第24話 そして俺達は転生をした
結局ダラダラとこの生活が良すぎて居続けてしまい、気がついたら3年近くもこの空間で過ごしていた。
つららが毎日付けていた日記曰くもう1100日過ぎているらしい。
で、最近になって精神摩耗度が完全に0まで回復することがなくなってきてしまっていた。
セックスしても、自慰行為をしても日に日に精神摩耗度が上がっていく。
1年前から徐々に上がり続けて、現在は35%以下にならなくなってしまっている。
やっぱりこの空間自体に精神負荷がかかるようになっているのか、それとも画面の男がいい加減転生しろと催促しているのを精神摩耗度という形で行っているのか……どちらか分からないが、とにかく居心地の良かったこの空間ともおさらばだろう。
3年……たまに喧嘩をしてしまうことがあったり、イメージした魔法が上手く覚えられずに時間がかかった事もあったけれど、時間をかけた分、色々な魔法を覚えることはできたし、異世界に行っても十分にやっていけると思える量の魔力を手に入れることができた。
画面の男は魔力は精神に依存すると言っていたから、転生して新しい肉体を手に入れたとしても魔力はそのまま使うことができることだろう。
まぁ体に馴染ませるためにある程度時間をかけて鍛錬する必要はあるだろうが……。
俺達は中央の部屋に集まり、テレビに向かって呼びかけると、直ぐに画面の男が映った。
『私が想定していたよりもはるかに長い時間この空間に滞在したな』
「お陰で異世界でもやっていけるという自信と準備をすることができました」
『そうか……では異世界に転生する儀式を始めるとしよう』
テーブルの上に紙が出現する。
『転生先の種族、性別、チート、纏って転生するかどうか、転生について意識が覚醒する年齢について書き込むが良い』
俺達はそれぞれ椅子に座って種族から書いていく。
【阿部夏樹】
・種族 人族
・性別 男性
・チート 空間魔法への適性
・纏って転生する 場所は帝国南部農村
・意識が覚醒する年齢 6歳の誕生日
【阿部実里】
・種族 獣人とドワーフのハーフ
・性別 女性
・チート 変身能力(獣の形態と人間の形態にパーセンテージを変えながら変身できるようにしてほしい)
・阿部夏樹と同じ村
・意識が覚醒する年齢 6歳の誕生日
【桜花桃奈】
・種族 人族とエルフのクォーター(人族が4分の3)
・性別 女性
・チート 読心術(自分の意志でオンオフ可能)
・阿部夏樹と同じ村
・意識が覚醒する年齢 6歳になる年の初め
【冬木つらら】
・種族 竜人
・性別 女性
・チート 種族に対する反転属性の付与
・阿部夏樹と同じ村
・意識が覚醒する年齢 6歳の誕生日
俺達は記入した内容を見せ合って最終確認をしてから、テレビの前に重ねて置いた。
『ふむ、心得た。では異世界で名を残せることを期待する』
テレビ画面から虹色の光が飛び出すと、俺達を光が包みこんでいった。
「じゃあ桜花、手はず通りに」
「はいはい、一足先に意識を覚醒させて待っているからね」
「夏兄、じゃあ異世界で」
「もうそこは皆で異世界へでしょ実里!」
「それもそうね」
最後は笑って転生をした。
ん……んん……徐々に意識が覚醒してくる。
頭の中に情報が流れ込んでくる……これは……転生先の俺の体の意識か?
「ナツ……ナツ……大丈夫かナツ!」
今世での俺の名前を誰かが呼んでいる……のか?
重いまぶたを開けてみると茶髪に目ジワが多い、痩せた中年くらいの男性と同じくらい痩せている中年の女性、それに俺より少し年上で頭に大きなコブをができて泣いている少年がそこに居た。
「……えっとお父さん」
「良かった……大丈夫か、痛みは無いか?」
「お……僕に何があったの?」
「レグとその友人が石遊びをしていて、レグの投げた石がお前に当たったんだ。頭から血を出して眠り続けていたんだぞ」
俺は頭を擦ると頭に布が巻かれている。
包帯の代わりなのだろう。
徐々に記憶の整理がついてきたが、まだ体が怠い。
「もう少し寝てて良い? 体が重い……」
「ああ、ゆっくり眠りなさい」
父親に言われて俺は目を閉じで記憶の確認を行うのであった。
キリが良いので短めで、プロローグの序章はここで終了です。
いよいよ異世界の冒険が始まりますので乞うご期待!




