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笑かせ!紺高第二演劇部!  作者: 椎家 友妻
第三話 集え!紺高第二演劇部!
16/30

5 菊井先生は高見の見物

 放課後になった。

俺は、非常に疲れていた。

今日の第二演劇部員のスカウトで、多分に精神的体力を消費させられた。

出来る事なら、このまま家に帰ってさっさと寝たい。

むしろ第二演劇部を辞めてしまいたい。

なんて事を考えながら、俺は放課後の校舎の裏庭で、掃除に勤しんでいた。

するとたまたまそこに通りかかった菊井先生に、声を掛けられた。

 「あらあなた・・・・・・名前何だっけ?」

 相変わらず冷たいお人や。俺は苦笑しながら答えた。

 「桂木敬介です。その節はどうも」

 「ああそうそう、桂木君だったわね。何やら美千と、面白い事を企んでいるそうね」

 「はあ、まあ、企むというか、結果的にこうなってしまったというか」

 「全国レベルのウチの部に演劇対決を申し込むなんて。見上げた根性だわ」

 「俺も、無謀だとは思いますよ」

 「で?部員はもう集まったの?」

 「今の時点では俺と美千を含めて四人。残る一人は、この後スカウトに行く事になってます」

 「そんな寄せ集めのメンバーで、ウチに勝てると思ってるの?」

 「う・・・・・・分かりません。何しろ美千がやろうとしてるのはお笑い劇らしいんで、一体どんな劇になるのやら、見当もつきません」

 「へぇ、あの子はそういう劇がやりたかったんだ。それで月と衝突したのね」

 「あの、月さんは今、部活ではどんな感じですか?」

 「張り切ってるわよ。第二演劇部には絶対負ける訳には行かないって、対決に向けて猛特訓してるわ」

 「ハハハ・・・・・・もうちょっとお手柔らかに来て欲しいなぁ・・・・・・」

 「ウチにとってはいい刺激だけどね。この時期にはこれといったコンクールもないから、気持ちに張りを持たせるには持って来いのイベントだわ」

 「もしかして先生、楽しんでます?」

 「ええ、この対決に関して私はノータッチだからね。高みの見物で、あなた達がどんな劇を作るのか、楽しみにしてるわ」

 「はぁ」

 「そしてあの(・・・)がどれだけ気合の入った演技を見せてくれるかのかも、ね」

 そう言って菊井先生は、俺の背後に視線を移す。

その方向に振り向くと、少し離れたそこに、両手にゴミ箱を抱えた月さんが、鋭い目つきで俺を睨みつけていた。

 ああ、先が思いやられる・・・・・・。


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