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プロローグ

  プロローグ


 俺の初恋は、中学一年の時やった。

 相手は、その時のクラスメートやったA子さん。

 思い立ったら即実行するタイプの俺は、A子さんに恋心を抱いたと自覚するやいなや、早速彼女にアタックした。その時のセリフはこうやった。

 「好きだよ、ハニー」

 それに対し、A子さんが〇・二秒後に返したセリフがこれやった。

 「無理です」

 無理って言われたで。

普通、異性からの告白を断る時は、『ごめんなさい』とか『あなたとお付き合いする事はできません』とかでっしゃろ?

それが『無理です』の一言で一刀両断とか、それは告白の断り方としてどうなん?

俺ってそんなに嫌われてたんか?

それとも照れて照れて照れ過ぎた(それはもう、テレサ・テンくらい)あまり、その照れ隠しの為に思わずそう言うてしもうたのやろうか?

まあ俺が推察するに、その可能性が高い。

それが証拠に、A子さんはそれからの中学三年間、俺と一言も喋ってくれへんかったし(照れ過ぎたせいで)、目ぇも合わせようとせんかった(これも照れのせいやろう)。

それくらい俺に照れとったんやな。

はい。

 てな訳で、俺の初恋は、こうして幕を閉じた。

でも、そんな事でくじける俺ではない。やがて新たなる恋が俺の心に訪れた。

それは、中学二年の時。相手は、その一学年下のB子ちゃん。

前回は同い年の子に告白して失敗したので、次は年下の子に告白しようと目論んだのや。

しかしこう言うと、告白する相手は女やったら誰でもええんかいと言う声が聞こえてきそうやけど、ここで俺は男らしくハッキリ断言しておきたい。


 そうかもしれない。


 正確に言うと、俺は恋に落ち易いタイプなのやった。

ふとしたキッカケで、女の子を好きになってしまう事がしばしばあった。

だから初恋が中一の時やと言っても、それは告白までいった恋が中一で初めてやったというだけで、いわゆる淡い恋心というやつは、小学生時代から(あるいはもっと以前から)も腐る程抱いてきた。

でも、中学に上がったからには、やはり行動に移さなあかんと言う事で、俺は恋をしたと分かった時点で、出来るだけすぐに告白する事にしたんや。

という訳で、俺はひとつ年下やったB子ちゃんに、こう告白した。


 「俺と、抱き合ってくれないか?」


 ホンマは『付き合ってくれないか?』と言いたかったんやけど、その時は緊張しとったせいか、うっかりこう言うてしもうたのやった。

そしてB子ちゃんは、何も言わずに俺の前から走り去ってしまった。

たった一文字間違えただけやのにこれだけの大惨事に。

日本語は難しい。

 それはともかく、二度目の告白にも失敗した俺は流石に落ち込み、いつの間にか、女の子に恋をする事自体を恐れるようになった。

可愛い女の子を見かけてドキッとした時も、これは恋の『ドキッ』ではなくて、縄文時代に作られた『土器(ドキ)ッ』なんやと思うようにした。

 そんな調子で迎えた中学三年。

すっかり恋に臆病になってしまっていた俺やけど、またもや恋心に捕らわれてしまう事になる。

 あれはその年の秋。俺は、近所に住む友達(勿論男)に誘われ、(こん)()高校という学校の文化祭に行った。そこにはその学校の女子生徒や、他所の学校の女子生徒もたくさん居たが、恋に臆病になっていた俺は、その誰にも胸をトキメかせる事はなかった。

俺はもう誰にも恋する事なく大人になっていくんやろうなぁ、と思いながら何気なく体育館に行くと、そこで紺戸高校の演劇部が芝居をしていた。

そして俺は、その劇でヒロイン役をしていたある一人の女子生徒に、目と心を奪われた。

 背中まで真っ直ぐに伸びた赤みを帯びた髪、雪の様に白い肌、どこまでも透き通ったつぶらな瞳、引き締まりながらもふくよかな柔らかさを醸し出す唇。

とにかく全てが美しい。

そんな容姿を身にまとい、舞台の上で優雅に舞う彼女に、俺は完全に心を奪われてしまったのや。

そしてこれは、今まで数多の女の子に抱いてきた恋心等とはまるで比べ物にならない、大きくて強烈なトキメキやった。

その時俺は悟った。

 『これこそがホンマモンの恋なんや!』と。

そして後先考えず、こう決心していた。

 『俺はこの紺戸高校に入学するぞ!そしてあの人に、俺のこの気持ちを伝えるんや!』と。

 かくして俺はその年に紺戸高校の入学試験を受け、見事に合格。

俺は晴れてあの人と同じ高校に入学する事が出来た。

あとはこの気持ちをあの人に伝えるだけや!よぉし!頑張るでぇ!

 俺の夢と希望に満ちた高校生活が、今始まろうとしていた!

ちなみにこの時の俺は、憧れのその人が既に卒業してしまっているとか、卒業してなくても既に恋人が居るとかは、全く考えていないのやった。


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