マイナス×マイナス⑦
「広井さん、話は終わってないので着席してください」
結は何か言いたそうに視線を先生に向ける。
「む……す」
「はい?」
「無理……です」
「そうですか」
「先生、自分も正直教えれる自信はありません。それに今更チーム制作するほどの余裕も───────」
先生は深いため息をつく。
新の言葉を遮り、話し始める。
「二人とも、このままいくらなら就職はかなり厳しいですよ」
大人が言う「厳しい」は98%不可能であるという事である。
嫌でも、堪えてやるべきであるというのは、自分でもわかっている。
社会は子守りをしてくれる場所なんかじゃない。
理不尽だって、自分の意見が突っぱねられることだって多々ある。
だが、広井さんの弱点に先生も気づいているはずである。
少し嫌な顔をしながらも、言質を取られてしまっている現状を認める。
「分かりました。やります。ですが、期待に添いかねる結果になるかはわかりませんよ」
肩を落としながらも、丁寧に応える。
「広井さんも、お試しでもいいのでやってみましょう。クライアントの無理な要望にも尽力を尽くすのもクリエイターとして、大切な事ですよ」
と、結も言われ、渋い顔をしながらも首を縦に振る。
本日最後の投稿です、