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第13話質問タイムと気持ちの自覚(青春とは良いものだ)

次回は新キャラが続々と登場しますので楽しみにして下さい。

「HRは質問時間にしてやる。だから男子共、その飢えた野獣の目はやめろ!このクラスで性犯罪なんぞ洒落にならん!」


先生は拳を握り、睨みを利かせる。

男子達は[メテオ]を恐れてテンションを下げた。


「ったく、マセガキ共がっ!さて、桜花君はそこの天坂の隣の席に座ってくれ」

「はい」


先生は僕を指差して言うと、雛乃は頷いて僕の隣の席に座った。


「雄司様、すぐに会えて良かったです」

「うっ……、そ、そうだね……」


雛乃は嬉しそうに微笑んでるが、僕は引きつった笑いしか出来ない。

まただよ!

男子達の鋭い視線があちこちと刺さり、居心地が悪い!

ただ隣で座ってるだけじゃないか!

僕はなにもしてませんよ!?

先生は男子達の様子を見て溜め息をついた。


「お前ら俺の話なんぞ聞く気がないようだから、もう質問時間にしてやる。委員長、頼んだぞ」


やれやれと首を振りながら、窓側の端に行くと、壁に寄りかかって腕を組んだ。

そして、委員長の山中君が教卓に立つと、早速始まった。


「それでは桜花さん、前に来て下さい」

「はい?」


雛乃は小首を傾げて僕を見る。


(雛乃、昨日説明したように、聞かれたらちゃんと答えるんだよ?)


僕は小声で伝えると、コクンと頷いて前に行った。


「では、桜花さんに質問したい人は手を挙げて下さい」

「「「「ハイハイハイハイハイ!!!!」」」」


う、うわぁ……、男子達(主に非モテ軍団)の目が血走ってるよ……。

それに鼻息も荒いし、このクラス大丈夫なのか?


「趣味と特技は何ですか!?」


おっ、基本的な質問だな。

予想範囲内だ。


「趣味は料理、洗濯、掃除です。特技は趣味と被りますが、料理ですね」


なるほど、道理で家事が上手い筈だ。

少なくとも僕にとっては理想的だな。


「好きな食べ物は何!?」


これもよくある質問だな。


「そうですね、果物のキウイ等が好きです」


ふむ、キウイか。帰りにスーパーに寄って買ってあげよう。


「好きなスポーツは!?」


多分、格闘技かな?

結構強いし。

イメージ的には、せいぜい散歩位だよな。


「すぽーつ(?)というのは分かりませんが、跳ぶことが好きです」


恐らく雛乃と皆の考えは違うだろう。

多分皆は縄跳びや走り幅跳びとか考えてるよな。

しかし思ったより男子達の質問は普通だぞ。

てっきりセクハラの質問をするかと思って警戒してたから、安心したよ。

ホッとするのも束の間、次の質問で僕の不安が的中する。


「スリーサイズはいくつですか!?」


ゴンッ!


僕は机に頭をぶつけた。

クソッ、油断した!

おのれ変態共め!

雛乃になんつー質問を!

拙いぞ!雛乃のことだからアッサリ答えちゃうかも!?

絶対に断固阻止してやる!


「はい、スリーサイズは上から「ワー!ワー!ワー!ワー!ワー!」です」


ハア、ハア、ハア!

ふう、久々に大声出して喉が痛いな。

でも雛乃のプライベートを守れたからいいか。

今度、答えて良いことと悪いことを教えなきゃな。

僕は帰ってからでもと、予定を立てる。

ふと視線を感じたので見てみると、変態共が睨みつけていた。

表情から見るに、『テメー余計なことしてんじゃねーよ(殺)!』といったところか。

怖いけど、そんなのに屈する僕じゃないぞ!

変態の魔の手から雛乃を守るんだ!

僕はメラメラと使命感に燃えた。


「好きな男性のタイプは!?」


うっ、雛乃の好きなタイプか……。

凄く気になるぞ!


「ずっと側にいてくれる人が好きですね」


ずっと側に……か。

簡単なようで難しいことだよな。

僕はどうだろう……。


「恋人はいますか!?」


え~と、いない……よね?

もしいたらどうしよう……。

何だか凄く……嫌だ!

祈るように雛乃を見る。


「いいえ、いません」


雛乃はキッパリと言った。


「ならば、この俺とお付き合いを!」

「いや!俺の方がいいぞ!」

「身の程を知れ!この俺こそ相応しい!」

「なんだと!やるか!?」

「やらいでか!」


男子達は席を立ち、お互いを睨みつける。

拳を握り、一触即発状態になったところで、仲裁が入った。


「お前らいい加減にせんかー!!」


ドゴーーン!!


「「「「ギャアアアアア!!!!」」」」


先生の[メテオ]が男子達に炸裂し、頭が床にめり込んだ。

おお、まるで犬神家!

怖い光景だな。

しかし、恋人はいないのか。

ちょっとホッとしたよ。


キーンコーンカーンコーン


「よーし、ここまでだ。後は休み時間中にでもやってくれ。委員長」

「起立、礼」



時は過ぎて、昼休み。

僕と雛乃と、面白そうだからとついて来た真也と一緒に屋上で弁当を食べている。

いつものように購買部でパンを買おうとしたのだが、雛乃が弁当を作ってくれてたので、ありがたく頂戴したのだ。

その弁当に舌鼓を打ってると、真也が楽しそうに口を開いた。


「しっかし、午前中は凄かったなー!」

「……うん、そーだね(汗)」

「はい、驚きました」


あれは本当に驚いた。

休み時間になる度に、雛乃の噂を聞きつけた男子生徒達が、廊下にビッシリと蠢き、教室を覗いているのだ。

全校生徒が集まってるのかと思う位の多さだったな。


「……なぁ雄司、1つ聞きたいんだが……」

「ん?どうした、急に改まって……」

「お前と雛乃ちゃんの関係ってなんだ?」

「うぐっ!?ゲホゲホ!」


僕は喉に詰まらせ、むせてしまう。


「雄司様!はい、お水です!」


雛乃からコップを受け取り、一気に飲み干した。


「ングッ、ングッ、っふぅー、あーびっくりした……」

「雄司様、大丈夫ですか?苦しくありませんか?」


雛乃は僕の背中をさすり、心配している。


「もう大丈夫だよ。ありがと、雛乃」

「ご無事で良かったです!」


僕が無事を伝えると、ホッとして微笑んでくれた。


「……なぁ、本当に雛乃ちゃんって、お前の親戚なのか?」


さっきのやり取りを見ていた真也が、疑いの眼差しを向けている。


「勿論、親戚に決まってるじゃないか。何を言ってるんだろうねこの子は、アッハッハ(超棒読み)」


手をヒラヒラ振って笑いながら言う。

バレちゃいけない、誤魔化さないと!


「……嘘、だな」

「(ビクッ!!)」


な、なんで!

僕の完璧な演技がバレるなんて!


「な、何を根拠にそんなこと……」

「いや、お前明らかに棒読みだったし、それに雛乃ちゃんのお前に対する接し方が従順すぎるというか、守りたいって感じがしてんだよ。だから最初会ったとき、彼女かと思ったんだよな」


ぐっ!コイツ勘が鋭いぞ!

もう誤魔化しは効かないか!?


「あ、あのな真也……(冷や汗)」

「いいさ、それ以上は詮索しねーよ。だけど、これだけははっきりと聞いておきたい」


真也は徐に僕を引っ張ると、耳元でひそひそと聞いてきた。


(お前、雛乃ちゃんのこと好きだろ)


ドキィッ!!


(な、なにを!)

(顔赤くなってんぞ。まぁ好きとはいかなくても、少なからず想ってんだろ?)

(そ、それは……)


チラッと雛乃を見る。

確かに雛乃は綺麗で可愛いし、料理も美味いし、礼儀正しくて優しいし、スタイルも抜群で僕の理想的な……て、あれ?

そこで1つの結論に達する。

もしかして僕……。

と、ふと雛乃と目が合った。


「雄司様、何かご用ですか?」


雛乃はニッコリと微笑みかける。


「い、いや、何でもないよ!」


両手をブンブン振り、愛想笑いしながら目を逸らした。

顔が熱い。

胸がドキドキしている。

やっぱりそうか!

僕、雛乃が好きなんだ!


「ぷっ、ぷぷっ!」


自分の気持ちを確信していると、どこからか笑いを堪える声が聞こえた。

見ると、真也が手で口を押さえて必死に笑いを堪えていたのだ。


「おい、真也……(怒)」

「ぷっ、お、おめでとう、初めての、ククッ、恋だな!結婚式には、ぷっふぅ、呼んでくれよ!あはは!」

「こ……コノヤロー!」


それから昼休みが終わるまで、僕と真也の追いかけっこが続いたのだった。

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