第22話 記念すべき100日目……そろそろ異世界に行かないか?
結局転生について詳しく決めようと言っていた90日をゆうに越して100日目になっていた。
朝食を食べている時にテレビ画面が点灯し、画面の男が現れた。
『100日間もこの空間に居座るとは思わなかったぞ』
「自由にしていいって言われてましたので……」
『まぁ確かにそう言ったが……まさかセックスによる精神的な繋がりを起こす事をやる人物が出るとも思っていなかった。こちらが意図的に裸で男女を同じ空間に入れた意味をようやく理解してくれる人物が出てきてくれて神々は喜んでいる』
いや、それは偶然なのだけど……。
『裸の男女をこの空間に入れておくと何故か多くの者が早く転生したいと望んでしまってな。女性だけがいち早く転生するものだから、残された男性も結局は何も得ることなく転生してしまうのだ。その点君達は思いの外優秀だったようだ。中には錬金術の才能を持つ者も居たようだし』
「神様……この際聞きます。本当に異世界に行ったら自由に過ごしていいんですよね? 後から神託とかで何かをなして欲しいみたいなのは無しですよ」
画面の男にそう確認する。
『安心しろ、君達が我々神々を頼る事をしない限りこちらからも手出しはしないようにしている。それに本来転生に選ばれるのは無作為なのだ。今回は神の仲間がやらかしたから纏めて転生を許してはいるがな』
「なるほど……」
なんか俺が質疑応答しているが、桜花さんに目線を向けると、桜花さんも意図を汲み取ってくれて、質問者をバトンタッチする。
「神様がこちらが呼びかけてないのに出てきたということはもうそろそろ時間切れということなのでしょうか」
『セックスをしていない場合はどんなに頑張っても精神摩耗度がこの頃には相当蓄積している計算になっているのだが、君達は精神的な交わりをすることや自慰をすることで解消できているみたいだからな。こちらも自由に過ごして良いと言った手前、追い出すような真似はしない』
「それを聞いて安心しました。服を僕達に用意しなかったのはセックスを推奨するためだったのですか?」
『それもあるが、神々が見ているのだぞ。君達の言うところの動物園の動物が服を着て飼育されているか? それと同じだ』
「私達って動物扱いなのですね」
つららちゃんがボソッと呟く。
『神々から見たらそうだ。服を着る自体防寒や疫病の対策であって羞恥心を隠す物として確立したのは人類全体でも3千年もいかないであろう。それよりも野生動物と同じくほぼ裸で生活していた期間の方が長い』
数千年を短いと言い切ったなこの神様……というかそんな数千年単位で物事を動かしたりしている神様なら数日も100日も誤差といえば誤差か。
まぁ神様からのご厚意で死んでも精神を維持したままこの空間に居られる訳だし、機嫌を損なわせる発言はしないようにしないと。
「転生後の姿などは見ることはできませんか?」
『それはできない。まだ転生後の姿が決まっていないからだ。君達が種族やチートを選んでから神々によって調整が入る』
「なるほど……失礼しました。ところで異世界の暦は地球と同じ365日ですか? 暦について書かれている本が見当たらなかったので」
『ふむ、異世界は1年が360日、1週間は6日でそれが5回繰り返し1カ月となる。地球の暦で考えると月曜日が無いな』
「月曜日が無い?」
『そもそも月に当たる星が複数異世界には存在する。それぞれ魔星、聖星、天星の3つだ。異世界の人々は大きさの違う異世界を中心に回る衛星をそう呼び、それぞれに意味を持たせている』
『一応太陽と呼ばれる星に似た恒星も存在するが……まぁ異世界人も太陽と呼んでいるからそう呼ぶ方が良いだろう』
『だから太陽を表す日に魔法の属性である火、水、土、風、雷の5種類を組み合わせて1週間とする』
画面の男はテレビ画面に例としてこの様に表すと言い
・1の星(月の代わり)、1の週、日曜日
・5の星、3の週、風曜日
・12の星、5の週、雷曜日
真ん中の5の星のやつは適当に選んだ物らしいが、1の星が1年の始まりで12の星が1年の終わりを表すらしい。
異世界だと一般常識なので覚えておこう。
後は殆ど確認作業。
桜花さんや俺達が調べた異世界についての知識で誤りが無いかの確認ともう暫くこの空間に居てもよいという言質を頂いてから画面の男は消えていった。
『君達が英雄になれることを心から祈っているよ』
そう言い残して……。
100日目の記念として俺はケーキを作って皆に振る舞った。
普通のフルーツケーキで、レシピ通り作ったとはいえ素人が作ったため、少々不格好になってしまったが、皆喜んでくれた。
ケーキを食べながら実里が
「異世界だと甘味が殆ど無くなるんだよね」
「まぁ地球より高くなるのは確実だな」
甘味といえば砂糖、はちみつ、メープルシロップ等が思いつくが、異世界の食事について調べていくと、砂糖の値段は現代日本の約100倍くらいが相場になり、はちみつも地域差が激しく、メープルシロップも寒い地域で僅かに栽培されているに留まるらしい。
だから異世界だと甘味の値段が高い為、都市に住む一部の住民もしくは富裕層、貴族のみが甘味を味わうことができるとのこと。
この空間だと気兼ねなく使える砂糖も異世界に行ったら当分味わうことができないと思うと、この空間にもう少し長居したくなってしまう。
「なに! 私が錬金術をもっともっと勉強して覚えていけば異世界でも甘味くらいはありつけるようにするわよ!」
実里がそう言う。
そりゃ頼もしい事で。
確かに錬金術をしっかり使えれば異世界でもある程度の甘味や材料は手に入るかもしれない。
それに調味料の製造も多分実里に結構お願いすることになると思うんだよな。
「ところで実里は調味料の製造はどれくらいできるようになったんだ?」
「え……えっと今のところ……」
実里に聞くと俺が作り方を教えた味噌、果物と砂糖を使ったジャム、はちみつや果実、米や麦、芋を使って酒の製造はできたが、醤油造りに難航しているとのこと。
味噌作りを応用すれば醤油はできそうな物であるが、それだとたまり味噌ができてしまうので、現代日本の醤油の味わいにするにはもう少し錬金術の精度を上げる必要があるのだとか。
「あ、そうそう最近だと小麦粉からパスタを錬成することができるようになったよ」
「それは大きな進歩だな」
まぁ小麦の栽培が盛んな地域だったらいいのであるが、ライ麦や燕麦の栽培が盛んな地域だったらまた工夫することが必要だろう。
それでもパスタが食べられるのは大きい。
正直ゴワゴワのパンを食べるよりはパスタを食べる方が日本人は慣れているからね。
「さてと、じゃあ今日は100日目の記念日だし、1日休んでも良いよな」
「そうだね。最近魔法の練習ばかりだったからね。息抜きしないと」
「じゃ、じゃぁ……もしかして4Pを精魂尽きるまでな感じですか?」
「いいねぇ! やろう! やろう!」
こうして記念すべき100日目はセックスパラダイスで終わるのだった。




