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第一話 俺、悪役令嬢になったみたい

はじめまして!読んでいただけると嬉しいです!

明るいハイテンションラブコメになります⭐︎

神様、これ、絶対 人選間違ってる気がするんだけどーーーー




大きな鏡に映っているのは、10歳くらいのひらひらのドレスを着た女の子。ちょっと吊り目で、ふわふわの赤毛の髪には大きな青いリボンが結ばれて、ポニーテールになっている。じっと鏡に触れると、ひんやり冷たい。



………これ、"俺"じゃん。



あたりをぐるりと見渡す。

カーテンが閉められているから少し薄暗い。ピンクを基調とした豪華な家具、天窓がついたふわふわひらひらのベッド、細かいキラキラした飾りのついた棚、かわいいぬいぐるみーーーー。いかにも女の子らしい部屋だ。




そのまま、ゆっくりと息を吐いた。


ここ、どこだよ、と言いたくなるけど、実はこの景色には心当たりがあった。

姉ちゃんがハマっていた乙女ゲームの部屋の景色。やり込みが激しかったから、横で見ていた俺も覚えてしまっていた。




………そして、この見た目にも心当たりがあった。


その乙女ゲームの、悪役令嬢の子供の頃の姿。




(………うん、わかった、神様。


これは悪役令嬢に転生するお話ですね…………?)




でも、でもさ、聞いてよ。





……………俺は普通の、"男子"高校生だったんだけど。


…………性別、間違ってない?




◇◇◇





俺は16歳のフツーの男子高校生だった。


四人家族で、姉ちゃんによくパシられていた。

剣道部で、勉強はフツー。彼女はナシの、普通の学生だった。

『だった』っていうのは、多分俺は死んだから。


ある日、俺は姉ちゃんに乙女ゲーム「深淵のフロンティア」の特集が載っている雑誌を買ってこいってパシられた。地元の本屋にはなかったから、遠くの大きな本屋までわざわざ行った。

多分その帰りに死んだんだと思う。車が突っ込んできた記憶はある。大通りを歩いていたら、猛スピードで突っ込んできた。ちょうどその時、買った雑誌をパラっとめくっていたはず………。




(だからって、悪役令嬢に転生させるのはアリなのかよ。)




乙女ゲーム「深淵のフロンティア」は、王道の乙女ゲームだけど、バトルシュミレーションゲームでもあった。

貴族の集うアデリア学園に通う平民のヒロインが、王子や貴族たちを恋愛で攻略していく話だ。なぜ"深淵"かっていうと……まあ、登場人物がみんなひねくれてるからって説が有力らしい。心の闇なのかな、知らんけど。


そして、このゲームは"魔法"によるバトルも有名だった。

この世界では『魔力』の数値がほぼほぼ社会的ステータスと連動している。魔力の高さは遺伝的要素が強く、まれに平民の間にすごい魔力を持った子供が生まれたら貴族に養子に出されたりしていた。後天的に魔力を増やすこともできるが、基本的には先天的な魔力の強さが重要視されていた。魔力の強さ=人の価値、みたいな世界観だ。


ヒロインたちが通うアデリア学園は、魔法の使い方を学ぶエリート学園だった。学園のほとんどは貴族が占めている。

そこでたまにバトっていた。授業の一環で。

恋愛シュミレーションゲームなのに。



その物語の悪役令嬢にあたるのが、今の俺の姿であるエライザ・ノイシュタット。ゲームの中じゃ15歳って設定だったけど、今の外見は10歳くらいに見える。

ふわふわの長い髪をポニーテールにして、大きなリボンをつけている。キッとした瞳が特徴的だ。

エライザは地方の貴族の一人娘で、めちゃくちゃワガママで承認欲求の塊で、人のことを地位でしか見てないヤツだった。立ち位置は、正ヒーローである第二王子、レオン・ルーデベルグの婚約者。

だからか知らんけど、平民にも関わらず王子たちにチヤホヤされるヒロインが大嫌いで、陰湿かつ直接的ないじめも散々してきた。水の魔法でよくヒロインをびしゃびしゃにしていた。したたかで嘘つきで、腹黒いキャラで……、(言ってて悲しくなってきたな。)


エライザは完全な敵役だから、ゲームでは大抵、追放か処刑ルートだ。

第二王子レオンとヒロインがくっついて、レオンに婚約破棄されると、100パーセント処刑エンドへの道を辿る。

唯一の和解ルートは、ヒロインが神になって人の心を浄化するとかいう、ファンの中では『洗脳ルート』と呼ばれるルートしかなかった。ファンの間でも「あれはハッピーエンドじゃないだろ……」と苦言を呈されていた。


どのルートもまともじゃない。





……………(エライザ)、詰んでね?






また鏡を見て、頬をつねる。……やっぱり痛い。





………せっかく転生したならさ、その、王子とか、そういうヤツにしてくれよ!俺、男だよ!



せめて、モブのモブでいいからさ、女の子でもいいからさ、………ハッピーエンドがある人にしてくれよ!!



俺は鏡の前で、可愛らしい女の子の姿になって途方にくれていた。

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