最後の戦い
アレン達はついにあらゆる困難を乗り越えて魔王の元へ辿り着いた。
正直に言うと、後悔ばかりが残っている。助けられなかった仲間。間違えてしまった選択肢。
それでもアレン達勇者パーティは魔王の元へ今まさに闘いを挑もうとしている。
アレンは必殺の一撃を魔王ヴァルデンに叩き込む。
「閃光の刃!!」
魔王にその攻撃では傷一つつけられなかった。
「まさかここまでの硬さとはな...」アレンは冷や汗を浮かぶ。
魔導士レナートも必殺の魔法を放つ。
「グレートファイアーボール!!」
それも魔王には大した攻撃ではないらしい。
「ふん。つまらん。この程度か。」とヴァルデンは反撃に出る。
「ブラックソード!!セカンドボルテージ!!」
その禍々しい黒いオーラが剣を纏う。
アレン達の視界が歪んだ。
アレン達は最初ただの平民に過ぎなかった。
しかし、ある時転機が訪れる。
勇者の剣エクスカリエスの噂が流れるようになった。
そして、その剣の持ち主は見つかる。
白髪の少年アレンだった。
アレンは剣に選ばれて以降、とてつもない訓練と凄まじい執念で世界最高クラスの戦士となる。
幼馴染のタンク役のバルドスと魔導士のレナートとヒーラーのキーンといったメンバーと幾体もの魔物を狩ってきた。
そして、魔王配下の四天王達を倒し、ここまで来ている。
頼もしい仲間だとアレンはいつも心から頼りにしていた。
魔王の攻撃から正気に戻れたのはヒーラーのキーンのおかげだった。
「みんなー!!!正気を取り戻しなさい!!私達は諦めちゃだめ!!明日を生きるために!!」
そうだ。アレンは思った。
この仲間達となら、この最強パーティとなら、と。
そして、魔王への反撃の糸口を掴む。
「ヴァルデンは目の三つ目の真ん中が急所だと古い文献で読んだことがある。そこを狙うぞ!!」
アレンは剣の切先を天上に向ける。
「今自由を求めし、精霊達よ。今我らと共にその宿願を叶えたまん!!」
全員がアレンの手に手を重ねる。
「行っけーーー!!!!!!!!」
「俺たちは日々を積み重ねるごとにいろんな問題に直面していく!それを闇の力によって力任せに解決したつもりになっているお前は現実から逃げた!!だが、俺たちは仲間と共に死ぬほど苦しい時間だって乗り越えてきたんだ!!その人間のしぶとさでお前をぶち壊す!!」
そうアレンは呪われた子として少年期誰も近寄ってこないほどに忌み嫌われていた。
だが、たゆまぬ鍛錬と勇者の剣に選び抜かれた誇りとともに今までいくつもの敵を打ち破ってきた。
そのアレンの言葉に仲間達も。
「そうだ。アレン。人間は1人で生きられるほど強くねえ。むしろ弱い生き物だ。」レナートは言った。
「でも違う人がいる分だけ面白い化学変化を起こすこともあるし、わからないものね。」キーンだ。
幼馴染のバルドスが言う。
「アレン。お前と出会えてよかった。」
アレンは剣で両断した魔王を一瞥し、目尻に煌めく水が浮かんでしまうことに苦笑していたのだった。