第18話 爛れた生活をしながらも30日が経過
この空間に来て20日目。
つららちゃんがこの空間に来た日から日記を書いていたらしいので20日も経過していることがわかった。
まぁ昼夜の流れがわからないので推測でしかなかったが、数日前に覚えた体内で時間を測る魔法……タイマー兼時計の魔法である程度の時間を測ることはできるようになっていた。
とは言っても、料理の時間を測ったりすることくらいしかこの空間だと使い道は無い。
異世界に転生したら目覚まし機能があるのでそれで起きる時間の調整ができれば良いだろう。
あと……ほぼ毎日3人を抱いています。
最近だと布団の上で4Pなんかもして爛れたと言われても仕方がないような生活をしています。
魔力総量が上がりやすいのが悪い。
そうなってくると、風呂とかも男女で時間を分ける意味も無くなって、4人で一緒に入ることも多くなったし、4Pの方が皆を満足させる時間を短縮できるので俺はありがたいのであるが……まぁ女性陣は1人1人扱って欲しいと要望される事もしばしば。
それぞれの要望になるべく答えながら生活を続けていた。
最近だと料理に魔法を使えるようになってきて、指先から火を出して魚や肉をバーナーで炙る様に焼いたり、フライパンを持って、それに熱を伝えることで、フライパン自体を熱くして火を使わないで焼く、混ぜるのに時間がかかる食材に対して泡だて器を高速かつ自動で回す魔法を開発したり……。
そうそう、発酵を促す魔法も無事に使えるようになり、つい先日パンを作ってみることにしたんだが、最初に作ったパンは焼き加減の見極めが難しくて硬いパンになってしまい、次に作ったパンは生焼けと焼き時間と熱量の調整が難しい。
失敗したパンは勿体ないのでパン粉にして揚げ物に使っているが、そろそろしっかりと成功したパンを焼きたいところである。
あとは……
「実里行くぞ」
「はーい!」
俺がバランスボールくらいの大きさの水の塊を出現させて、温度を下げて凍らせ、氷の塊にし、それを実里に向かって発射する。
普通の人間が当たったら怪我するのは確実であるが、精神体であるので怪我することはないのを利用して結構危険な魔法のトレーニングも行っていた。
実里は飛んできた氷の塊に対して体全体に魔力を込めると体全体が赤く光、塊に飛び蹴りをぶちかます。
すると氷の塊はガラス細工をハンマーで叩かいたかのように粉々に砕け散る。
実里が使っているのは身体強化の魔法。
強化する倍率によって魔力消費量が違ってくるが、異世界だと最初に覚える魔法の1つとされている……そう本に書いてあった。
初歩的な魔法という位置づけであるが、防御にも攻撃にも……なんなら日常生活でも非常に重宝する魔法である。
物理、魔法のどちらの防御にもなるため、異世界での魔法の戦闘は相手の強化魔法をどう上回るかが勝負の決め手になってくると思われる。
例えば俺が出した氷の塊は水を生み出すのに10の魔力、凍らせるのに5の魔力、それなりの速度で発射するのに5の魔力と20の魔力を使っているが、実里の身体強化は瞬間的に10の魔力で身体を5倍の強度と筋力にすれば破壊することができる。
俺は20、実里は10の魔力で相殺されているため、俺が10ほど魔力量では損していることになる。
本によれば魔法使いの戦闘は相手の不利を突き、自分は有利な行動をしていかに相手の魔力を枯渇させるか……もしくは魔力の質で防御を突破するかで勝敗が決まるらしい。
ぶっちゃけて言えば身体強化だけを極めるという判断をしても正解の1つだと言われるらしい。
まぁ今精神体なのでどんな魔法でも適性がある状態だが、肉体を持つと種族や血縁的な関係で得意な魔法が決まってきたりするそうなのだ。
竜人が炎魔法の適性が強かったり、獣人が強化魔法しか使えなかったりと言った感じになっている。
まだどの種族に転生するかは話し合いの最中なので選択肢を狭めないために今は皆色々な魔法を習得している感じだ。
「実里、次はそっちが火球飛ばしてくれ、俺が水の壁を作って鎮火するから」
「はーい」
実里が火球を飛ばしてくる。
俺はそれに合わせて水の壁を出現させる。
これも炎だけが飛んでくるんだったら1センチ程度の水で壁を作れば鎮火できてしまうが、炎の中に石を混ぜたりすると途端に水で防御するのが難しくなる。
滝の様に水を下に向かって流すことで石の進路を変更するか、水以外の防御を混ぜるか……。
ある程度の物理防御と魔法に対して高い防御性能を誇るバリアの魔法もあるにはあるが、結構燃費が悪い。
となると有利な魔法を展開した方が魔力の消費は少なくて済む。
20日でド素人からここまで魔法が使えるようになっただけ上出来だろうと俺は思うが……。
「ごめん魔力切れ……仮眠してくる」
「わかった。夏兄お疲れ」
魔力総量も上がってきているとはいえ、俺の場合魔力総量は400ほど。
性行為で魔力切れになることは無くなったが、それでも魔法で戦闘するのには心許ない量である。
ちゃんと伸びているのは確かなのでこのまま修行できる限り修行して魔力総量を万くらいに持っていければ万々歳である。
それまでには何日かかることやら……。
当分はこの空間に居座り続けることになるだろうな。
「つららちゃんと桜花さんは合格」
「「よし!」」
「実里は……なんで料理が上手くできないかな……」
「ちゃんとやっているはずなんだけど……」
この空間に来て30日目……約1ヶ月が経過した。
交代で料理の練習をしていたお陰で桜花さんとつららちゃんは料理の基礎を覚えることができた。
焼く、炒める、揚げる、蒸す、煮るの火を使った調理方法に魚の三枚おろし、調味料を味見しながらだったらちゃんと入れられること、ご飯の炊き方なんかを一通りマスターした。
しかし実里はちょっと味音痴が入っているのか、別にサボっているわけではないのだが、味が他の2人に比べて1段落ちてしまうのである。
「うーん、見た目は普通にできるんだけど……」
何が原因なのかは分からないが、料理に適性がない人ってのはどうしても存在するものである。
苦手でも人並みくらいにはできるようになるよと励ますが、実里は納得していなかった。
で、実里は料理のレシピ本を見ながら歌っていたのだが、ふとレシピ本の近くに置いてあった別の本に目がいき、その本を読むと錬金術に関して書かれていたのである。
「これだ!」
実里は錬金術に可能性を見いだして台所に籠もるようになったが、現実世界の錬金術が科学の前身であるのに対して、異世界の錬金術は過程を省略する意味合いを持つのである。
例えば味噌を作ることにしよう。
味噌は大豆、塩、麹(発酵の素になる物)を使い、まず大豆を洗う、水に半日浸し、茹でてアクを取る。
数時間茹でて水切りをし、よく混ぜて叩いたりミキサーで潰していく。
そしたら塩と麹を混ぜた物を潰した大豆と混ぜて清潔な樽の中に空気を抜きながら詰めていき、表面に塩をかけて、蓋をする。
そして薄暗い場所で3ヶ月近く寝かせ、時々中身をかき混ぜ、表面にカビが生えていたら取り除いてを繰り返してようやく完成するのであるが、錬金術を使うと発酵されるために寝かせる工程を短縮することができるのである。
金属とかの場合も色々化学反応させたり熱したりして特定の金属を抽出したりするのを錬金術が使えると錬金釜で煮込むことで抽出することができたりする。
勿論魔法でも出来るのであるが、錬金術は触媒を使うので魔法で行うよりも難易度が下がったり魔力の消費量が少なかったり、大量生産に向いていたり、大幅な時短ができたり……メリットが色々あるのである。
実里が本当に錬金術を覚えることができるか分からないが、覚えることができれば異世界でも通じる武器の1つになることだろうし、錬金術は現実世界の科学と違い、異世界だと才能が全てらしいので、実里に才能がなかったらできない可能性の方が高いが……とりあえず見守ることにしよう。




