62 盗まれたもの③
「――おい、勝手に入るな!」
「……殺されたのはこれで全員か?」
「えっ……ああ、そうだ。……それより早く外にd……っておい、なにする気だ⁉︎」
制止する兵士を振り払い、僕は遺体に近付く。
制服もどれも血塗れで、どれだけ惨たらしく殺されたのか伝わってくる。
全員の顔には布がかけられている。死者に対する配慮だろう。
一番近くの遺体のそれを、僕は容赦なく取り去る。
そこに、いたのは――
「……違う」
「ああーー!! 何をするか! 貴様! なっまだ続ける気か!」
――知らない人だった。
念の為他の四人の顔も確認したが、全員知らない。
良かった……とは口が裂けても言えないが、とりあえず殺されたのは彼らじゃなかった。
そこで冷静になった僕は追加で入ってきた兵士二人に羽交締めにされ、テントの外にポイっと捨てられた。
「勝手に入ってきおって、どこの所属だ?」
「……素直に答えるとでも?」
「ふざけているのか? 調べればすぐに分かることだ」
「……確かに、そうだな」
はははっ、どうやらまだ動揺しているらしい。減らず口にも冴えがない。普段からない? ほっとけ。
「……『青海の騎士団』第一大隊所属、六等騎士ルカイユだ。警邏が殺害されたと聞き、知り合いかと思って駆けつけた」
「そうか。その様子では、その知り合いとやらではなかったようだな」
「ああ」
僕は大人しく座っていることにした。
ここに駆けつけるために色々やらかしたからね。まぁ処罰は免れないだろう。あとは情状酌量の余地を騎士団が見出してくれるかどうかだ。
「貴様……その格好は?」
「ん? ああ話を聞いてすぐに飛び出したからな。見苦しかったら申し訳ない」
兵士の言葉に自分の今の服装を省みると、だいぶヤバい格好をしていた。
食堂で食事をとっている最中だったから、身につけているのは一番下に着る薄いシャツと簡易なズボンだけだ。胸元なんて(誰が喜ぶのかは置いといて)ガラ空きである。
まぁ、仕方ないよね。あの時は無我夢中だったから。そんなこと考える暇はなかった。
僕の様子になにか思うところでもあったのだろうか。少し考え込んだ後、その兵士は思いもよらないことを言い出した。
「……まぁいい。友を想うその姿に免じて今回は不問としよう。行け」
「……いいのか?」
「構わん。規則に従い正しき行いをした者を罰するような真似は私には出来ない」
兵士があごで道を示す。その厚意に甘え、僕は走り出した。
でも、すぐに邪魔が入った。前から数頭の騎馬が近付いてきたのだ。
「ルキイユ六等騎士! 止まれ」
誰ですか、そいつ? 僕じゃないみたいなんで無視しますね。
僕は止まらず走り続けたが、二手に分かれた騎士達は僕の行手を阻むように馬を横に向けて道を塞ごうとする。
そのわずかな隙間をギリギリ通り抜けた。
こいつらに僕を傷付けるつもりはないらしい。妨害のために攻撃してこない。
このまま逃げ切れるか? まぁ無理だろうな。
「止まれと言うのが聞こえんのか! ラコイユ!」
だから誰だよそいつ!
ちらっと見たら、お前昨日の使者だった奴じゃねぇか。いつまで僕の名前間違う気だよ。
そんなよそ見をしてしまったからか、僕は後続の騎士に捕えられてしまった。
◇◇◇
「何故逃亡した」
「……警邏が殺されたと聞き、知り合いかと思い飛び出しました」
「そんなことは聞いていない。何故我々の制止命令を無視した」
「自分の名前ではなかったので、別の騎士に言っているのかと思いまして」
「下民は無知で愚かだとは思っていたが、自分の名前すら忘れたのか、リタイヤ六等騎士」
……また間違ってますよ。なんか諦めちゃった感じ出ちゃってるよ、その六等騎士。
まさか自分が間違っているだなんて微塵も疑っていない様子で、そのナヨマ――名前をよく間違う人――(仮称)はそのリタイヤ六等騎士さんとやらに話しかけ続ける。
「ただちに宿舎に戻り大隊長並びに座席参謀殿からの訓告を拝聴せよ。非常事態だ。それくらいで勘弁してやる、との仰せだ」
「……了」
その後は騎士達が連れて来た馬に乗って宿舎まで戻り、大隊長と次席参謀が待つ部屋に通された。
ヤッターオセッキョウノジカンダー。ウレシイナー。
「――さて、言い訳を聞こうか」
開口一番、ルーカスはそう言って僕を睨んだ。
何度目か分からないが、僕は同じ説明――言い訳をルーカスにする。
バルトレイは部屋の奥で外を見ていて、僕の話を聞いているのかは分からない。
僕が話し終えると、少し間が空いた後ルーカスが話し出した。
「再三の制止命令無視、帝国騎兵からの騎馬強奪、立ち入り禁止区域への無許可での侵入及び騎馬での乗り入れ、貴様の罪状は到底看過できる限度を超えて重い。だが、情状酌量の余地はあると判断した。聖都に帰った際に五日の謹慎を申し渡すこととする」
「……え?」
「事態は急を要するからな。貴様をおちおち罰している暇もないのだ」
「……警邏が殺害されたことがですか?」
冷たく聞こえるかもしれないが、帝国の警邏が殺害されたことで騎士一人を罰している余裕もないほど騎士団が追い込まれるとは思えない。この件にそこまでの重要度を修道騎士団は見出さないだろう。
正直納得はいかない。
その時、ずっと窓際で外を見ていたバルトレイがこちらへ歩いて来た。
それを受けてか、ルーカスが口をようやく開く。
「……聖女様のご命令だ」
「……聖女様の?」
「警邏を殺害した犯人を一刻も早く捕えるとともに市民の安全を保護するべく遠征の準備を切り上げて全騎士に出動をお命じになられたのだ」
ルーカスの後を歩いて来たバルトレイが引き継いだ。
聖女様が命じただと? それならシナラスに残った騎士団の幹部連中が慌ててるのも分かる。
でも、そんな状況なら何故わざわざ僕を探す必要があったんだ? ほっときゃいいだろ。
そんな僕の疑問に、頭の中でものぞいたようにバルトレイがすぐさま答える。
「貴様をわざわざ呼び戻したのは聖女様が孤児院の護衛に昨日の人員をそのまま当てるようにと仰ったからだ。途中我が呼び出したとは言え、実質的に仕切っていたのは貴様だと聞いたのでな」
えっ、なにそれ初耳なんですけど。誰がそんなこと言ったんですか? 根も葉もないホラ話じゃないか。仕切ってたのはベーコンだろ? 誰だよ僕に責任押し付けようとしてるの。なんて奴だ。一言文句言ってやる。誰だよマジで。
「カイネ六等騎士はそう言っていたのだが……違うのか?」
「違いません。僕です」
なんだカイネか。カイネがそう思っていたのなら仕方ないな。
僕は孤児院で騎士を仕切っていたようだ。知らないうちに。
それにしても、聖女様はそうとう例の襲撃で肝を冷やしたみたいだな。
まぁよくは知らないけど、自分の身が危なかったから、と言うよりは自分のせいで誰かが傷つくかもしれなかったからだろうけど。
今回のこともなにか思い当たるふしでもあるのかしら。
「では装備を整えてただちに出発せよ。ただしこちらから要請があった際は適宜人員を捜索に回せるようにしておけ」
「了」
ルーカスの命令に敬礼し、僕はドアから退出する。
[ゲイル、要請があった時はお願いしますよ]
[了解した]
◇◇◇
「――あっ、ルカイユ、おせぇぞ!」
「悪い悪い。コッテリしぼられてたんでね」
「コッテリ? なんのことだ?」
「はは……気にしなくていいよ。それより、どんな感じだい?」
馬は貸してもらえなかったので徒歩で僕が孤児院に着くと、門の外にはカイゼルが一人で立っていた。
ぱっと見では分からないが、マントの下には鎧まで着ていて、かなりの厳戒態勢をしいてるみたいだ。
孤児院は教会の脇、つまり都市中心部の北寄りにある。遺体が発見された広場からはそれなりに距離がある。
だというのにこんな格好をしているとは……
「中には何人いる?」
「ええっとぉ……カイネだろ? ベーコンのおっさんとデロス……だから、一、二、三……」
「……聞き方を変えよう。お前以外に外に立ってる騎士はいるか?」
「ベーコンのおっさんとこのタクトが教会のほうにいるぜ」
「分かった、ありがとう。ベーコンさんは中にいるんだな?」
「おう」
「じゃあ後でもう一回来るから、それまで引き続きここを守っててくれ」
「おうよ」
カイゼルと別れ僕は孤児院の門をくぐった。
外から見て分かってたことだが、敷地内はガラんとしていて庭で遊んでいる子供は一人もいない。
建物の中からはかすかに音が聞こえるが、静かなものだ。
建物の戸にはデロスが立っていた。
「やあ、遅れてすまないね」
「……い」
「ベーコンさんは中にいるかな?」
「……ます」
「そっか、じゃあちょっと通してもらっていいかな」
「……うぞ」
声ちっさ!
ボソボソ喋る上に声が小さいのでなに言ってるか分からん。
日本にいた時の僕も人見知りでボソボソ話してたけど、こんな感じだったのだろうか。
デロスは背が高くて上からの威圧感がある分余計に声が小さく感じるな。
とりあえず扉を開けてくれたので、ベーコンは中にいるんだろう。たぶん。入ります。
中に入るとギロっと睨まれた。
「なんだお前か。驚かせやがって」
僕を出迎えたのはサイロ。修道騎士としてはだいぶ派手なトゲトゲの髪型をした緑髪の青年だ。
こやつは典型的な人によって態度を変えるタイプ。僕はナメていい対象に認定されているらしく、扱いが悪い。
まぁ、別に気にはしてないけど、一緒に仕事をする上ではそのことは若干の障害となるやもしれん。
それに、ぶっちゃけコイツに用はない。僕はサイロを無視してベーコンを探す。
ベーコンはすぐに見つかった。ちょうど孤児院の院長と話しをしているところだったようで、僕が来たことに気付くとこちらに話しかけてきた。
「遅れて申し訳ありません」
「いや、いいんだ。それよりルカイユ、着いたばかりで悪いが院長さんを城まで護衛していってくれるか?」
「院長殿を、ですか?」
孤児院の院長は老齢にさしかかった修道女だった。聖女様の襲撃事件の時もそうだったが、僕ら修道騎士――人殺しに対する軽蔑と敵意を隠そうともしていない。
そんな院長が僕に護衛されて城までいったい何の用だ?
「もう一人くらい連れて行ってもいいぞ」
「なら、ぼくが行きますよ!」
「サイロ、行ってくれるか」
「はい!」
サイロはベーコンに頼られて嬉しそうだ。こっちにドヤ顔を見せてくる。なんで? 僕にドヤっても仕方なくない?
「では、頼んだぞ」
「任せてください!」「分かりました」
「……お願いいたします」
院長を先導するようにサイロが歩き出す。
まぁ別に僕はこだわってないから、後ろからついてくか。
子供たちがこっちを不安そうに見ている。その中から数人が院長めがけて駆け寄ってきた。
あっ、この子はあの例の帽子の子じゃないか。元気そうでよかった。
「いんちょーせんせー」「せんせー」「せんせい」
「大丈夫よ。待っててね」
僕らを見る目とはまったく違う、優しい目で院長が子供たちに笑いかけた。
その様子は、どこか死地に赴く前の、覚悟を決めた戦士のようだった。
なんかめっちゃ不安になってきたな。この人マジでなにしに行くつもりなんだ?
「……行きましょう」
「はい」
子供と目線を合わせるためにしゃがみこんでいた院長が服のすそをはらいながら立ち上がりそう言って歩き出した。もう背後を振り向くつもりはなさそうだ。
ますます不安にさせてくるな、この人。めっちゃ怖いんですけど。
「えっ、ルカイユまた出んのか?」
「ああ、さっき来たばかりだが。また後で」
「おうよ」
ほんの数分ぶりにカイゼルと会い、そのまま門をくぐって大通りに向かう。
サイロは張り切っているのか歩くスピードが速すぎる気もするが、院長も急いでいるのか早足なので特に困ってはなさそうだ。
そこまで、急ぐとは。またもや不安に(以下略)
大通りはいつも通りに賑わっていた。警邏が殺害されたことなど気にしているようには見えない。
それについて噂話をしている者はいるかもしれないが、少なくとも僕が見た限りでは事態を深刻そうに受け止めている者は一人もいなかった。
「――よし、通れ」
城の門番を務めていた帝国兵に所属と孤児院の院長を連れて来たと告げると、思ったよりあっさり通された。
「あったか?」「いや、ない」「どこ行ったんだ」「無駄口叩いてないで探せ」「くそっ、今になって言い出しやがって」
城の中も騒然としていてとても忙しそうだ。
あっさり通されたのは、いちいち上に確認していられないからか?
でも、それなら今は立て込んでるからって追い返せば良いだけだよな? 何故通されたんだ? アポとってたのか?
分からん。僕が考えても無駄だな。
城に入り、行き先は分かっているのかどんどん進む院長の跡を慌てて追いかける。
すると、前からルーカスが数人の騎士を引き連れてやって来た。
「ルカイユ、どうした。何故ここにいる」
「隊長。孤児院の院長殿を城まで護衛しておりました」
「そうか、ちょうど良かった。このまま私に同行してくれ。人手が必要になってな」
「……」チラッ
「ん? なんだ? ぼくの顔をジロジロ見て、気持ち悪いやつめ」
「……院長殿の護衛は頼みました。ご同行いたします」
「ああ」
「は? なんでそうなる? おい、無視するな!」
僕の目配せをサイロは読んではくれなかった。心底気持ち悪そうに僕を見ただけだった。
まぁ、これは僕が悪いな。
でも、まだわめいているサイロのことはもう一旦無視しよう。
「どこへ急いでいるのですか?」
「聖女様がお呼びでな。避難民をs――」
「聖女様⁉︎ 聖女様はそちらにいらっしゃるのですか⁉︎」
「えっ、ああ、はい。聖女様は遠話室にいらっしゃいます」
「わたくしも同行させていただきます」
「……分かりました。こちらです」
どうやら院長が用があったのは聖女様らしい。ルーカスが聖女様の下へ向かっていると言った途端にルーカスに詰め寄り同行を願い出た――宣言した。
それに戸惑いながらもルーカスが応えると、ルーカスを追い抜いて早足で歩き始めた。その後をルーカス以下騎士達が慌てて追いかける。
「いや、だからどうなってるんだ⁉︎」
サイロだけはいまいち状況を飲み込めていない様子だったが。
◇◇◇
「――だから、お願いしているではありませんか! 危険なのは分かっております。それでも! お父様? お父様ぁ! ……切れてしまいました」
遠話室に入ると、数人の聖職者と帝国士官、そしてなにか大声をあげている聖女様がいた。
「お父様」ってことは『遠話』の相手は教皇聖下か?
「聖女様、ルーカス大隊長がいらっしゃいました」
「……大隊長、お見苦しいところをお見せしました」
「いえ、そのご様子では芳しいお返事はいただけなかったようですね」
「……ええ、お父様はどうしても稼働させてはならないと……はぁ、……? そちらは確か……」
「こちらはs――」
「孤児院院長のジョセフィーヌでございます、聖女様」
「ジョセフィーヌさま、先日ぶりですね。どうなさったのですか?」
ルーカスと共に僕らよりも聖女様に近付いた院長に気付いた聖女様の問いかけに、答えようとしたルーカスを遮って院長――ジョセフィーヌが名乗った。確かに聖女様が孤児院を視察した時に会ってるはずだもんな。見覚えがあるのは当然だ。
それにしても、「ジョセフィーヌ」か。
そんなこと言ってる場合じゃないのは百も承知なんだが、なんか名作ミュージカルとかの登場人物っぽい名前だな。
マジでそんな雰囲気じゃないのは理解してはいるのだが、ちょっと無視出来なかった。
そんなことを僕が考えているなど露ほども思わず、院長は早速本題を切り出した。
「本日は聖女様にお願いがあって参りました」
「わたくしにお願い? なんでしょう」
聖女様が院長に優しく微笑みかける。
それに背中を押されたのかどうかは分からないが、院長は息を大きく吸い込むと、一息に言い切った。
「どうか、この都市から早く出て行ってください。それが無理なら、せめて私どもを本国へ送ってください。もうこれ以上、子どもたちを人殺しに巻き込まないでください」
「……え?」
…………は?
「なっ」「はぁあ⁉︎」「無礼な!」「ふざけておるのか⁉︎」
院長の明け透けな物言いに一瞬呆気に取られた修道騎士達が口々に院長を非難した。
そんな騎士の言葉など一切耳に入っていないかのように、院長は続けた。
「あなた方が来てから、危ないことばかり! 兵士は殺され、院も襲われた! 子どもたちも死にそうになった! 賊も殺された! 子どもの目の前で!! 人を殺して笑っていられるような人が我が物顔で道や院の中を歩いている! あなたのせいで! あなたのせいだ!! 出ていって!!! 私たちの前から!! 消えて!!!!」
「⁉︎」
「貴様ぁ!」
言い切った院長を、怒りに燃えた騎士が走り寄るなり地面に押し付ける。
それでも、本当に言いたいことは全て言い切ったようで、スッキリした顔をした院長はまったく抵抗しようとしなかった。
「……離しなさい」
「聖女様⁉︎」
「その方を離してください。お願いします」
「……かしこまりました。離せ」
ルーカスの指示で騎士が手を離す。
しかし、納得はしていなさそうだ。図星を突かれてキレた、と言うよりは本気で言いがかりをされたと思ってるみたいだな。
そして、それはルーカスも他の騎士も同様だ。誰も院長の言葉を受け入れられていない。
――僕も、受け入れることは出来ていない。
「……分かりました。貴女方を教皇国へ受け入れていただけるよう、お父様――聖下にお願いいたします。ですが、私たちが出て行くことは出来ません。わたくしにはやらねばならないことがあるのです」
――しかし、聖女様は違うようだ。
院長に深く頭を下げた後、上げたその顔は院長と同じくらいの覚悟を宿していた。
「聖女様……」
「大隊長、馬車を追加で手配していただけますか。わたくしはもう一度お父様に使用のご許可をお願いいたします」
「……やはり考え直されては? あまりにも危険です。あのような事態が再度起こることは避けるべきかと」
「大隊長、お願いします」
「……御意」
ルーカスの諫言も受け入れず、聖女様は自分の意思を貫くつもりらしい。
最後はルーカスが折れた。聖女様に背を向け、こちらへ歩いてくる。
「……行くぞ」
「ですが隊長……」
「行くぞ」
「はっ」
聖女様に一礼したルーカスが部屋を出て行く。その背後を騎士達が何度も聖女様の方を振り向きながらついて行く。
僕もそこに付き従う。
聖女様の言葉の端々から伝わってきたことがある。
もう迷わない。
今僕が出来ること、すべきことは見定めた。
あとは、ただ、やるだけだ。