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第7話しつこいナンパと怒りの雛乃(女は怒ると怖いんです)

まだまだ頑張ります!

「ねぇ彼女ぉ。何してんのー?」

「てか可愛いね君マジ!」


突然、両耳にピアスを付けたロン毛の茶髪の男と、ごつごつした体にタンクトップ、肩にタトゥーを彫り込んだ金髪の男が話しかけてきた。

どちらもどう見てもまともではなく、如何にも遊んでいますという風なチャラ男達だ。

というか、隣に僕がいるんですけど、気づいてない訳ないよね?

もしかして無視してる?

僕の存在、否定してますか?


「……あ、あの「よく見るとマジで可愛いなー!!どう?俺達と遊ばねー?」…無視?」


ちょっ!?今僕の言葉を遮りましたね?

聞きたくない気持ちも分からんでもないけど、もうちょっと話を聞く耳を持とうよ。

そ、そんなウザそうな目で僕を見なくても良いんじゃないか?

雛乃の方は首を傾げていて、よく分かってない顔してるし。

2人のチャラ男は尚も雛乃を口説いているが、雛乃は未だに分かっていない。

と、突然何か理解したように雛乃が顔を上げると、僕に聞いてきた。


「雄司様、この方達はもしかして私達に何かを伝えようとしているのでしょうか?」


あ、やっぱ全然分かってない!

仕方ない、面倒くさいけど、雛乃にはきちんとこういうのを説明してあげないといけないな。

僕と一緒でも寄ってくるんだ、1人にさせると凄く危ない!


「あのね雛乃、こういうのはナンパといって、男性が女性を誘って、まあ遊んだりすることだよ。詳しくは知らなくて良いから、取り敢えずは知らない人に誘われても、着いていかないこと。いいね?」

「はい、分かりました」


僕の曖昧な説明でも雛乃は快く頷いてくれた。

うん、これで一安心……、


「おいおい!何無視してくれちゃってるの!?話はまだ終わっちゃいねーぞ!」

「そーだぜ!野郎はすっこんでな!」


……じゃないな。

あー、もうどうしよう?あまりにしつこい!

僕が頭を悩ませていると、チャラ男達が急に雛乃に近づく。

そして、僕をチラリと見下すと鼻で笑うように言った。


「君さ、何でこんなに可愛いのに、この程度の冴えない奴と一緒にいるの?」

「本当だぜ!そんな野郎よりも俺達と一緒の方がスゲー楽しいぜ!」


……そんなこと、本人の目の前で言わなくてもいいんじゃない?

幾ら何でもそこまで言われるとちょっと傷つくよ。

流石に温厚な僕でも我慢出来ない!

一言注意したって、罰は当たらないよね?


「すみませんが、僕達は忙しいので……」


しかし、相手が怖いので穏便に断ろうとしたら、2人は過激に反応した。


「ああん?ナマ言ってんじゃねーよ!この野郎!」

「舐めてんのかテメー!ブッ殺すぞコラァ!!」


そう脅すと、茶髪の男が僕の胸倉を掴み、眉を釣り上げて睨みつけた。

ひ~!こ、怖い!!も、もう嫌ー!!誰か助けてー!!

すると、僕の思いが通じたのか、雛乃が茶髪に注意した。


「今すぐ雄司様から手をお放し下さい!」


まさかと思って振り向いて見ると、雛乃が怒った顔で茶髪を見ていた。

な、なんか拙い雰囲気なのでは?


「ひ、雛乃!僕は大丈夫だから!落ち着いて!」


僕は慌てて雛乃をなだめる。

なんだかもう嫌な予感しかしない!

そしてその予感は的中する。

茶髪は雛乃を見ると、ニヤリと笑った。


「だったら、こんな奴ほっといて俺達と遊ぼーぜ!オラァ!」


茶髪はそう言うと、最後に僕を胸倉から手を放し、突き飛ばした。


ガシャーーンッッ!


突き飛ばされた僕は、ヨロヨロと後ろによろけ、偶々落ちてた空き缶踏みつけて転び、ゴミ箱に突っ込んだ。


「雄司様っ!!」


雛乃はすぐに駆け寄って僕を抱き寄せる。

う~、いたた。ちょっと擦りむいたかな?

ていうか、この頭の位置、顔に胸が当たってるんですけど。

雛乃を見ると泣きそうになっている。

おっと、駄目だ!煩悩退散!


「雛乃、僕は大丈夫だから、ね。そんなに心配しないで」

「雄司様……」


僕は手を雛乃の頬に触れる。


「雛乃に悲しい顔は似合わないよ。一番似合うのは笑顔だからね」

「……はい、雄司様」


雛乃は頷くと、とても綺麗な笑顔を見せてくれた。

僕はポ~ッと見惚れていると、また邪魔が入る。


「オイオイ、くせーセリフ吐いてんじゃねーよ」

「ガキは家に帰って糞して寝な」


うぅ、あいつらまだいるのか。

もー!!さっきの良い雰囲気だったろ!

空気読んでよ!チクショー!

男達が近づき、雛乃の肩に触れようとしたとき、雛乃がピクッと反応すると同時に、


フワッ


と、僕を抱きかかえて男達の頭上を飛び越え、離れると、スタッと着地する。

男達は手を空振ったまま固まり、驚いていた。

そして僕も驚いている。あの澄み切った暖かい雛乃の瞳が冷めていたのだ。

雛乃は僕を背後に立たせると、守るように男達の前に出て口を開いた。


「私は雄司様の守護者!雄司様以外の者に指一本触れられる訳には参りません!そして……」


ゴゴゴゴゴゴッッッ!!!!


雛乃の力が大気を震わす!!


「何よりも、雄司様への乱暴狼藉、許せません!!」

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