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不死者に平和を  作者: 姫神夜神
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13 戦争勃発④

 因みに吹き飛ばしたのは僕じゃない。

 僕だって驚いてる。いきなり吹き飛んだんだから。

 まぁ僕の作戦には好都合だから別に構わないんだけどね。

 流石にグレーターの首が吹き飛んだのは衝撃的だったらしく、敵軍も蹂躙を中断して崩れ落ちたグレーターの周りに集まり出した。

 敵が蹂躙を中断している今がチャンスだ。

 我が秘蔵の一撃を喰らえ!

 身体を出来るだけ大きく広げて敵に向けて大量の礫を落とす。

 そのまま落ちていった礫はスカベンジャーの被っていた骨を割り、肉を貫いた。


 いやもう本当に簡単な事なんだよ。

 〈斬撃付与〉ってつまり「何かに斬撃を付与出来る」って事じゃん?

 じゃあ石ころでも良いよね、って事で作ってみた訳なんだけど。

 ただ斬撃付与だけじゃつまらないから色々試したら、とっておきの新型礫を完成させてしまったんだよ。

 ネーミングセンスに自信無いから名前はただの「礫」だけど、これはそんじょそこらの礫じゃない。

 何せ僕の身体の一部を使って作ったんだからね。

 先ず〈吸収〉を粘手で発動して斬撃を付与した小さめの石を吸い込めるだけ吸い込む。

 次にその粘手で〈斬撃付与〉〈硬化〉〈麻痺毒〉〈酸〉最後に〈疾風〉を発動する。

 で、それをもう一本の斬撃付与発動中の粘手で素早く切り落とす。

 これを何度も繰り返して大量に用意したのがこの僕特製「礫」という訳だ。

 この礫何が凄いって先ず〈疾風〉で文字通り疾風の如く敵に当たってダメージを与えるだろ。

 で敵に当たった時に〈斬撃付与〉で斬り裂くだろ?

 しかも〈硬化〉を発動してるからちょっとやそっとじゃ壊れない。

 でもスカベンジャーは防御力が凄いから一撃喰らわせたら割れちゃうんだよね。

 でもそれで良い。

 割れたら中に取り込んでいた小石が、麻痺毒と酸と共に外に出て来る。

 酸で溶けて露わになった肉を斬り裂きながら石がめり込む。

 そして麻痺毒で手足が動き辛くなる。

 勿論一個一個には碌な威力は無い。

 だが、それがいくつも連なればかなりのダメージを与えられる筈だ。

 まぁ希望的観測に過ぎないけど。

 でも無いよりはマシでしょ。

 因みに地上での戦闘はまた変化していた。

 二体目のグレーターの首が吹き飛んだのだ。

 そこにようやく混乱から立ち直ったゾンビ軍が襲い掛かる。


『経験値が一定に達しました。個体ゾンビソルジャー(スライム)LV1→LV2にレベルアップしました』

『各種基礎能力値が上昇しました』

『レベルアップボーナスを獲得しました。スキル〈貯蓄〉LV1→LV2にレベルアップしました』


 如何やら礫が誰か殺ったらしい。

 流石スカベンジャーはステータスが高い分一体倒しだけで経験値が異様に入るな。

 地上では三体目のグレーターの首が飛ぶ。

 てかさっきから誰が奴らの首、飛ばしてんだ?

 まぁ別に良いんだけどさ。こっちが有利でさえあれば。


◆◆◆


「――クソが!如何いう事だ!何故我が軍が劣勢なのだ!何故奴ら如きに我が軍が……」


 目の前で次々に討たれる部下の不甲斐無さに思わずワタシは叫んでいた。

 本来我が軍は圧倒的有利な筈だった。

 確かに敵の方が多少、数の上で有利だったかもしれないが、

 あの雑魚共に

 碌に連携も取れていない数だけ揃えた烏合の衆に

 このワタシの軍が

 このワタシが鍛え上げた精鋭が

 このワタシが敗れるなどあってはならない。

 それなのに――


「クソッ! 何故そこで捕らえない!」


 先程から我が軍に対し妨害を掛けて来る者がいる。

 其奴に我が軍は出鼻を挫かれ、後少しで敵に壊滅的な被害を与えられるというところで馬廻を討たれ、足の止まった雑兵も続々と討ち取られて逆に我が軍が窮地に陥っている。

 しかも本人は戦場には降りて来ずに上からチョコマカとするだけ。

 その隙にかなりの数の敵が我が本陣の奥深くまで切り込んでいた。

 一体一体は本来ワタシに近付く事も許されない様な雑魚だが、此方が押されている事もあってワタシの直ぐ近くまで接近していた。

 クソ忌々しい。

 ワタシがこんな下賤の者共に近寄られなければならなくなったのも全ては奴らの所為だ。

 奴らさえ居なければ。

 この戦が終わった暁には奴らに死ぬ方がマシな目に遭わしてやる。

 待っていろ忌々しき過去の遺物共め――






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