第68話 狩場での狩り3
朝から森に入って約4時間。
時刻は午後1時になり、狩場の中でも川辺の開けた場所に到着したので食事をすることに。
今日は事前に俺が料理を用意しておくから、マンシュタイン達には食事は用意しなくて良いと言っておいた、
マンシュタイン達も前のサンドイッチを食べてから、俺達の昼メシをお金払って購入するようになっていた。
同じパーティーだから金は要らないと言っていたのだが、学生の間は仮パーティーだし、貸し借りをあまり残しておきたくないと言う気持ちから、1食銅貨1枚もらっていた。
日本円換算で100円なので、凄まじく安いのであるが、金を支払ってくれると言う気持ちだけでもありがたかったし、外にあまり出せないワイバーンの肉を処理してくれるのもありがたかったので、この値段でサンドイッチだったりハンバーガーだったりを渡していた。
他のクラスメイトはそれを羨ましそうに見ているので、そのうち広まりそうだな……とも思っていたが。
話を今日の昼メシに戻し、開けた場所とは言え魔物や野生動物が沢山生息している領域。
あんまり匂いの強い料理を作ることはできないので、作り置きの物を出す。
ワイバーンの肉を詰めたミートパイ、町で売っていたズッキーニを醤油と胡椒で炒めたズッキーニのソテー、玉ねぎとトマトのマリネをプレートによそって、皆に手渡した。
「キタキタ! ナツの料理!」
「彩りも美味しそうだね」
俺の料理に慣れているアキとメアリーが喜びの声を上げる。
「異空間魔法便利だな……焼きたてをそのまま保管しておくことができるのか……」
「冒険者として1人いるだけで活動効率が段違い……パーティー組めて良かった……」
マンシュタインとスターの2人は冒険者としての視点で語っている。
全員にプレートとフォークとスプーンが行き渡ったのを確認してから食事を開始する。
「神に感謝を」
「「「神に感謝を」」」
一応この世界の食事の挨拶……いただきますの代わりを言って食べ始める。
「んん! サンドイッチにも使われる肉がパイに使われてる! これ好き!」
「ですよね~私も好きなんです」
マリーとシュネも隣同士になって楽しそうに料理の感想を言い合っている。
マンシュタインはズッキーニのソテーを食べて
「なんだこのソース……今まで食べたことのない味だ」
俺が気に入らなかったかと聞くと、まさかそんなと否定し、一口入れた時点で気に入ったと嬉しそうに話していた。
ミートパイだと料理のバランス的にさっぱりとした料理を副菜として出したほうが、ミートパイをより引き立てると思っての選出であり、ズッキーニのソテーとちょっぴり酢の効いた玉ねぎとトマトのマリネが案の定ミートパイをより美味しく引き立ててくれていた。
昼食を終えると、再び狩りに戻り、俺が獲物を見つけて、他の人達が奇襲するというのを繰り返しながら狩りを行い、あっという間に夕方となる。
「だいぶ狩れたんじゃないか?」
「そうだな……というか魔法が使えるとはいえ、これだけ狩れるんだったら普通に上澄みだろう」
俺が若干ボケると、マンシュタインから真面目な突っ込みがはいる。
「結局どれくらい狩れたの?」
マリーにそう言われたので、俺は荷車のある位置まで戻ったら1回全部出して確認してみようと答える。
帰り道も俺が居るので迷うことなく狩場の森を抜けて、最初の荷車のある位置に戻ってきた。
「じゃあ確認するぞ」
俺は異空間から今日狩った動物や魔物を取り出していく。
鹿16頭、狐5匹、猪7頭、熊1頭。
魔物はオークが20体、ホーンラビットが5匹、そしてブラッディベア1頭である。
「とても1パーティーが狩れる量じゃないね……」
「そうか? スター、俺達村にいた時はこれくらい毎日狩っていたぞ。売る場所が無かったから異空間に収納しっぱなしだけど」
「ええ……異空間がとんでもなく広いからできる芸当だけど、よくそんなに収納できるね」
「まぁ……やることが魔法の鍛錬と魔物狩りくらいしか娯楽無かったし……」
「どんな魔境よ……」
スターが俺の言葉に呆れているが、俺のパーティーになるってことは、このペースに付き合ってもらうことになるんだがな。
俺は出した動物達を異空間に仕舞い直して荷車に皆を乗せて町に帰るのだった。
町の近くに降り立った俺達はマンシュタインから少しは狩りの成果を周りに見せたほうが良いんじゃないか?
と提案され荷車に鹿を数頭乗せて検問所を通ることにした。
「衛兵さんお疲れさまです」
「お疲れさん、身分証を出せるか」
「はい」
俺達は感じの良い衛兵さんに仮の冒険者証を見せると確認してくれた。
「鹿をこんなにも狩れたのか……随分と優秀だな」
「俺達全員冒険者予備校の特待生なので」
「ああ、なるほど……そっか、もうそんな時期か。予備校生ならわかっていると思うが、このまま真っすぐ冒険者ギルドに行って素材の買い取りをしてもらってこいよ。商人と直接取引すると揉め事になるからな」
「わかりました」
俺達は荷車を押して検問所を抜けていくのであった。
俺達は真っすぐ冒険者ギルドに向かい、横の素材の買い取りをしている施設に馬車を引いて中に入ると、屠殺場の様な大きなナタや包丁、ナイフやノコギリなんかが壁に下げられていたり、若い人達がスキンヘッドのおじさんの指示に従いながら動物の解体を行なっていた。
スキンヘッドのおじさんがこちらに気が付き、近寄ってきた。
「んん? 見ねぇ顔だな……新米冒険者か?」
「冒険者予備校に通っているナーリッツと言います。狩りをした獲物はここで買い取ってくれると聞きましたが」
「おう、その通りだ。ここでは動物や魔物の買い取りをしている。状態を確認してからおおよその買い取り金額を提示し、納得がいったらサインを書く。冒険者予備校の生徒は予備校に換金額が転送されて、予備校の事務所で金を受け取るという手順になるな」
「冒険者だったら冒険者ギルドの方で金額を受け取るか、口座に振り込みができるんだがな」
「なるほど……参考になります」
俺達はスキンヘッドのおじさんから説明を受け、買い取るのは荷車の鹿だけかと聞かれる。
俺は他にもありますと言い、異空間から狩った動物や魔物を取り出して床に並べていく。
「おいおい、空間魔法が使えるのか坊主。なるほど……今年の予備校生は豊作みてぇだな……おい、ブラッディベアーもいるじゃねぇか!」
「襲われたので返り討ちにしました」
「ははーん、やるなぁ坊主達。予備校側にも討伐実績は送られるから教官から褒められると思うぞ。冒険者ギルド側も卒業後は坊主達のパーティーを有望株扱いすると思うから、仲良くやれよ」
「はい!」
スキンヘッドのおじさんは、そのまま素材の鑑定に入り、傷は少ない、血抜きもしっかりされている、焼けたり凍ったりしている部分も少ないため、文句無しの満額提示だと、予想金額として金貨300枚を提示された。
日本円換算で3000万円にもなる大金だ。
俺達はその金額で了承し、数日後に予備校側から支払いがあるから大金の管理方法でも考えておけよと忠告されるのであった。




