安楽死ボタンがインストールされました
安楽死を導入してほしい。という声を聞いたのでじゃあそんなボタンがあったらどうなるかなと、ふと思いついたので忘れないうちに書いてみました。
《安楽死ボタンがインストールされました》
それはある日、俺のスマホに届いた通知。でもこれは俺だけじゃない。全国民に届いた通知だった。
3日経った今もアンインストールできない謎のアプリ『安楽死ボタン』について誰もがツイート、配信していた。
俺も興味本位で安楽死ボタンを起動したが、青いボタンと次の文言がスマホに表示された。
《安楽死ボタンを押すと次の3つが決定されます》
1:あなたの死に方
2:安楽死の執行者
3:執行者が受け取る対価
そして案の定、安楽死ボタンを面白半分で押す奴が現れた。再生数稼ぎでやった結果、その配信者は本当に死んだ。正確にはそれ以来見なくなった。
死んだ──と言うより、執行者によって安楽死させられたんだと思う。しかしそんな人柱たちのおかげで安楽死ボタンについて、以下のことが判明した。
●執行者に選ばれた者の安楽死ボタンは赤色に変わる
●執行者は24時間以内に安楽死を執行しなければいけない。もしできなければ執行者本人の安楽死ボタンが押されたことになり、別の執行者が再度選定
●執行者が受け取れる対価は安楽死ボタンを押した相手の物すべて
●他人の安楽死ボタンを押すこともできる
──こんなアプリ、無視していれば普段と変わらない。使いたくなったら使えば良い。さっきまでそう思っていた──ほんの数分前、頼んでいないウーバーイーツが来た。どうせイタズラなら、高級鰻重でも食べたいのに受け取ったのは真っ黒い箱。重箱のようだが食い物の気配はない。好奇心に勝てずそれを開けて分かったことがある。
●安楽死ボタンの執行者に選ばれた者は、ウーバーイーツで必要な道具が配達される
俺に届いたのは光沢のある銀色のコートと鍵。そしてスマホに通知が届いた。例のアプリからだ。通知を開くと、マップと共に「ターゲットはここ」という文言。そして23時間54分という数字。減っていく俺のリミットだ。
俺は、執行者に選ばれてしまったんだ。
後にいわゆるデスゲームのような、10人規模で行う『安楽死ボタンゲーム』みたいなのを投稿する予定です。