の授与おめでとうございます」
「「「おめでとうございます」」」
「うん、むず痒いから周りに人が居なければいつも通りでお願いします。アルフレッドさん、ジャズさん、マーシーさん、ライラックさん」
「……そうか?じゃあ公じゃ無い場ではナツ君のままで……」
「その方が気が楽でしょ……最初に言っておきます。ここのギルド長のブッセ支部長にワイバーンの件バレました」
「マジか……罰則ある感じ?」
「いや、特に無いと仰っていたので、銀の翼の皆さんには影響は無いかと」
「ふぅ、それは良かった」
テーブルに俺が前に作り置きしていた菓子を並べる。
「まぁ菓子でも食べながら聞いてください」
「本当に便利だな。異空間魔法」
「羨ましいぞ」
アルフレッドさんとジャズさんが言うが、これは生まれ持った資質なので仕方がない。
まぁ俺の場合、神から与えられたチートであるが。
「本題に入りましょう。クラン創設の件覚えてるでしょうか」
「うん、勿論覚えてるわよ」
「クランではなく俺達の家臣として仕えてくれはしませんか?」
俺ははっきりと用件を口にした。
するとアルフレッドさんは驚いた顔をしながら
「良いのか?いや、クランを創ると言った時ももしかしたらナツ君達なら貴族になれるかもしれないと思って、クランメンバーなら家臣に組み込まれるかもなーという打算があったけど」
「現状フリーで家臣になってくれそうな人を俺達は銀の翼のメンバーしか知りませんし、皆さんなら約1ヶ月旅をした仲なので気心しれてますし」
「本当にいいのか?」
ジョンさんも聞いてくるが勿論と答える。
「ただ当面の間は住み込みで働いて貰うことになるんですけど……」
「いや!俺達は別に構わない。貴族の家臣になれるだけでも大出世だ!」
「そうそう。冒険者より安定した職業に就けるんだったらそっちのほうが私達的にはありがたいし」
「安定した職業……俺には縁が無いと思っていたが……これも運命と言うやつか?」
アルフレッドさん、マーシーさん、そしてジャズさんも喜んでいる。
ライラックさんは喋らないが、嬉しそうである。
「じゃあ俺の家臣になるということでよろしいですか?」
「こちらこそよろしくお願いします」
「「「お願いします」」」
家臣になってくれるということで、条件を更に詰めていく。
とりあえず各々の適性を見極めてから役職を振り分けるとして、給料は1人年俸白金貨4枚と金貨5枚。
食と住は提供。
金稼ぐために狩りに出ることもあるが、今後参加不参加は各々決める。
「これくらいか?」
「今後ナツはどう動くんだ?メアリー達が来てないのも何かあるのか?」
その問にメアリー達は屋敷で売り込みに来る人達への対応に当たっていると説明する。
ちなみに、売り込みに来た人達のうち、高い家柄でないメイドを3人と腕の良い料理人を2人、庭師を2人雇っていた。
流石にミクとクリスの2人だけではこれから家臣の人数が増えるので、手が回らないだろうと思っての登用である。
これ以上は現状雇うつもりがないのでまたの機会にと言って面接後落としているのだが、顔つなぎだけでもとまだ押し寄せる人が多かった。
「大変だな」
「本当ですよ……日中面接ばっかりで……そういうのはメアリーが得意なので結構投げちゃってますが、その他にも貴族としての最低限の教育を受けたり、辺境伯様からの依頼に向けた準備とか色々あって」
「辺境伯様から依頼?」
「地竜討伐ですよ……今度行ってきます」
「うわ……もうこき使われているじゃない」
銀の翼の皆さんにも何らかの仕事割りするので助けてくださいと懇願する。
でもできること少ないぞとアルフレッドさん達は言うが、今は戦力にならなくても、半年や1年後に戦力になってくれればそれで良いのでとも伝える。
「地竜討伐成功すれば男爵になれるし、なるべく領地を持てるように頑張るから、領地持てた時に代官できるくらい知識蓄えてくれているとありがたいかも」
「領地持つのか?」
「将来的にね。フォーグライン辺境伯領って魔物の領域が結構広がっているから、そこに住むボス魔物を討伐して、領域を開拓できれば、人が住める領域になるし」
「ワイバーン倒せるナツ君達が居れば魔物の領域の開拓もできるか……」
「まぁそれは結構先の話になるけどね」
将来の事を語っても、今回みたいにワープ進化みたいな事になってしまうこともあるし……。
「あと何か質問ある?」
アルフレッドさんやジョスさん、マーシーさんは特に無いと言われ、ライラックさんだけ気になることがあるから個別に話したいと言われた。
「個別に話しても良い?」
「なんだライラック?これか?」
ジャズさんは小指を立てる。
それは恋愛感情がある人だったり、恋人を意味するサインである。
ジャズさんはライラックさんにぶん殴られて、床に倒れ込んだ。
「そんなんじゃない!」
ブチギレライラック……怒りのパンチでジョスさんKO。
「じゃあ俺達下で飲んでるから終わったら来いよ」
「ごゆっくり~」
アルフレッドさんとマーシーさんがジャズさんを引きずって退室する。
「……コホン、正直こんなに早く貴族になるだなんて驚きました。改めておめでとうございます」
「ありがとう。ライラックさん」
一息ついてから個別に話したい事について聞く。
やはり転生関連だろうか?
「家臣になるって決めたけれど、ナツさん的には私に何を求めているか聞いておこうと思いまして」
「何を求めるか……さっきも言ったけど、将来的には領主を支えるような事を覚えて欲しいけど……ライラックさんはパーティーの金銭管理をしているんだよね?」
「ええ、あと交渉事をしているわ」
「となると商人達との交渉かな。家臣が増えるから食材の買い付けとか日用品の買い付け、アキが実験に使う素材の買い付けなんかも必要だし」
「アキさんの実験?」
「ああ、言ってなかったな。アキは錬金術師の才能があるんだよ」
「錬金術師……地球の方の意味?」
「いや、こっちの世界の方の錬金術師」
地球の方の錬金術師は科学者の前身、一方こっちは詐欺師の意味合いもあるが、特殊な素材や薬品を作る人という意味である。
「アキさんは本物の錬金術師なのね……」
「最近はワイバーンの血で作った魔力回復薬ばっかり作ってるけどな」
「魔力のポーションってこと?あれ凄まじく高くない?」
「普通の品質のでも1本金貨10枚だからな。アキの作るポーションはそれの数十倍の効能があるけど」
「そんなの作ってなにするの?」
「魔力を増加させるのに、寝る前に魔力を空にして寝れば僅かに魔力が上がるって前に言ったろ?」
「ええ、聞いたわね」
「あれ、魔力が空になった時にポーション飲んで、魔力を全回復させると睡眠と同じ効果を得られるんだよな」
「ということは寝なくても魔力を少し上げられるってこと?」
「そゆこと〜」
俺は両手の人差し指をライラックさんに向ける。
「ライラックさんも成長途上でしょ魔力。今からそのトレーニングすればある程度の魔法は使えるようになるんじゃないか?」
「滅茶苦茶金のかかるやり方ね……素材もワイバーンの血だし、錬金術の技術も必要だから、金額もプライスレスじゃないの?」
「同等の効能のポーションの値段知らないからわからねーな」
「住み込みで働くようになったらそのポーション飲ませてくれるの?」
「基本家臣達は全員そのトレーニングやってもらう。まぁ普通の人は途中で魔力量の増加が鈍化するタイミングがあるから、それが成長限界らしいが……転生者はどうなんだろうな」
「……運が良ければナツさん達みたいにワイバーン倒せるくらいの魔力を得れるかもしれないのね」
「まーな」
「私頑張るから!」
「おう!」
特に転生関連の話はすることなく、少し世間話や魔法についての話をして解散になるのだった。




