第11話 画面に映る神に再びの質問
『……昨日ぶりだな』
呼びかけに応えて画面の男が再び現れた。
『質問はまとまったか』
俺達全員頷き、はいと返事をする。
『よろしい、私の時間が許す限り質問に答えよう』
桜花さんがメモを取る為、代表して俺が質問を投げかける。
まず明言してもらいたいことから処理していこう。
魔力は睡眠のみでも回復するのか、それとも魔力と睡眠の結びつきについて答えてもらうことにした。
『魔力に関しては確かに睡眠で回復することができる。しかし薬を飲むことでも回復を促す事もできる。異世界の貴族の一部や魔法を得意とする種族の秘伝として魔力回復薬を用いた魔力の底上げを行うトレーニングをしている家もある。事実これは高い効果がある』
『また精神体である君達の場合眠気を感じることは無いが、睡眠をしたいと考えれば、精神は直ぐに意識を遮断して回復にリソースを注がれる』
「布団に入って直ぐに眠りに就けたのはそれが理由ですか?」
『そうだ、君達は精神体……魂を元に体を作っているから眠りに関しても、スイッチを切る様な感覚で眠る事ができる。起きる時は精神が回復したと判断するか、外部から刺激があれば起きることになる。君達が持っていたスマホと一緒だ。充電ケーブルを挿せば充電が始まり、電源ボタンを押せば画面がつく。この仕組みに似ている』
画面の男の説明により魔力を回復するだけだったら眠れば良いということがよくわかった。
となると魔力を空にするまで扱って仮眠して回復、限界を伸ばしてまた睡眠というのを繰り返せば魔力の最大量は上がっていくことになる。
回復薬に関しては現状作ることもできないから、とりあえず知っておく感じになるかな?
次の質問に移行しよう。
「転生先は俺達をまとまった場所に転生させることは可能なのか、それともランダムで帝国内に飛ばすのか」
『転生先をまとまった位置にすることは可能だ。ランダムの方が良いのであればそうするが』
「いや、それはまとまった位置にしたい……そしたら転生において選べることを説明してほしい」
ここまでだと転生で何処まで選べるか詳しく明言されていないので、選べることを教えてもらう。
・転生先の種族
・転生におけるチート
・転生先に纏って転生するか否か
・転生先の性別
・転生後記憶が覚醒する年齢
転生において選べることの一覧であるとテレビ画面に表示された。
これだと転生先が貴族かどうかみたいなことは選べない感じかな。
『もっとも種族によって裕福かそうでないかなども決まってくるから選ぶ時は気をつけるように』
どうもご丁寧に……。
つまり魔族とかを選ぶと貧しい家庭に生まれる可能性が高いって感じかな。
小人族とかもあんまり金持ちみたいな感じはしないけど……。
まぁそこら辺はまたおいおい考えていこう。
次の質問だ。
実里が聞きたがっていたダンジョンの有無について、あるのであればどの様な管理体制が行われているかについても。
『君達が考えているような魔物が無限に湧き出てくる、時間経過で出現する、宝箱が生成される……等のような都合の良いダンジョンは存在しない。魔物が洞穴や廃鉱に住み着いたり、魔物の住処になっている様な場所をダンジョンと呼ぶことはあるがな。もしくは過去の転生者が都合の良いダンジョンを創り出そうとした場所はあると言っておく。もっとも転生者が死んだことでダンジョンの制御ができなくなって近隣都市に大打撃を与えた歴史があるがな』
それはまた……凄い話が出てきたな。
とりあえずダンジョンに関しては無限湧きみたいな場所ではないことがわかった。
どちらかと言うと魔物はいるが現代の山や森に動物が住み着いていることに近いか……。
マジックアイテムみたいな物が掘り出し物としてある……みたいなのはあんまり期待しない方が良いかもしれないな。
「この空間で俺達が覚えることのできない魔法はあるのか?」
その質問に対して画面の男は人間の精神である以上、それを逸脱する魔法は覚えることができないと言われた。
例えば時間を巻き戻すみたいな過去に干渉する魔法であったり、四次元空間を作り出して物を収納する……みたいなのはこの空間にいる限り覚えることはできないだろうと言われてしまった。
ただ想像が働くのであれば魔法はいくらでも創り出す事が出来るし、この空間では魔法を覚えるは精神に直接刻み込む事になるので覚えてしまえば発展させるのも肉体という制約がない分創りやすいとも言われた。
あと汗から魔法を生み出すというのには褒められた。
過去にもこの空間で魔法を覚えようと努力した者はいたが、いまいち魔法の仕組みを理解することができずに、書庫で異世界の知識を蓄えてから転生するに留まっていたので、殆どの転生者は魔法に関する才能を転生チートとして選んで転生することが多かったらしい。
魔法を事前に覚えたのは俺達が最初だと。
ちょっと誇らしい。
次につららちゃんが質問したいと言っていたステータスが決まっているかどうか。
『世界の理として人の才能を数値とすることは無い。ただ現状の情報を数値として見ることができるチートや魔導具が無いわけでも無い』
つまり異世界では上限みたいな物は事実上無いが、才能によって能力の成長が鈍化するタイミングがあると前に画面の男が言っていたので、現実世界に近いと考えたほうが良いかもしれない。
となると魔力の重要性がますます増してくる。
人間どんなに鍛えても水中でシャチに勝つことができないが、魔法を鍛えていけば勝てる可能性が出てくる時点で魔法というのがいかに異世界において重要になっているか……。
そもそも魔法が文明の基盤になっているっぽいし、成長上限がないことがわかった時点で良いだろう。
「物語の魔王や勇者の様な存在は居るのですか?」
『過去の転生者の子孫や現地民の突然変異……それでたまに強大な存在を魔王と呼ぶことはあるけれど、だいたい大将軍とか聖女みたいに呼ばれることが殆どだ。そもそも魔族の王を名乗れるほど魔族が団結していない』
『現時点では世界の危機みたいなのも無い。突発的な異世界転生だからな。異世界も神々によってある程度管理された箱庭だ』
「神々に管理されているということは神からの干渉もあるのか?」
『極稀にな。神との親和性が強すぎる者が神と言葉を交わすというのは地球でもあったことだろう。逆に言えばその程度の干渉しか行わん』
宗教ができるくらいの干渉はしていると思ったほうが良いな。
最後に冒険者と呼ばれる存在が居るのかと職業選択の自由はあるのかどうか質問する。
『職業選択は基本無い。親の土地や仕事を引き継ぐ事が殆どだな。ただ他の場所で活動するとなると冒険者と呼ばれる職業になることもある』
冒険者について詳しく説明してもらう。
『冒険者は下はごろつき、上は英雄と言われる実力差がはっきりしている組織であり、上に上がり上流貴族と懇意になれば貴族の斡旋で騎士になったり貴族領土の将軍に取り立てられたりもする。庶民から成り上がるなら冒険者になるのが定番なのであろう。異世界に転生した者達も貴族を除けば殆どが冒険者の職業に就いている。大成するかは転生者でも半々と言ったところだろうな』
十分有益な情報を聞き出すことができた。
異世界について詳しく知りたかったら書庫の本に殆ど載っているから読み込むと良いと付け加え、テレビ画面はまた切れてしまった。




