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転生の間にも三年【異世界で成り上がる予定なので美少女達と事前準備(意味深)しまくります】配慮版  作者: 星野林
卒業までの準備期間

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第133話 ナーリッツの愚痴

 ヨトゥン狩りを5日間行った俺達はハーゲンシュタットの町に戻ってきて、辺境伯様に狩ったヨトゥンの魔石と溶けない氷の塊を提出した。


「流石ケッセルリンク男爵達だ……デーニッツから聞いたが、フランソワ男爵の息子も救出したらしいな」


「ええ、私達が行かなければ危ないところだったかと」


「よくやってくれた。これでフランソワ男爵と辺境伯家、そしてケッセルリンク男爵家との結びつきがより強固となった。感謝する」


「いえ、私達も良い修行となりました。ところでこの氷の塊を使った製品を報酬として下賜されると聞きましたが」


「ああ、ケッセルリンク男爵家は人が増え続けているからな。食料を保存するのに冷蔵庫や冷凍庫の性能が高いほうが良いだろう」


「……そうですね」


「ナーリッツ男爵は魔法が使えるから魔導具を使う必要は無いかもしれんが、家臣達は別だ。家臣達を楽させるためにもある程度の魔導具は揃えておいた方が良いぞ」


「はは!」


 確かに前に魔導具屋に行った際に俺は魔法使いだから要らないなと思ってしまったが、メイドや料理人などの屋敷で働く人達が楽になる魔導具は買っておくべきだったか……。


 ミスったなぁ……。


 恐らく辺境伯様は家臣達にも目を向けろという意味なのだろうが、凄く心に響いた。


 あとは金を大量に抱え込んでいる俺達に少しでも散財してもらって、領内に金を循環させてもらいたい気持ちもあるかもしれないが……。


 とにかくヨトゥン狩りは色々な経験になったので有意義な冬休みを過ごすことができたと言えるだろうな。











 世間では冬休みと言えど、俺達のクラスには冬休みは無い。


 ヨトゥン狩りは公務の一環だったので行くことができたが、貴族としての教育を冒険者予備校の教育に組み込まれた影響で、スケジュールがギチギチである。


 なので基本1週間の休みの日(安息の日ともいう)以外は授業である。


 でも冬休みが終われば残り冒険者予備校の授業も2ヶ月で終了ということで、卒業試験に向けた授業が殆どになってくる。


 実技の戦闘面においてはうちのクラスのメンバー全員が合格点を超えていると言われているし、筆記試験もよほどの事が無ければ合格できると太鼓判を押されていた。


 貴族やその家臣教育に関しては予備校を卒業しても続いていくが、これは仕方がない。


 それどころか最近は商人達が辺境伯様から未開拓地の利権が俺達に移ると聞いて、開発特需に肖ろうと面会に度々押し寄せてくる。


 それに同じ予備校に通う生徒達からも未開拓地に冒険者ギルドの支部ができたら行っても良いかと聞かれたりしている。


 色々噂が出回っていて、俺が卒業したら直ぐに開発が始まると勘違いしている奴らもいる。


 誤解を解きながらも商人達はクム商会のゼファーさんに仲介してもらって、利害関係の調整を行なっている。


「それよりも……開発が始まる前に俺達多分魔物の領域の解放に駆り出されるよな……」


「なんだ坊主、不満か?」


「いや、解放した分だけ未開拓地の支援が手厚くなるので全然いいですし、魔物の素材で稼げますので不満はないですが」


 卒業後も予定がパンパンに決まっているのを見ると流石にげんなりする。


 こういう愚痴を聞いてくれるのがデーニッツさんで、酒とおつまみを持っていけば付き合ってくれる。


 マンシュタインとかでも良いのだが、マンシュタインは将来の重臣候補としてラインハルトに屋敷に帰ってからも更に勉強させられているから愚痴を聞かせるのは可哀想だし、アキは錬金術で忙しく、シュネは性格的に愚痴を聞くのが苦手っぽい。


 メアリーは受け止めてくれるが、毎回突き合わせるのも酷だ。


「でもナーリッツ……お館様に感謝しておけよ」


「ん? 今でも感謝していますが?」


「お館様、中央にナーリッツ達の事の情報統制を行なっているんだ。ワイバーンの素材も冒険者ギルドと結託してお抱え魔法使いで優秀な若者が複数人育成できた事にして、ナーリッツ達が中央に招集されるのを引き伸ばしている」


「それに卒業後の予定が詰まっているのも、ナーリッツ達の功績を中央の宮廷魔導師達に引けを取らないようにするためだからな。将来大領を得て伯爵くらいにはなるだろうが、その時の為にワイバーン以外の目に見える実績……魔物の領域を解放したってなっておけば、北東部の貴族から戦争の為に寄越せとは言われなくなるし」


 辺境伯様なりに色々考えてくれているらしい。


 デーニッツさんによると、俺達の中央へのお披露目は辺境伯様がバイパー様に家督を譲り隠居した頃……なのであと10年は先にする予定なのだとか。


 その頃にはケッセルリンク男爵家も地盤が固まっているだろうし、未開拓地の開発も数年目に突入していて、最序盤は脱しているだろうというのと、10年もすればメアリー達の間に子供が産まれているだろうから正妻問題も決着が着いているだろ……と色々配慮してもらっていた。


「すみません、嫁の序列はどうしてもメアリー、アキ、シュネの3人の誰かをトップにしたいので」


「貴族になる前からの決めていたんだろ? 辺境伯家としてそこに親族の娘をねじ込んでナーリッツ達とは揉めたくは無いからな。一部売り込んでくる貴族はいるが、お館様が牽制しているから」


「何から何まですみません」


「礼はお館様に言え。あとバイパー様とフレデリック様に。あの2人も自身の派閥の貴族達に忠告していたからな」


 コップが空になっていたので、俺はよそっていく。


「おっとっと……悪いな」


「いえ、愚痴に付き合ってもらってますし」


 俺も異空間から山葡萄のジュースを取り出す。


 渋みが強いが、その渋さが癖になる。


「まぁ来年からは俺もお目付け役として色々駆り出されると思うから、野営は楽に過ごさせてくれよ」


「デーニッツさんのお酒も用意しておきますね」


 改めて乾杯するのだった。



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