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第9話今朝のボケツッコミと学園の日常崩壊カウントダウン(主人公の苦労が笑ってしまう)

まだまだ更新します。

ジリリリリリリリ!

目覚まし時計が鳴り響く。

僕は手探りでうるさい奴を探すと、バシバシと叩く。

静かにしろ、此奴め!

すると観念したのか、ピタリと音が止んだ。

よし!勝った!

目覚まし時計との勝負で、勝利を上げた喜びと共に、ベッドに潜ろうとしたところでふと気づく。

そういえば、今日は学園があるんだっけ?

このまま寝たら、確実に遅刻するな。

起きるか。

くっ!試合に勝ったが、勝負で負けた気分だ!

おのれ、目覚まし時計め!

このリベンジは必ず果たす!

僕は渋々目を擦りながら起きると、制服に着替え始める。

着替えながら部屋の片隅を見ると、きちんと折り畳まれた布団があった。

雛乃は既に起きてたのか。

そんなことを思いながら着替え終わると、キッチンへと向かった。

そこには雛乃が沢山の料理を並べているところだった。


「おはよー、雛乃」

「あっ、雄司様、おはようございます」


挨拶すると、雛乃は僕に気づき、嬉しそうに頭をちょこんと下げてきた。

その仕草が凄く可愛い!

僕はそう思ったが、顔に出すのを我慢し、席につく。

テーブルの上にはずらりと料理が隙間無く並んでいる。

まさか、これ朝食?


「ねぇ、雛乃。これは一体何かな?」

「ごはんです」


僕は数々の料理を指差して問い、雛乃はにこやかに答えた。

うん、見れば分かるよ。紛れもないごはんだということは。

問題なのは、パーティーの如く、量が多いのだ!

朝からこんなに食えるかよ!

でも、口に出さない。

折角作ってくれた雛乃に申し訳無いからね。

取り敢えず、食うか。

僕は早速食べ始める。

中華だったが、見た目と違い、結構サッパリしていて食べやすかった。

しばらくして時計を見ると、そろそろ行かないとヤバい時間になっていた。

僕は席を立つと、急いで部屋に戻って鞄を持ち、すぐに玄関まで走り、靴を履いて、ちょうどキッチンから出てきた雛乃に声をかけた。


「それじゃ、雛乃、行ってくるよ!」

「えっ?雄司様、どちらに行かれるのですか?」

「学校だよ!遅刻するとヤバいんだ!」

「がっこお……?」


雛乃は首を傾げる。

僕はちょっと嫌な予感がした。


「雛乃、まさか学校を知らない?」

「?」


雛乃は眉をひそめた。

どうやら知らないらしい。

爺ちゃんめ!ちゃんと雛乃に一般常識を教えてろよ!

脳裏に祖父の嘲笑う姿が浮かんだが、すぐに消去した。

こうなったら、僕が教えるしか……。

でも、もう時間無いし、帰ってから教えるか。


「取り敢えず、帰ってから教えてあげるから、留守番頼んだよ!」


僕はそう言い残し、学園へと走った。

雛乃を家に1人で居させるのは可哀想だが、流石に雛乃を連れて登校する訳にはいかないからな。


「…………様ぁ…」


取り敢えず返答を待たずに行けたから助かったよ。


「………司様ぁ…」


雛乃のことだ。私も行きますとか言いかねないから困る。


「……雄司様ぁ」


さて、どう説明したものか?……て、誰かが呼んでるような……。

それも上の方から?


「雄司様ー!」


まさかと思ってゆっくりと見上げると、屋根から屋根へと跳び移る雛乃の姿があった。

そして、一段と高く跳ぶと、僕の側にストンと着地した。


「やっと追いつきました!」


雛乃はホッとして微笑みを浮かべた。

しかし僕にはそんな余裕は無い!


「な、何で来てるの!?留守番を頼んだはずだよね!?」

「るすばんってなんですか?」


ズコーーー!!


僕はついずっこけてしまった。

ええい!帰ったら一般常識の勉強だ!

まずは雛乃を家に帰らせないと!


「雛乃、僕はこれから学校に行かなきゃならないから、家で待っててくれないか?」

「私も一緒に参ります!」


あ~!やっぱり言うと思ったよ!


「私は雄司様の守護者です!何時如何なる時も、お傍でお守りすることが私の役目なのですから!」


うぅっ!雛乃の目は真剣だ!

気持ちは凄く嬉しいけど、流石に困る。

どうしよう、上手い言い訳が見つからない!


「と、とにかく、すぐに帰ってくるから、家で大人しくしててくれー!!」


そう言って僕は、全速力で学園へと走っていった。




「つ、疲れた……」


僕は席に座り、机にうつ伏せている。

多少のアクシデント(鳥糞による爆撃、溝にハマる等)はあったが、無事に間に合ってよかった。

授業が始まるまで体力を回復させようとじっとしていると、隣から僕を呼ぶ声が聞こえた。


「よっ、雄司。朝からへばってるなー」

「あー、真也か。家からずっと走ってきたんだ、しょうがないだろ」

「その割には遅いんだよね」

「大きなお世話だ!」


僕は顔を上げて叫ぶ。

全く、余計な体力使わせないでくれよ!

僕の疲労が見えたのか、真也はそれ以上はからかってこなかった。


「じゃ、今日1日頑張れよ」

「ああ、サンキュー」


さてと、もうすぐ授業が始まるな。準備でもするか。

僕は起きると、教科書を出し始めた。



昼休み、教室で僕は購買部で何とか手に入れたコロッケパンとサンドイッチをムシャムシャと食べている。

しかし、頭の中では家に居るであろう雛乃のことを考えていた。

どうやら雛乃にはこの世の常識を知らないらしい。

ある程度、生活に支障のない位の知識は必要だよな。

家の中でなら別に心配はない。家事能力はずば抜けて高い為、寧ろ助かっている。

ただ外に出た場合が心配なのだ。

非常識というか、世間知らずで、何を仕出かすか分からないところがある。

さて、どう教えたものか……。

僕はそんな事を考えていると、廊下の方でガヤガヤと騒がしいことに気づく。

ん?何かあったのかな?

僕はそっと聞き耳を立てた。


「あの娘一体誰だろー、凄く綺麗な人だね!」

「まさか、転校生なのかな?」


ほぅ、この時期に転校生か。珍しいもんだ。


「でも制服着てないし、なんか誰かを捜してるみたいだよ?」


人捜しか。誰かの関係者かな?

この広い学園で捜すのは難しいぞ。

ご苦労なことだ。


「一つ一つ教室を見て回ってるみたいだね。こっちに来てるよ」


職員室で呼んで貰えば良いのに、それじゃ時間かかるぞ。

でも誰だろうな、ちょっと気になるところだ。

と、そこで本来ここでは聞こえてはならない声が聞こえた。


「雄司様ー、何処ですかー!お返事下さい!」


ぶふぅぅーーー!


僕は食べてたものを吹き出してしまった。

むせながら廊下に出てみると、そこには家に居るはずの雛乃がいたのだった。


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