第152話 五つ子の誕生
あっという間に月日は過ぎるもので、ミクの出産が間近となっていた。
ミクのお腹はパンパンに膨らみ、胸も元からデカかったが、2サイズくらいバストアップしている。
お腹の五つ子達は周りの心配を他所に健康に成長しまくって、ミクのお腹の中で動き回っていた。
「五つ子ちゃん……全員女の子だったね」
俺の空間魔法とクリスの検診でお腹の中で性別は判明しており、全員女の子であった。
男の子の継承が貴族は優先されるし、ミクの立場は正妻候補のアキ、メアリー、シュネの3人よりは劣るので、ミク自身も女の子が産まれてくることに安堵していた。
「私的には女の子でよかったと思うよ〜。男の子だったら継承問題が絡んでくるかもしれないからね〜」
お腹がそれほど大きくない時は、偶に口や胸で俺の性処理をしてくれていたが、お腹が大きくなる妊娠後期になると、動くのもやっとになってしまい、臨月になると、専用のテーブルじゃないとお腹がつっかえて食べにくいという状態になってしまったし、子供達で内臓が圧迫されて、食欲がわかない日が続いてしまっていた。
そんなミクでも食べやすいような料理……特に温かいうどんの様な麺料理を麺職人と一緒に俺は開発したり、アキは栄養食……クッキーの様なスティック携行食や安定のワイバーンの血肉を使った多様な味付きの栄養剤を開発したりし、メアリーやシュネもミクの為にクッションを作ったり、ベビーベッドを自作してみたりして気を使ってくれた。
彼女達からしたら将来の予行演習と思っているのかも?
ちなみに食欲がある日は普通にバランスの良い食事を3食食べてもらっているので安心して欲しい。
ミクの両親やミクと仲がよかった娼婦のお姉さん達もミクの事を気にして、偶に遊びに来てくれたので、ミク自身ストレスも少なく過ごせたのがお腹の子供達にもよかったかもしれない。
そんなある日の事、ミクに万が一があるとまずいからと同じ部屋で生活していたクリスが、俺にミクの陣痛が始まった事を伝えてくれた。
そこから出産までの流れは事前にクリスから教わっていたが、陣痛のピークに破水が始まり、破水したら数時間かけて出産が始まる。
後学の為及びクリスの補助としてメアリー、シュネ、アキの3人もミクの出産現場に立ち会い、部屋の中でお湯を沸かしてとかタオルを用意してとか色々聞こえてくる。
俺も部屋の外で待機して、部屋から分娩に必要な道具を要求されるので、異空間から出したり、メイドを走らせて用意させたりする。
クリスの見立てでは、五つ子なので、全員産まれるまでに破水から半日は掛かるだろうから、子供の名前を考えておいてくれと言われてしまった。
12歳で父親か……日本だったら卒倒ものだろうな……。
まぁ辺境伯様やバイパー様、フレデリック様からも12歳で父親はだいぶ……いやかなり早いと言われていたが……。
身体の成長が早熟な魔法使いは少年が女性を孕ませるというのは無くはないらしい。
ラインハルトも鬼ではなく、流石にこんな日は休んでくださいと言われ、部屋の前で待機すること4時間……部屋の中から産声が聞こえてきた。
どうやら最初の子供が生まれてきてくれた。
空間魔法を使って中を覗き見したら、ミクがまた力み出して、2人目からはポンポンと赤ん坊を産んでいく。
五つ子だから小さめなのかと思っていたが、結構大きい。
1人4キロくらいはありそうである。
勿論人族である俺とミクの子供なので人族の女の子が5人産まれている。
入っても良いよと聞こえたので、部屋に入ると羊水を綺麗に洗われ、へその緒も切られ、タオルに包まれて、ベッドの上で泣いている五つ子の女の子達がそこに居た。
ただそれよりもまずはミクの体調を気遣う。
「ミク、大丈夫か?」
「ええ、大丈夫だよ〜。アキから体力回復や造血のポーションを飲ませてもらったし、クリスの治癒魔法で出血も直ぐに止めてもらったから……でも見てよ……お腹がこんなにダルダルになっちゃった〜」
そりゃ4キロの赤ん坊が5人も居たのだ。
羊水の重さも合わされば1人で5キロくらいにもなり、出産で一気に25キロ近く体外に排出したとなれば、お腹もダルダルになるだろう。
あーあー、お腹に刃を当てるのは危ないし、除毛薬も子供に影響あるかもしれないからミク使わなかったのか、陰毛も凄いことになっているし……。
やべぇな。
俺の性癖が歪みかねない……。
「無事でよかった……ミクも子供達も無事で本当に良かった」
「えへへ……鎮痛の魔法で痛みも軽減してくれていたから思ったよりは苦しく無かったかな〜私の出産が皆の経験に生きてくれれば幸いだけど」
ミクは笑顔でそう言う。
「ところで名前は決めたのかな?」
「音楽用語で固めようと思ってね」
ミクの名前が地球の電子の歌姫とたまたま同じだったので、子供達は音楽用語で固めようと決めて、辞書を引いて良さそうな名前を見繕ったのである。
長女 アルペジオ
次女 テヌート
三女 トリル
四女 トレモロ
五女 スラー
「……どうかな?」
「素敵な名前……苗字はケッセルリンクにするの? それともクムの方を使うの?」
「女の子だから将来色々なところに嫁ぐだろうし、ケッセルリンク家の名前の方が貰い手を多くできそうだから、ケッセルリンクの苗字を名乗らせるよ」
「ありがとうね〜」
名前を聞いたミクは疲れと安心からまぶたを閉じて眠ってしまった。
「あらら……ミクさん寝ちゃった……赤ん坊に初乳をあげないといけないんだけど」
「ミクを起こすのもあれだから私達でやりますか」
アキが部屋に持ってきていたカバンから搾乳機の魔導具を取り出して、ミクの胸にセットする。
生物の体ってよくできているもので、出産直後から母乳を分泌し始める。
しかも出産から約1週間取れる黄色く粘っとした母乳は初乳と言い、母親の免疫情報がたっぷり入っていて、赤ん坊の病気への耐性が大きく変わってくるのである。
「はい、吸い出しますよ〜」
アキがスイッチをいれると、ミクの母乳が吸い出されて、瓶にはいっていくが、初乳は1日で摂取できる量がとにかく少なく、30ミリリットルくらいしか出ない。
あっという間にミクの初乳を吸い出し、これを赤ん坊達に分けて飲ませるのは少々足りないので、アキが事前に作っていた人工ミルク……という名の超人薬を初乳に混ぜて赤ん坊達に少しずつ飲ませていった。
もし魔力的な才能がなくてもどんな病気にも打ち勝ち、筋力が成長しやすくなるようにという赤ん坊の為を思って開発した人工ミルクであるが……これ某ガン◯ムのコーディネーターがやったような遺伝子改造の一種なのでは?
と、思う俺であった……。




