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第16話グループ勧誘とやりすぎた体力測定(ちょいチートのヒロインが可愛い!)

何とか投稿を早めます!

「ど、どうしよう真也!僕困るよ!」

「大丈夫だ、落ち着け雄司。まずは当初の予定通りに雛乃ちゃんと組む。次に、奴が邪魔をしない様に俺がガード兼フォローをするから、お前はとにかく良い記録を出せ」

「わ、分かった、頑張る!」


コクリと頷くと、真也は満足げに笑い、共に雛乃達の方へ向かった。


近くまで行くと、気づいたのか雛乃がこちらに振り向き、嬉しそうに微笑んだ。


「雄司様、わざわざお出迎えに来て下さり、ありがとうございます!」


僕はいやそんなと大袈裟に首を振る。


「い、いや、それくらい構わないよ!頼みたいこともあったしね」

「頼みたいことですか?わかりました!何でも言って下さい!」


雛乃はギュッとその豊満な胸の前で両手を握り拳を作って、尻尾をパタパタと振る子犬のように笑みを浮かべる。

うぐっ!か、可愛い!

その仕草は反則だろ!今にも萌え死にそうだ!

緊張で心臓がピ~ヒャラドンドンとお祭り騒ぎだが、背後から真也の「当たって砕けろ!粉骨爆砕だ!」というツッコミどころ満載の応援(?)に従って、意を決める。


「ひ、雛乃!」

「はい」

「僕達と、い、一緒のグループに入「それは却下ね」……えっ?」


拒絶の声の方を見ると、ブスッと睨んでいる(目つき怖っ)香山さんと、溜め息をしながら苦笑いしている松永さんがいた。


「な、何で?何時からそこにいたの!?」

「最初からいたわよ、この唐変木が!アンタもどうせ、雛乃ちゃん目当てで来たんでしょ!魂胆見え見えなのよ!綺麗な川までぶっ飛ばしてやるわ!」


人はそれを三途の川という。

僕は出鼻を挫かれ、香山さんのマシンガントークに唖然としてると、松永さんが見かねたようにやれやれと溜め息をつき、香山さんを止めに入った。


「玲ちゃん、一旦落ち着いて」

「嫌よ!こんな下半身馬鹿の地味な薄幸男なんて……」


ドスッ!


「グボォッ……!!」

「落ち着いて、ね♪」

「ハ…ハイ…ッ……(吐血&悶絶)!」


すげぇ、脇腹にフックか。あれは痛い。

しかし、地味で薄幸男って、否定出来ないだけに凄く落ち込む。

いや、慣れてる事だ!今更気にしないよ!こんな事で泣くもんか!ちょっと目にゴミが入っただけで!本当に泣いてなんかいないからな!…………っ(泣)!

目に入ったゴミを取っている(フリ)と、松永さんが見ていることに気づく。


「な、何かな……?」

「ん~、君も雛ちゃんを誘いに来たんでしょ?」

「そうだけど……、『も』って事は他にもいたの?」

「うん、あれ」


松永さんがある一点を指差す。

つられて見ると、何故かピラミッドが建っていた。

よく見ると、それは男子達の山で出来ていることが分かった。


「え~と、あの死体(?)の山は何なの?」

「君達と同じ様に雛ちゃんを誘いに来た男子達なんだけど、分かりやすい位の下心が見えたから、玲ちゃんが瞬時に排除して積み上げちゃったの」


それにしても、流石にここまでヤ(殺)ること無いんじゃないかな?


「壮絶だね……」

「だよね♪……で?」

「えっ?」

「えっ?、じゃ無いよ。君はどういうつもりで雛ちゃんを誘いに来たの?返答によってはあの山の一部になっちゃうけど?」


松永さんが屍山(命名)を指差し、小首を傾げる。

え、えぇっ!僕いつの間にか窮地に陥ってる!?

これで下手なことを言ったら、死体(?)と同類と見なされて山の一部にされてしまう!


「ち、違う!あの変態達と一緒にしないでくれ!ただ純粋にグループを組みたいだけだ!」


若干背中に冷や汗をかきながら説明していく。


「それに僕と雛乃は従兄妹同士で、雛乃の慣れてない学校生活を頼まれてるんだからね!」


多少は偽りは無いと思う。

爺ちゃんの目論見は分からないが、任されていると思いたい。


「ふ~ん、そーゆー事なら良いんじゃない?玲ちゃんもいいよね?」

「……チッ!仕方ないわね。変な素振りを見せたら引っこ抜くわよ」

「どこをっ!?」


こ、怖えぇ……。

何か生きた心地がしないよ。

でも取り敢えずは第一関門は突破したな、やれやれ。


これで僕、雛乃、真也、香山さん、松永さんと5人グループが出来たわけだが、まずはどこのエリアに行こうかな?


「50m走からやるか?丁度場所も近いし」


真也の提案に皆が頷き、早速始めることにした。

お互いにジャンケンをして、真也、松永さん、僕、香山さん、雛乃の順に決まった。

真也がスタートラインに立ち、軽くストレッチをして準備する。

僕達は折角だからと応援することにした


「秋本くーん、頑張れー♪」

「真也、頑張れよー」

「……こけろ」

「真也さん、頑張って下さい」


僕達の応援(一部呪い?)にビッと親指を立て、いよいよ始まった。

ゴールラインの両端には1m程の柱があり、装置の合図によってスタートし、通過するとセンサーで数値を測り、表示される。

はてさて、どうなることかな?


『位置について、用意!ドン!』


ダッ!


『ピッ、5秒7』


はぁ…、やっぱ真也は凄いな。その運動神経が羨ましいよ。

向こうでガッツポーズをしているところを見ると、良い結果だったらしい。

こっちに戻ってきたときは、とても爽やかな笑顔をしていた。


「秋本君速いねー♪」

「やっぱ凄いな、真也」

「……まあまあじゃない?」

「真也さん、お疲れ様です」


僕達の労いの言葉にニコッと笑うと、周りの女子班からの「キャー、カッコイー」との黄色い声が聞こえる。

はぁ、顔が良いと得だな。

やっぱり男は顔か?顔なのか?

僕の容姿じゃ絶望的だと言いたいのかチクショー!

だんだんとネガティヴな思考になっているのに気付き、ブンブンと頭を振る。

その間に2番手の松永さんが準備していた。

おっと、応援しなくては。


「松永さーん、頑張れー」

「千影ー、頑張ったらキスして」ドゴッ!「ぶべらっ!……シャイニングウィザードとは……ガクッ」

「ち、千影さん、頑張って下さい。あの、玲奈さん、大丈夫ですか?」

「雛乃ちゃん、大丈夫だからそっとしといてやってくれ(これでしばらくはチャンスかな?)。さて、俺もやるか。千影ちゃん、頑張れよー」


『位置について、用意!ドン!』


タッ!


『ピッ、7秒2』


へぇ、松永さんも割と速いんだな。

次は僕の番だ、準備でもしとこう。

軽くストレッチしてると、松永さんが戻ってきた。


「松永さんお疲れー」

「……むにゃむにゃ」

「千影さん、お疲れ様です」

「千影ちゃん速いねー」

「エヘヘー、ありがとー♪」


松永さんは照れ笑いを浮かべながら香山さんの側まで行くと、ユサユサと揺すり起こし始めた。


「玲ちゃーん、起きないと風邪引くよー?」


眠らせた本人が何を言う。


「……むにゃ、あと5時間……」

「授業終わっちゃうから駄目ー!」

「……添い寝して柔肌をまさぐらせてくれたら起きるぅ……」

「……玲ちゃん、起きてるでしょ?」

「(ビクッ)……むにゃむにゃ、寝てるよ~、だ、だから、ハァハァ、そ、添い寝を」ズドンッ!「ゴフゥッ!ち、千影、寝てる人の腹に、思いっきり体重を乗せた、踵落としは止めて!もう少しで、中身が、出ちゃうとこ、だったから!」


しばらく腹を押さえてのたうち回り、数秒すると何事も無かったかの様に立ち上がった。割と頑丈なのかもしれないな。

さてと、そろそろ位置に着くか。


「雄司、頑張れよー」

「天坂くーん、頑張れー」

「……果てろ」

「雄司様、頑張って下さい!」

「「雄司様?」」


あ、松永さんと香山さんが同時に雛乃を見た。

何か嫌な予感がするが、まずは走るか。


『位置について、用意!ドン!』


ダッ!


『ピッ、9秒7(笑)』


ちょい待てや、そこの機械!今小さく笑いやがったな!

さっきまでそんな機能付いてなかったくせに!

何で機械にまで馬鹿にされなきゃいけないんだコンチキショー!

余りの理不尽に落ち込み、戻って行くと更なる追い討ちがきた。


「ねぇ天坂君、いくら従兄妹でも様付けはどうかと思うよ?」

「従兄妹同士でも赦されない立場なのに、雄司様とか呼ばれて悦に入ってる変態なんて、救いようがないわね」


えぇっ!そんな、好きで呼ばせてるわけじゃないのに!

何度かやんわりと断ってるんだけど、全然聞いてくれないんだもん!

涙目で「いけませんか?」とか言われたら、肯定するしか無いじゃないか!

女の涙には弱いんですよ。

当の雛乃はというと、


「雄司様、お疲れ様でした。汗をお拭き致しますね」


そう言って冷たいタオルで顔を拭いてくれる。

その行為は嬉しいんだけど、松永さんと香山さんの視線が痛いのですが……。


「雄司、去年よりは速くなったな」


2人の視線にビクビクしていると、真也が肩をポンッと叩いた。


「うん、去年は12秒台だったからね」

「まあとにかく、お疲れさん」


真也の労いの言葉に、少し気が楽になった。


「よし、次は私の番ね!千影、雛乃ちゃん、愛の応援よろしく!」

「愛は無いけど、頑張れー♪」

「え、え~と、頑張って下さい?」


雛乃は意味分からずに、取り敢えず応援してるって感じだな。

僕等も一応応援するか。


「頑張れー、香山さん」

「玲奈ちゃん頑張れよー」

「後で殺すっ!」

「「何故っ!」」


殺生な言葉を残し(目が本気だった)、香山さんが位置に着いた。


『位置について、用意!ドン!』


タッ!


『ピッ、6秒7』


香山さんも速いな。

戻って来ると、真っ直ぐに松永さんと雛乃の所に向かう(僕等は無視)。


「玲ちゃん速いねー♪」

「玲奈さん、お疲れ様です」

「へへー、2人の応援のお陰よ」


僕等はまるで蚊帳の外みたいだ。


「真也、どうする?」

「下手に口出すと厄介だから黙ってよう」

「そうだね」


お口にチャックをしていると、香山さんがこっちに振り向いた。


「あんた達、労いの言葉も無いなんて、人としての礼儀を知らないの?このカス!」

「「ひどっ!」」


この娘の基準が全く分からない!

少し凹んでいると、いよいよ雛乃の番がきた。

僕は皆に気付かれない様に雛乃の側に寄ると、小声で話す。


「雛乃、大丈夫なのか?」

「雄司様、やり方は見てて理解しました。50mを走ってその速さを測るのですよね。なので心配ありません!」

「いや、まぁ、それなら良いんだけど……」


雛乃の自信に一抹の不安を残しながらも、取り敢えず任せることにした。


「雛乃ちゃん頑張れよー」

「雛ちゃん思いっきりいけー♪」

「雛乃、え~と、程々になー(汗)」

「雛乃ちゃんファイトー」


僕達の応援に頭を下げて微笑むと、位置に着いた。


『位置について、用意!ドン!』


シュバッ!


『ピッ、1秒4』


やっちまったぁぁぁっっ!!

ちゃんと雛乃にゆっくり走るように言っておけば良かった!

恐る恐る皆の方を見ると、


「「「………………」」」


3人だけじゃなく、周りの皆の目が点となって見ている。

マズい、どうやって誤魔化そう。

上手い言い訳を思案していると、何も知らない雛乃が戻ってきた。


「あれ?皆さんどうかなさいましたか?全く動いて無いようですが……」

「「「………………」」」


拙い!本気で拙い!何とか誤魔化さないと!

良い知恵は無いかと脳をカラカラ回していると、映像を一時停止から再生したように皆が動いた。


「す、すげぇよ雛乃ちゃん!1秒ってどんだけ速いんだよ!」

「雛ちゃん凄ーい!オリンピック選手真っ青だよ!」

「ハァハァ、やっぱり私の目に狂いはなかったわ!雛乃ちゃん最高よ!」


周りの皆も揃って感心している。

もしかして、僕の取り越し苦労なのかな?

結構受け入れられてるみたいだし、どうやら心配なさそうだ。良かった。


それから各種の測定エリアを回ったが、かなりの冷や汗ものだった。

握力測定では測定機を握り潰して不能にし、

砲丸投げでは落下することなくお星様に変え、

反復横飛びでは分身する始末だ。

測定はきちんと測らなくてはいけないという真面目さが災いし、相当目立ってしまった。

流石にここまでしたら拙いかと思ったが、変わらず受け入れられてるので、嫌われるよりは良いと割り切った。


時は過ぎて放課後、僕と雛乃が帰ろうとすると、目の前に3人の影が立ちふさがる。

真也と松永さんと香山さんだ。


「雄司、もう帰るのか?」

「うん、もう用事は無いし、さっさと帰ってのんびりしようかなと」

「だったらたまには付き合えよ。ちょっと俺達で話し合っててな、雛乃ちゃんの歓迎会兼親睦会をしようと思ってよ。勿論そっちの都合に合わせるし、強制はしねーから」


へぇー、良い考えだな。それなら雛乃も友達と仲良く出来るし、楽しんで貰いたい。


「雛乃、どうする?」

「はい、構いません。よろしくお願いします」


ペコリと頭を下げる雛乃に僕達は微笑み、教室を後にした。


AU「はい始まりました、毎度お馴染みキャラクターお悩み相談コーナーです。今日はヒロインの純白の守護天使こと、桜花雛乃ちゃんに来ていただきました!どうぞ!」

雛乃「え、えっと、お招きいただき、ありがとうございます!」

A「いやー、雛乃ちゃんは礼儀正しくて可愛いねー!」

雛「ど、どうも……。あ、クッキーを焼いてきましたので、よろしければどうぞ」

A「うひょー!流石は雛乃ちゃん!サクサク、うーん美味い!」

雛「それでAUさん、ここはお悩みを相談する場所みたいですが、雄司様の話では弄られるだけで解決なされないと聞きました。そうなのですか?」

A「(ギクッ)は、はは、そんな事はないぞ?(アイツそんな事を!後でもっと不幸にしてやる!)それより、雛乃ちゃんのお悩みを聞こうか?」

雛「そうですね……(チラッと時計を見る)、あら、そろそろお買い物を済ませませんと!雄司様がお腹を空かせて待っていますので、帰ってもよろしいですか?」

A「えっ!?ちょっ、お悩みは!?」

雛「雄司様のお傍にいられるだけで十分です。それでは失礼します。バタン(←扉を閉める音)」

A「あ~……、時間を見計らって誘えば良かった。……えーと、次回こそはまともにしますので、また会いましょー」

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