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NPCが友達の私は幸せ極振りです。  作者: 二葉ベス
第3章 あの子の好きが分かるまで
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第45話:勝ち取った私たちは改めてアイテムを依頼したい。

今回は少し短めです

 勝利の余韻に浸っているのもいいが、そういえばと、放置していた石碑を調べなきゃいけない。ボスの討伐報酬みたいなところあるのに、全然気にしてなかった。


「ビター、この石碑なんて読むの?」

「あー、そんなのあったな。待ってろ、今行く」


 てってこてってこと、小さい身体を走らせて、私のいる石碑の方にやってくる。みんなも気になったのか歩いてこちらにやってきた。


「結局なんなのそれ」

「さぁな。今から調べる」


 石碑を読んでも、正直日本語じゃないからさっぱりなんだけど、ビターは果たして読めるんだろうか。


「これ古代文字か。《翻訳》」


 そんなスキルあるの?! 私も英語の勉強とかせずにそのスキル使って期末テストスルーしたいんだけどなぁ。はぁ、そろそろなんだよなぁ。


「えー、っと……」

「なんて読むの?」

「まぁ待て」


 石碑の文字を指でなぞりながら翻訳していくと、なんか専門家っぽくて面白い。見た目はちゃんとちっちゃい錬金術師だから、様になってるのがなんか羨ましいなぁ。

 そうこうしていると、読み終わったらしくちょっと興奮したように私に語りかけてくる。


「すごいぞ!」

「何が?」

「これはな! おっと、これを説明する前にまず石碑の説明をしないとな」

「珍しく興奮しておりますわね。気持ち悪いですわ」

「今のうちに何言っても無駄だ! 噛み砕いて説明するとこんな感じだ」


 後世の錬金術師へ。

 私はもうすぐこの世を去る。故にこのスクロールを後世に託そうと思う。

 だが悪しき者たちに利用されるわけにはいかない。

 れっきとした力をつけた錬金術師に託すため、守護者を用意した。

 この守護者を倒せるものがいれば、良き錬金術師だろう。

 どうかこの力が、良き者に渡るように。


 ざっくりいうと、あのゴーレムを倒したらこのスクロールを使えるよってことだろう。

 スクロールって、この本を両開きにしたぐらいの台座だろうか。いつの間にか本のような物が置かれている。これがスクロールってやつなんだろうか。

 やや興奮気味にその本に触れると、ウィンドウがビターの前に表示される。


「見ろ! レシピの山だ!」

「レシピ? ……レシピッ?!」

「そうだ! レシピの検索エンジンだ!」


 レシピってアイテムのレシピだろう。基本的にレシピを調べる手段がないはずだったのに、それを検索できる物が今目の前にあるって、すごい!

 他の4人もちょっと興奮してるみたい。私もしてる。


「じゃあ主従関係を断ち切るアイテムも?!」

「分からないがあるかもしれないぞ! 待ってろ、調べてやる!」

「分からなくもないけど、やっぱ気持ち悪いですわね」

「うるさい黙れ!」


 キーボードにカタカタと入力すると、目の前にウィンドウがいくつも出てくる。かき分けるようにビターが目的のアイテムを探し出すと、その説明をよく読んでいるみたい。


「あるみたいだ。だが……」

「だけど?」


 上がっていたテンションが徐々に下がっていくのを感じる。なに、その怖い感じは。


「主人のデータが必要らしい」

「ご主人さまの」

「データ……?」


 アザレアと顔を見合わせる。


「《犬猿のハサミ》ってのがある。だが、そのためにはデータが必要で。それが主人の何らかのデータが必要らしい。髪の毛とか装備とかそういうのだな」

「アザレア……」


 彼女は首を横に振る。持ってなさそうだ。


「そっか……」

「やはり、一度会わなければいけないみたいですね」

「流石にゲームの仕様上、勝手に断ち切るわけにはいかないんだろうな」


 なんとなくそんな気はしてたけど、やっぱりアザレアのご主人さまに会わなければいけないらしい。一生懸命逃げてきたのに、そんなことって。

 肩を落とす私たちに声をかけたのは、ツツジだった。


「アザレアは、どうしたの?」

「私、ですか?」

「うん。あなたが何がしたいか、誰と一緒にいたいか。そのためにどうしたいか。考えてみてほしいの」

「私が、どうしたいか……」


 前に語ったことがある話な気がする。自由になったから、これからどうしたいかって。あの時、アザレアは答えられなかったけど、今はきっと違う気がする。


「私はレアネラさんと一緒にいたいです。その気持ちは変わりません」

「じゃあ、どうしたいか。分かるよね」

「はい」


 アザレアが一歩下がると、私たちに向かって頭を下げる。


「お願いします。私たちに協力してください。私はレアネラさんと一緒にいたいのです」

「アザレア……」


 自分から頭を下げることはなかったと思う。あったとしても謝罪の意味。

 でも今は違う。今は、アザレアのワガママであり、ただのお願い。自分がどうありたいか考えた上での、未来を手繰り寄せるための行為。

 そんなの、答えは決まってる。


「当たり前だろ、そんなの!」

「協力するに決まっておりますわ!」

「最初からそのつもりだ。うちを侮るな」

「……だってさ」


 頭を上げたアザレアの手を取る。当人は、なんだか目線をあっちこっち行ったりして、ちょっとだけ落ち着かないような感じだ。


「この胸からこみ上げてくる感情は、いったいなんなんでしょう……」

「多分感謝だよ。ありがとうって気持ち!」

「感謝、ですか……。皆さま、ありがとうございます!」


 冬の太陽のように優しい笑みを浮かべて、みんなに感謝を伝える。こっちまで嬉しくなっちゃって、笑顔になっちゃうな。


「レア、頑張ってね……」

「うん!」


 みんなで向き合うことを決めた時、すごく嬉しかった。みんなに打ち明けて、みんなと結託して、アザレアと一緒に入れるために努力する。それが嬉しかった。

 でも今のツツジの顔だけは、ちょっとだけ寂しさを感じていてる顔な気がした。

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