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マイナス×マイナス⑧
「先生、今一応やるとは言いましたけど、夏休み中とかですよ──────」
「二人の就職先が決まるまでです」
「マジっすか」
「マジだね」
「広井さん、蚊帳の外ですけど、何か言ったらどうですか?」
だが、何も帰ってくることは無かった。
いつもならここで、何も言わないなら全てを肯定としてとると言って、からかってわざわざ怒りに任せた発言をさせようとするが、相手がここまで下手だと、恐らく泣く。
ここからどうしたものか。
「では、後は二人でできますね。私は一足お先に職務室に行きますので。あ、この応接室の鍵は、フロントの受付でもらってください。最後に鍵をかけてから帰ってくださいね」
「は、はい」
そう応えると、先生は足早に出ていった。
先生が夏休みのため、ログアウトしました。
クソがよ。
さて、どうしたものか。
何も喋らないなら、何かきっかけを作るしかない。
ゲーム辺りならいいんだが。
応接室には、もちろんそんなものはあるはずが無い。
ちなみに先生が出ていったそばから、スマホを触っている。
帰ろうとしていないだけマシだ。
しばらく、友也は結を見つめる。