16 初めての〇〇①
ブレスキングとデスナイトの勝負は一瞬でついた。
結果から言えばデスナイトの圧勝。
一撃で瞬殺だった。
ブレスを打つ暇もなくのマジの瞬殺。
呆気なかった。
何にせよこれでスカベンジャー軍vsゾンビ軍の戦争はスカベンジャー軍大将の討死で終戦。
我がゾンビ軍の勝利で幕を閉じた。
ゾンビ軍の生き残りは二千弱。
開戦時は四千程いたからちょうど半分まで減った事になる。
結構減ったなぁ。
まぁあれだけの性能差が有りながらこれで済んで良かったのかもしれないけど。
まぁ僕が生き残ってさえいればどうでも良いか。
……今からは敵になるんだし。
一方のスカベンジャー軍は全滅。
文字通りただの一匹も生き残っていない。
ブレスキングが討ち取られた後僅かに残っていたキング達も、ゾンビに群がられて最終的には皆んな死んだ。
因みに僕もその殲滅には参加してる。
こんな出来レースみたいな戦闘まぁ無いし、そりゃ勝ち馬乗りますわ。
……まぁそれで二百くらいが、キングの最期の悪足掻きで道連れになったから出来レースかどうかはちょっと怪しいけど。
因みに今は、ゾンビ軍の本陣突入あたりに逃げ出した通常スカベンジャーを追撃してる。
逃げ出したし、もう軍じゃ無いよね?って事で軍に数えていないので、スカベンジャー軍は全滅したけど、逃げ出した恥晒しはまぁまぁ居る。
気持ちは分かる。
僕だって死にたくは無い。
自分より強い奴がバタバタ死んでったら怖くてそりゃ逃げるよ。うん。
……まぁ逃がす訳ないけどな。
「グフゥ」
速度3000超えのこの僕から、逃亡兵如きが逃げおおせると思うなよ。
あっという間に追い付いて、最後尾を〈刺突付与〉で突き刺す。
『経験値が一定に達しました。個体ゾンビソルジャー(スライム)LV3→LV4にレベルアップしました』
『各種基礎能力値が上昇しました』
『スキルレベルアップボーナスを獲得しました。スキル〈麻痺毒〉LV3→LV4にレベルアップしました』
『称号獲得条件を達成しました。称号《卑怯者》を獲得しました』
『スキル〈猫騙しLV1〉〈偽証LV1〉を獲得しました』
大方の逃亡兵を狩り尽くした頃に、僕のレベルが上がった。
問題はそこではない。
今称号って言った?
《卑怯者》ってどゆ事?
これじゃまるで僕が卑怯者だとでも言いたいみたいじゃないか。
マッタクオモイアタラナイナア。
というのは冗談だけど、「スキル」に「レベル」に「経験値」。
で今回は「称号」か。
やっぱりこの世界、ゲームみたいだな。
誰かが創った世界の可能性大だね。
考えてみれば僕を転生させた何らかのシステムが存在する筈だ。
地球で死んだ人全員を転生させているにしても、何らかの方法で選んでいるにしても、他の世界に転生させる為には何らかのシステムが無いとおかしい。
第一転生なんてどうやってするんだろうか?
皆目見当もつかない。
……まぁ考えても分かる訳ないけどね。
そんな事よりこの《卑怯者》って称号だよ。
まぁ心当たりが無いと言えば嘘になる訳が有るんだよなぁこれが。
上から敵の上に酸の雨降らせて、自分は高みの見物。
上から敵の上に大量の礫落として自分は静観。
今も逃げた奴を背後から一方的に攻撃。
……あげてみるとこいつかなりのクズだな。
いやまぁ生き残る為と納得は出来るが、自分がやられたら絶対こいつ許さないわ。
「卑怯者」も納得だな。いや、納得はしないけど。
それはそれとして、称号に付随して新しいスキルも獲得したと。
〈猫騙し〉と〈偽証〉か。
〈猫騙し〉はあの猫騙しと思ったらいいのだろうか。
まぁあまり正々堂々とした技って印象は無いな。
それで「卑怯者」扱いはひどいと思うけど。
問題はもう一つの方だ。
〈偽証〉って何?
直訳すると「偽の証」か。
あれだよね嘘の証言とかした時に問われる罪の事だよね。
で、どうゆうスキルなの?
嘘の証言どころか、他人と話してないよ僕。
この世界に来てから一度も独り言以外言ってないよ。
第一スライムって喋れるのかしら?
リ○ル様とか、ドラ○エのスライムとか喋ってたけども、僕が喋れる保証ってどこにも無いよね。
てか、この世界来てレベルアップした時以外に言語聞いてねぇわ。
まさか人間が居ない、なんて事もあったりしないよね。
有り得るぞ。何せこの世界イキリヲタクがノリで創ったっぽい雰囲気あるもん。
何でアイツら無駄に「人間はゴミ」みたいなこと言い出すの?
「今時チーレムは流行らん」とか「俺は世界なんか救わん」とか言い出すくせに、いざ転生したらハーレム作ろうとするんだろどうせ。
もしこの世界をアイツらが創ったんなら、彼女いる人皆んな「幸福税」とか徴収されてそう。
いやだわぁー、そんな世界。
でもデスナイトは人間をそのまま大きくしたって感じの見た目だったし(ただし腐ってる)、人間が居ないと断定は出来ないな。
そうこう言ってるうちに、周りからスカベンジャーの気配が消えた。
考え事してる間に結構移動してたみたい。
ここどこだろ。
取り敢えず鑑定してみようかな。
【迷宮第七階層 床】
うわ、階層越えちゃってたよ。
ただし、望む方向と逆に。
まぁこの逆側が第四階層って事が分かっただけでも良しとしますか。
取り敢えず、辺りを探索しておこう。
多分このまま外に出ても即死だと思うんだよね。
だって今まで戦った殆どの奴らには、速度以外で負けてたんだよ。
しかも奴らはゾンビ。
アンデットの足が遅いのは常識。
なら外の強者は僕より足が速いかもしれない。
そしたらもう終わりだ。
だからもう少し強くなってから外に出ようと思う。
それは良いとして、こりゃどうゆう事かね。
何で目の前にホネが大量にある訳?