咎人の仕事
さてさて、はじめまして、こんにちは。
ジャン・レモンと申します。
ふざけた名前だと思った人、読みなさい。
スベってる、イタいな、こいつと思った人、名前程スベったりイタい作品ではないようにするので読んでみて下さい。
その他の人、空いた時間の暇つぶし程度に目を通してくれただけでもありがとうございます。
本作は、以前、私があるサイトで公開していた作品のリメイクで、さらに掘り下げてみようと思い、書き綴ったものです。
とはいえ、リメイク前の作品をご存知無い方がほとんどだと思いますが、これを期に、変なペンネームのネット作家がいるな、と思って下さったらありがたいです。
では、本編をどうぞお楽しみください。
ジャン・レモン
さて、これから、どうやったら生きていけるんだ?
さして広いとも言い難い七畳一間のアパートで、一人の男が自分の財布と一袋の米袋を並べ朝早くから眉間に皺を寄せていた。
「まいった。これじゃあ一週間ともたねぇ…」
米袋の中にあるべき米は5分の1程度しか残っておらず、財布の中身は樋口一葉が印刷された日本銀行券が一枚に小銭がいくらかあるばかり。
男は、ため息をつきながら横にあるテーブルに置いたままの紙に目を向ける。
紙面には“免職通知”と無愛想な明朝体で文字が印刷されているだけだ。
“3月20日をもって貴君、静狩 一士を公安委員会零課所属の任を解く。民間人に戻る事を是とし、貴君のこれからの活躍を期待申し上げる”
直属の上司である花井 源太郎から手渡された解雇通知。
公安の、しかもちょっと特殊な分野を担当する零課の課員に就職したのは3年程前。期待に胸膨らませ、頑張って来たつもりだったが、上司から不要の烙印を押されてしまったのか、と落ち込んだのは3秒ほど。次の瞬間には花井課長の首を絞め、「何故自分がクビなのだ」と詰め寄ったが、「上の指示だからしょうがない。荷物をまとめて早く出ていけ」と言われ、首筋に同僚の当て身をくらい、昏倒。
気がついたら職場の駐車場の隅っこに寝かされていた。
「三日たっても何の連絡もねぇってことはマジでクビにされた、ってことか?」
首を捻り考えてみたが、何せ新卒で零課に配属されたのだ。
他の一般的な公官庁や企業ではこのようなことが普通では有り得ない事であるとは露知らず、まあ、そんなものかと考えたが、実質、生きていく為に必要な食料が無い事を思い出す。
自然と、免職通知書の裏にある一枚の紙を前に出し、しげしげと読んでみる。
文面には花井の紹介状であることを示す内容と、簡単な地図が載っているだけだ。“今後の就職活動や見聞を広めるにしても好都合な場所がある。そこに人材登録していれば君にピッタリの仕事を回してくれるはずだ。”
「…………」
どーゆうことだ?
つまり、えーっと、人材派遣企業を紹介するってことか?
そこまで考え、一士はもう一度地図を見る。
場所は都内。問題はその地図に赤く丸を押された建物がある場所。五角形の石垣と、同じ形で一回り大きな堀でかこまれた、
「……皇居?」
花井の紹介するという人材派遣会社とは皇居の中にあるということか?ということは国営?
そんな人材派遣会社聞いたことない。
ともあれ、だ。
「実際金がねぇんじゃ死ぬしかねぇ。それがいやなら稼いでこい、ってか」
自分に言い聞かせるように一士はスーツに着替え、出掛ける支度を整える。
だが実際、本人には全く聞かされていないことだったが、公安零課のクビ宣告から皇居の人材派遣会社へ一士が人材登録する、という流れは、正確に表現するならば“出向”。そして、彼がこれから行く人材派遣会社(仮)は、民間企業ではなく、正真正銘、言い訳の余地のないくらいの政府機関。
業務内容は、ただ一つ。
曰く、“超常現象の対策及び処理作業”
つまりは、オカルト現象に対する特別機関である。




