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NPCが友達の私は幸せ極振りです。  作者: 二葉ベス
第3章 あの子の好きが分かるまで
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第39話:成長する花たちは旅がしたい。

旅の錬金術師が旅の錬金術師らしいことします

 さん付けの日から翌日。流石に慣れただろうと思って、ギルドホームに顔を出すと、ビターを久々に見る。そういえば家具の素材の件、お礼言っておかなきゃな。


「ビター、おはよ」

「あぁ、レアネラか。どうした?」

「いや、この前は机と椅子の件でお世話になったなと」

「そのくらい容易いことだ。家具もいいものを揃えたな」

「えへへ、でしょ?」


 いいもの、というのは間違いない。でもその全てがアレクさんのオーダーメイドなんだよね、そりゃいいものになるよ。それを含めて言っているのなら、後でアレクさんにも言ってあげよう。きっと喜ぶはずだ。


「そういえばビターがここにいるって珍しいね。いつもはアトリエなのに」

「あぁ、そのことなんだがな」

「何かあったの?」


 なんだろう。ノイヤーにアトリエを荒らされたとかそういったことだろうか。多分違うと思うけど。


「そろそろ旅をしようと思ってな。その準備だ」

「へー旅かー、楽しそうだね」

「あぁ。やはり自分の足で歩くのは一番だからな」

「旅……。旅ー?!」

「うるさっ! 何だ急に!」


 何だではない、何だでは! その色白の肌で、華奢な体してるのに、旅好きってそれホントに言ってるの?


「何だその目は。私が嘘をついてると?」

「だって、ビターが陽の光の下にいることないから、ヴァンパイアの類かと」

「これでも【旅の錬金術師】を取得するために、色んな所を旅したんだぞ」

「そういえば旅の錬金術師様だったね」

「そういえば、とはなんだそういえばとは」


 だっていつも部屋にこもって錬金術しているイメージなんだもん。こればっかりはここにいるギルドメンバーみんなが口を揃えて言うと思うよ。


「一応ギルマスであるレアネラには聞いておくが、旅に出ても問題ないか?」

「大丈夫だよ。だけど」

「何かあるのか?」


 いや、特に含みがあるとかそういうことはないんだけど、なんというか。


「私も他のエリア行ってみたいんだけど、一緒に行っていい?」

「そんなことか。旅は道連れとも言うだろう? 問題ないさ」

「やった! アザレアも連れて行くね!」

「あとで聞いておけよ」

「うん!」


 強く頷いて、アザレアのいる部屋を探す。旅か。やっぱり水とか食料とかは必須なんだろうか。おやつは何円までかな。そんな事を考えていると、楽しくなっちゃうなー。

 アザレアにも許可を取り、私はビターと一緒に旅の準備を進めることになった。


「基本的には長時間ログインできる時間がほしいな。うちはその辺問題ないが、レアネラや他の連中はそうもいかんだろ」

「だね。家の家事もあるし、土日のどっちかかなー」

「ならば……」

「何やってるのー?」


 旅の日程を決めていると、ツツジが声をかけてくる。脇にいるノイヤーが大層嫌そうな顔でビターを見ているのは見なかったことにしよう。


「旅の日程決め!」

「旅? どっか行くの?」

「うん。どこかはまだ決まってないけど」

「じゃー、私も行こうかな。暇だし」

「おいおい。まだ日程は決まってないぞ」

「私はいつもフリーなの。いつでもいいよ」

「ならそうだな……」


 相談しているのはいいんだけど、ノイヤーがめっちゃこっち睨んでくるんだけど。どうしたの。親でも倒されちゃった?

 目線を合わせると、さらに睨まれる。これは、行くなってこと?

 まぁいいか、ノイヤーも巻き込んじゃお。


「なんかノイヤーも行きたいって」

「んな?!」

「お前が?」


 ノイヤーがアイコンタクトでこっちに話しかけてきてるけど、恐らく私を売るなとか、こんな畜生と一緒に行くなとか、そんなところだろう。でもやーだよ! もう言っちゃったもんねー。


「うん、羨ましいって」

「そ、そんな事一言も言ってませんわ!」

「でもそんな顔してたじゃん。さみCぴえんって」

「喧嘩売ってますの?! 買いますわよ! 倍プッシュで!」


 どうどう。抑えて抑えて。どうせビターが拒否すると思うし。


「……来たいのか?」

「へ? 突然どういう風の吹き回しですの?」


 ビターが珍しくノイヤーを普通に誘ってる。それだけで意外な光景なんだけど、それにちょっとだけ動揺して顔を赤らめるノイヤーもまた珍しい。


「別に来たいと言うなら拒みはしないが」

「……なんか釈然としないですわ」

「言ってろ。うちは旅がしたいかどうかを聞いているんだ」


 ビターが歩み寄ろうとしているのだろうか。それともなんかの作戦で。多分脳内でそんな事を浮かべては消しているんだろう、ノイヤーは。

 口をパクパクとさせて、ギュッと紡いで、開く。


「お、お願いしま……。すわ!」

「素直でよろしい」

「なんかムカつきますわ」

「ならやめるか?」

「やめませんがー?」


 ちょっと中学生っぽいけど、要するに行きたいって言っているのだろう。やっぱり素直じゃないな、このお嬢様は。


「どうせならアレクも連れて、ギルド遠征ってことにしない?」

「ツツジ、いい案じゃん!」

「いえーい!」


 両手を上げてハイタッチする。パチンと言う音がギルドホーム内に響く。

 それから遠征の日程と時間、必要な持ち物を決めて、その日は解散となった。

 なんか遠足みたいで楽しみかも。あ、おやつは何円までだったんだろ。

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