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NPCが友達の私は幸せ極振りです。  作者: 二葉ベス
第3章 あの子の好きが分かるまで
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第47話:レベル17の私は奥義を習得したい。

新キャラです。野郎です

「そういえばレアネラはレベルいくつですの?」

「……そんな事聞いてなんになるのさ」


 ある日の昼下がり。家事も終わってゲームにログインすると、華麗な振る舞いで紅茶を飲むノイヤーがそこにいた。

 背筋もすごい正してるし、丁寧にカップを傾けるから、これだけ見たられっきとしたお嬢様なのになぁ。案外育ちだけはいいのかもしれない。あー、でもたまにふぁ◯くとか言うし、どうなんだろ。


 そんな事を考えながらも気になるのはレベルの話。なんで突然そんな事言い始めたのさ。


「なんてことありませんわ。あなたの奥義を一度もこの目で見たことありませんでしたから」

「おうぎ? 扇ぐやつ?」

「必殺技の奥義ですわ。ヘルプをご覧になって」


 なんか始めた当初そんなのを聞いた気がするようなしないような。私には関係ないかなってスルーしてたんだよね。

 それとレベルの話がどうつながるのかイマイチピンときてないので、いっそのこと聞いてみる。


「それでなんでレベルの話になるの」

「その様子だと、レベル20まで行ってなさそうですわね」


 くっ! 確かにタイトルに書いてあるとおり、レベルは17止まりだけどさ……。20になったらなんかあるの?


「いいですか? 奥義はレベル20で取得できるシステムですの。スキルを1つ奥義に設定して、その効果を増幅、拡張させるのが奥義システムですわ」

「へー。ヘルプにも書いてあるっぽいね」

「だから言ったではありませんか! イベントの告知も出ましたし、そろそろギルドの戦力アップをですね……」

「そんな告知も出たっけ」


 出てました。でも宝物を探して限定アイテムをゲットとかいう、これもあんまりピンときてないのである。でも限定かー。ちょっと気になる。


「何があるかは分かりませんが、レベルを上げるに越したことありませんわ」

「ちなみに、ノイヤーのレベルは?」

「54ですわ。カンストが60ですわね」


 結構廃人プレイしてるなぁ。この経験値が上がりきらない辺りがリアルですっごい嫌だ。


「わたくしもレベル上げをサボっていましたから、ついでですわ。ついで」

「分かった分かった。アザレアも連れて行くけどいいよね?」

「分かりましたわ。でも戦力が2人だけとは、ちょっと心もとないですわね」

「まー、確かに」


 でもレベル17とレベル54じゃ結構パワーレベリングできると思うんだけど。そんなに懸念することだろうか。


「ねぇ。そんなにやばいところ行くの?」

「そうですわねぇ。流石に前衛職がいないときついところへ行こうかと」

「結構やばげじゃん」


 そんなところにアザレアを連れて行ってもいいんだろうか。

 ま、まぁ私が守るから大丈夫、かな?


 ノイヤーはメニュー画面でなにか操作すると、1つため息をつきながらエンターキーを叩くように決定ボタンを押したようだ。


「今、わたくしの知り合いに声をかけましたわ。現地で待ち合わせですから、とっとと行きますわよ!」

「分かったー」


 ん、待って。ノイヤーの知り合いって、結構な高レベルなんじゃ。

 いや、それよりもかなりの変人なんじゃなかろうか。私は背中に悪寒が走ったけど、そ、そう簡単に変人に会うわけないか。


 ◇


「よーノイヤー! 久しぶりじゃないか!」

「ですわねー!」


 ふ、普通だ。縁には黄色いライン青い鎧に、黒い服。そして光り輝く剣! 眩しいけど、慣れればそうでもないレベル。まごうことなく勇者って言っておけば丸く収まるであろう格好。シンプルオブ勇者だ。


「そっちは新人か?」

「わたくしのギルマスで、レアネラですわ」

「ノイヤーが、ギルドだって? くっはっ! 冗談きついぜ」

「相変わらず失礼な坊主ですわね」

「へっへ、すまんすまん」


 と、シンプルオブ勇者はこちらに近づいてくると、手を差し出してくる。思わず私も手を握って挨拶し返す。


「俺の名前はヴァレストな。よろしく!」

「よ、よろしく……」


 あ、この人苦手なタイプだ。ツツジの時もそうだったけど、グイグイ来られるタイプはちょっと苦手だ。だって私、今まであんまり友達いなかったし。


「アザレアです。よろしくお願いいたします」

「……ん?!」


 アザレアの頭の上を見るなり、珍しそうな顔で全身を見渡す。別にその光景はもう散々見てきたけど、割とこの様子は犯罪まがいがして嫌な気分になる。ちょっとだけずいっと前に出ることにしよう。


「どうした? もしかして、嫉妬かぁ?」

「……ノイヤー、こいつ殴っていい?」

「悪気はないと思うのでやめて差し上げて」


 よく見たら3対1でシンプルオブ勇者がハーレム状態なのが気に入らない気がしてきた。それなりに歳が離れてるアレクさんならまだしも、この人はなんか嫌だなぁ。


「お前IPC持ちか! そのくせにレベル17って、すごいな!」

「あ、はー。どうも」


 やっぱり、この人苦手だ。なんでノイヤーはこの人呼んだんだろう。もっと別の人がいるだろうに。


 まぁ、その理由はレベル上げを始めてからすぐに分かるんだけど。


「聖剣グラムよ! 我が仲間たちを勝利に導け! 《聖剣抜刀》!」


 ヴァレストは背中に抱えた剣を引き抜く。その抜刀する風圧だけでモンスターたちが面白いぐらいに怯んでいく。


「さぁ、狩り時ですわ! 《ファイアエフェクト》!」

「うー、《連槍》!」


 ノイヤーは炎の玉を生み出して目の前の敵を焼き払い、私は新しく手に入れたスキルで敵を射抜く。

 このスキルがまた便利で、5回ほど、槍で連撃を与えるというシンプルな攻撃だが、その後にすぐ次のスキルが使用可能になる。リキャストタイムを減らしてくれる強力スキルだと、ツツジに教えてもらった。おかげで狩りが捗る。


「啼け、グラム! 《聖剣の一撃》!」


 ヴァレストが聖剣を地面にめがけて振りかぶると、斬撃が具現化、正面に向かって走り出す。衝撃波に当てられたモンスターは皆データの破片へと消えていくのだ。


「あ、レベル上がった」


 パーティを組んでいるのと、二人の高レベルプレイヤーの手によってパワーレベリングしているので、すぐにレベル18に到達する。


 そう、このヴァレストというプレイヤー、異様に強いのだ。

 それもそのはず。レア称号の一つ【聖剣使い】を取得しているのだとか。そして聖剣グラムも一番ではないにしろ、トップクラスに強い武器であり、現状手にしているものは両手で数えられるほどらしい。


 そんな強プレイヤーなのは変わりないんだけど、なんか性格が嫌だ。


「見たか! 俺の強さ!」

「……ノイヤー」

「確かにうっざくて、今すぐにでもフレンドからぶち切って差し上げたいですが、あれでも強いですから」


 ノイヤーもストレスが溜まるレベルって、相当なんじゃなかろうか。

 確かに厨二病真っ盛りみたいな口上言ったり、倒すたびにキラリン! といい音しそうな振り返り方したりと、大変うるさい。ちょっと動かないでくれますか?! 顔はそれなりにいいんだから!


「すごいですね、あの方」

「まぁ、すごいけど。アザレアのこと変な目で見てたしなぁ」

「どうかいたしましたか?」

「アザレアがいいなら、いいんだけど……」


 あの人今、口を半開きにしてこっち見てるし。なんなのさもう。働いてよもう。


「なんだ、この胸の高鳴りは……!」

「はぁ、帰りたい」

「レベル20になるまで、頑張ってください!」

「なんか元気出てきた。頑張るね、アザレア!」

「うっ!」


 ホントに何なんだあの人。今度は胸を抑えて膝をついたぞ。あんなんじゃモンスターにやられて……。あ、軽く聖剣で叩いたら、モンスターの方が死んだっぽい。あれでも実力は折り紙付きってことかな。

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