第46話 ワイバーン狩りと磁器の皿
アキの錬金術を駆使したゴーレム開発は順調に進んでいた。
最近だと素材にもこだわりだして、ワイバーンの余った骨を一度粉砕してから再び成形して疑似骨格を作り、より強度と人間らしい動きをできるようにしていた。
「えい!」
「やぁ!」
とは言えまだ野生動物より少し強い程度であり、動きも単調。
シュネ、メアリー、俺の魔法の的になるのがせいぜいであった。
結構ちょこまかと動くので当てる練習にはなるし、外面は土や石なので内部のコアや骨格が壊れない限り動き続けるので修復コストも安い。
なんならメアリーがアキに頼んで畑を耕すゴーレムを作ったら、現状でも普通に稼働している。
「ゴーレムマスターに私はなる!」
某海賊王になりたい青年みたいなノリでアキは言うが錬金術極めるんじゃなかったのかと突っ込みを入れたくなるほどゴーレム製造にのめり込んでいた。
それはそうと、春になったので冬眠していた動物達も動き出し、山の方でもワイバーンが活発に動き始めていた。
アキがゴーレム作りで大量にワイバーンの骨を消費しているので、ワイバーン狩りに向かう。
冬の間にだいぶ鍛えたので、そろそろワイバーンに魔法が通じてくれると嬉しいが……。
そう思いながら孤立しているワイバーンを見つけて戦闘態勢に入る。
「やりたいことがあるから、俺が最初に攻撃する。他の皆はサポートお願い」
「「「了解」」」
音を消して、皆離散すると、俺はワイバーンに狙いを付ける。
手からは直径20センチほどの空間魔弾を作り出し、空間魔法で瞬間移動を行う。
修行の成果で300メートル先にも座標が特定できる状態であれば瞬間移動ができるようになり、ゆったりしていたワイバーンの頭上から空間魔弾を発射する。
首に直撃した魔弾はそのままワイバーンの骨や肉をえぐり取って進んでいき、ワイバーンを貫通する。
俺は落下しながらもがき苦しんでいるワイバーンの脳天に空間魔弾をぶち込むと、頭にぽっかり穴が空いて、脳みそをまき散らしながら、ワイバーンは倒れた。
白目を剥いて、舌をだらりと垂らし、頭から大量の血が放出されている。
俺はトドメに血抜きの魔法でワイバーンから血液を抜き取って、完全に絶命させると、異空間にワイバーンをしまっていった。
「ふう、やっぱり異空間魔法は相手の防御を無視して攻撃することができるか……馬鹿強いな……」
切り札として更に強化していくのは確定であるが、滅茶苦茶強い。
前まで4人がかりでやっと倒せていたワイバーンを1人で倒すことができたからね。
「ワイバーン1人で倒すの1番乗りはナツだったか……」
「私達も負けてられないわ!」
「が、頑張らないと!」
今度はワイバーンの番が居たのでメアリーとシュネが主体となって倒すと言い出し、シュネが円錐形の氷柱を出現させると高速で回転をし始め、冷気が周囲に漏れ出している。
「いっけぇ!」
バスンと砲弾が射出されるような音と共に飛んでいき、ワイバーンの脇腹に直撃し、鱗を貫通し、氷柱がワイバーンの体内に侵入すると、そこから氷の木が生えるように氷魔法が展開され、一気にワイバーンが氷漬けになっていく。
ワイバーンは口から大量の血を流し、首元まで凍ると、最初は口をパクパクさせてもがいていたが、直ぐに白目を剥いて絶命してしまった。
番のワイバーンがいきなりそんなことになったもう一方のワイバーンは啞然とした後にこちらに気が付き、火炎のブレスを放ってきたが、メアリーが魔法障壁を展開してブレスを防ぐ。
再びチャージを開始したシュネの為にメアリーが時間を稼ぐ。
植物を操る魔法で、ワイバーンが飛ばないように足を木で巻き付かせ、動けなくすると、チャージが終わったシュネが再び氷柱を発射する。
ワイバーンの腹に大穴が空き、腹部の奥まで進むと、氷の魔法が展開されて内部で内臓や肉を凍らせていく。
激痛でワイバーンは苦しむが、数十秒もすると、横に転がっている番の様に絶命して、俺に回収されるのであった。
最後にアキは頭上を飛んでいたワイバーンに狙いを定め、空中に巨大な石槍を出現させると、そのままワイバーンに落下させた。
ワイバーンの翼に突き刺さって体勢を崩したワイバーンはアキを認識して襲いかかってくる。
アキは巨大な熊モードに変身して襲いかかるワイバーンの足を掴むと、思いっきり地面に叩きつける。
ワイバーンは痛みで暴れるが、アキが作り出した石の斧で思いっきりワイバーンを殴りつけると、ワイバーンの頭が陥没し、目ん玉が飛び出して、脳挫傷してしまった。
痙攣しているワイバーンの首を掴むと360度首を回し、バキバキと首が折れる音を響かせて、ワイバーンを絶命させる。
「お疲れ」
「うーんやっぱり石の斧だと叩き潰すみたいな行為しかできないね。切れ味が全く無い」
「事前に武器作っておくしか無いな……ワイバーンの素材を使えば斧くらいは作れるんじゃないか?」
「うーん……切れ味を考えると金属が欲しいんだよなぁ……でも村の鉄だとワイバーンに傷一つ付けられないし」
「せっかく山に来たし、ちょっと漁ってみるか? 鉱石あるかもしれないし」
俺がそう提案し、他の皆も探すの手伝うと言ってくれたので早速山を土魔法で掘っていって鉱石が無いか探していく。
「うーん水晶があるくらいだね。珍しい鉱石は無さそうかな?」
採掘してみたが、出てくるのは水晶ばっかりで、俺達のいる場所どうやら石英の鉱山だったらしい。
早々上手く鉄鉱山や貴金属が見つかったりするわけないか……。
「でも水晶があれば錬金術でできることあるから、もう少し掘っていこうか」
アキにそう言われて、石英を掘れるだけ掘っていくのだった。
倒したワイバーンの解体を秘密基地近くの広場で終えて、肉や骨、魔石を再び異空間に収納し、アキが石英を使って器を作るよと言い出し、材料としてワイバーンの爪を粉砕し、水晶と粘土を錬金術で混ぜ合わせた。
すると白い粘土が作られ、アキが土魔法で平皿の形にし、シュネに高温で焼いてと頼んだ。
保護の魔法をかけているので、割れることは無い為、シュネが高温で熱していくと、白い粘土だったのがガラス状に溶け出して乳白色の美しいガラス製の皿へと変貌した。
「磁器って呼ばれるガラス製の器ね。中々綺麗でしょ」
見るからに陶器製の器よりも美しい。
ただアキに芸術的センスがあるわけじゃないので日本の100均に売ってそうな普通の平皿であったが……。
なんなら焼いていたシュネの方が芸術的センスがあったので、焼いてる途中に電流を流したら模様が付くんじゃないかと思ったらしく、電流を流してみるとリヒテンベルク図形と呼ばれる枯れ木の様な模様が皿に映し出された。
「おお、綺麗じゃん」
「うん! 上手くできました!」
シュネが皿を見て喜んでいたが、アキはムスッとして
「私の錬金術あっての皿なのに」
と言っていたので、俺とシュネでアキの素材あってだよとヨイショしておく。
アキは機嫌を直してどんどん磁器の元を作り出して、シュネが焼き、コップや大小様々な形の皿や器を作り、大半が俺の異空間に収納されることになるのだった。
この後にアキはそれらの素材を使って乳白色のゴーレムを作ってみたが、表面が滑らかになっただけで、耐久力は逆に減る有様であったのだった。




