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不死者に平和を  作者: 姫神夜神
1 念願の異世界生活
9/117

6 異世界でも猿は小賢しい①

「グワォン」


 僕の側を掠めた不可視の弾丸が壁の一部を灰に変えた。

 既に僕とヘルハウンド以外に生きてる(動いてる)ゾンビはおらず、辺りは灰だらけになっていた。

 こんだけ撃ってもMPが尽きないのは、MP総量が多いのと段々回復してるからだ。

 ぶっちゃけ厄介この上ない。

 こっちはMP総量も少ないし、回復手段も無いからジリ貧に陥ってる。


「グワォン」


 もう一発が僕を掠める。今度は頭の一部が持っていかれた。

 直ぐに再生が始まる。


『スキルレベルアップ条件を達成しました。スキル〈自己再生〉LV2→LV3にレベルアップしました』


 この戦いだけで自己再生のレベルが二つも上がった。

 通算で十五回。

 それが僕がこの戦いで身体を消し飛ばされた回数だ。まぁレベルが上がるくらいだし多いんだろう。

 逆を言えば、十五回掠ったのに僕未だ死んで無いって事でもある。

 僕結構運良いんだよね。

 最初の戦いの時もリザードマン自滅してくれたし、デスナイトには見つかってない。

 今もこの灰弾の直撃は免れてる。

 やっぱり転生者は多少優遇されたりするのかな?

 まぁどうでもいいか。

 因みに僕もただ灰弾を避けてただけじゃ無い。ちゃんと反撃の準備を進めてましたよ。

 さあ喰らえ! 酸&投擲!


「ウワォーン」


 簡単に言うと酸を投擲で投げつけたのだ。

 僕の放った酸は正確にヘルハウンドの喉を溶けさせる。

 ピンポイントに狙ったから一瞬で溶けきった。


「ブブブブブ」


 変な音と共にヘルハウンドの顔が口から消え失せた。

 喉が潰れた状態で灰弾を放とうとして自爆したみたいだ。


『経験値が一定に達しました。個体ゾンビ(スライム)LV5→LV6にレベルアップしました』

『各種基礎能力値が上昇しました』

『レベルアップボーナスを獲得しました。スキル〈酸〉LV2→LV3にレベルアップしました。スキル〈投擲〉LV1→LV2にレベルアップしました』

『経験値が一定に達しました。個体ゾンビ(スライム)LV6→LV7にレベルアップしました』

『各種基礎能力値が上昇しました』

『レベルアップボーナスを獲得しました』


 レベルが二つも上がった。それに伴ってスキルも二つレベルアップ。

 『基本情報』の方は手に入らなかった。

 つまりあの辺から僕は幻覚を見ていたという事になる。

 まぁそれが分かっただけでも十分だ。

 このハウンド戦は全体として、結果は上々と言えるだろう。

 ……これで終わればの話だけど。

 どうもハウンド達と戦って思ったんだけどさ、こいつらが僕に幻覚見せてた訳じゃ無い気がする。

 だって何でこいつらは僕が幻覚見てる間に襲わなかったんだ?

 めっちゃ楽なのに。僕なら迷わず襲う。

 なんか「こいつらも幻覚見せられてたんじゃないか?」とか思っちゃった訳よ。

 まぁ気の所為かもしれないし、それならそれで良いんだけどね。

 取り敢えずレベルアップもした事だし、移動しますか。

 僕の本拠地にも出来れば帰りたいし。

 その為にもまず此処が何処か把握しなくちゃ。


 暫く行くとthe巣穴って感じの穴があった。

 見るからにヤバいし怪しいから此処はスルーで……。

 ……それにしてもかなり遠くまで来たみたいだな。

 辺りに全く見覚えが無い。

 元居た場所も開けてたけど、此処は輪をかけて広い。

 そこかしこに何かが蠢いている。

 目が慣れたのか、それとも知らないうちにスキルを獲得してたのか分からないが少し遠くまでなら見えるようになっていた。

 それでもそう遠くまでは見えないけど、無いよりはマシだ。

 今はそれよりも……


「ウキャー!」


 やっぱり何か隠れてた。

 少し前の地面が妙に揺れてると思ったら、案の定何か居た。

 見た目は猿? 色は黒っぽい。

 今までの奴らに比べると見た目だけはモンスターっぽくないただの動物。

 まぁ見た目通りの訳ないけど。

 先に仕掛けたのは僕じゃ無かった。

 因みに目の前に現れた猿でも無かった。

 じゃあ誰が仕掛けたのかというと……


「ウキャーキャー」


 背後⁉︎ まさか目の前の奴は囮⁉︎

 急に背後から石が飛んできた。

 直ぐに対応は出来ず、あまりダメージはなかったとはいえモロにうけてしまった。

 くそっ、油断してた。

 今までのゾンビ達は戦略とか戦術とかお構いなしにただただ突っ込んできてただけ。

 だから僕以外は頭が悪いんだろうと高を括っていた。

 如何やら僕が甘かったらしい。

 完全に嵌められた。待ち伏せだ。

 距離を取ろうにも前後を塞がれ、飛び上がっても自由に動けない空中で石を投げられれば如何なるかなんて簡単に分かる事だ。

 ヤバいマジで詰みだわ。

 このスライムボディには目は付いてないけど一応視覚は確保されている。

 人間時代の記憶と照らし合わせると人間よりは視界が広そうだけど、流石に360度全方位を同時に見れる訳じゃない。

 完全に前後を塞がれている以上、下手な真似は出来ない。

 取り敢えず相手が動いたら即座に片方に絞って酸を投げつけて戦線を離脱。

 この作戦でいこう。

 ……ん?

 ……あれ?

 ……おかしいな、何も無いぞ。

 さっき攻撃されてから相手に動きがない。

 どゆこと? 意味分からん。

 また罠か? 迂闊には動けないな。

 ……やっぱり相手に動きはない。

 一旦自分から仕掛けてみるか。

 僕の目の前にいた方に酸を投擲で放つ。


「ウキー!」


 顔に当てたら猿は痛そうに顔を仰け反らせた。

 その間僕がすり抜けられそうな隙が出来る。

 チャンスだ逃げよう!

 案外チョロい――


「ウキャー!」「キャッキャ!」「ウキー!」「ウキャキャ」「キャー!」「キャ――


 ――訳ないよね。知ってた。

 僕が逃げ出した先には何十匹もの猿がいた。






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