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NPCが友達の私は幸せ極振りです。  作者: 二葉ベス
第1章 ぼっちの私がギルドを作るまで
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第26話:誘った私はかわいいアクセを買いたい。

「そういえばギルド、入るか決めた?」

「あー、そんな話だったね」


 こいつ、あえて気づかないふりをしていたのでは。割と本気めにお願いしたはずなんだけどなぁ。


「まぁ、結局まだ考え中かな。どうしようかなってところ」

「そっか。気長にじゃないけど、お返事待ってる」

「気長にじゃないかー」


 私だってそれなりに忙しいんだぞ! アザレアの様子見に行ったり、ビターの様子見に行ったり、アザレアの様子見に行ったり。

 ツツジの顔を見ても、特に考えてなさそうな素振りだったけど、実際どうなんだろう。前からこっちで私と会うのは妙に渋ってたし。もしかしてゲーム自体そんなに乗り気じゃなかったかな。それだったらごめん、なんだけど。


「ねぇツツジ、迷惑じゃなかった?」

「迷惑って? 私の方がかけてるっぽくない?」

「あ、そうじゃなくてね。私とこっちで会うの嫌そうだったから、無理してないかなって」

「あ。あー! そんなことないよ!」


 彼女の思考が、あ、そんな事もあったっけー? みたいな感じに見えたのは気のせいだろうか。いや気のせいじゃない! 絶対忘れてたこの子!


「忘れてたでしょ」

「いやそうじゃないの」

「じゃあなに?」

「んー、なんていうのかな」


 ちょっと怒ってるっぽく言ってしまったのを反省して、ツツジの返事を待つ。

 彼女の顔を見てると、困ってるような、戸惑っているような。なんかアザレアが感情について学んでいるときに似てる。


「んー、やっぱり見栄を張りたかったからかな」

「見栄?」

「これでもゲームは先輩だし、少しでもレベル上げときたかったからね。おかげで今は24だよ!」


 ドヤ顔でピースを突き出すツツジにちょっとイラッとくる。私まだレベル11なんだけど。まぁでも、無理してないようで良かった。でも。


「その見栄のせいでしばらく会ってくれなかったと思うと寂しいなー」

「それは謝るから! この通り!」


 ツツジと話してるとホントに飽きない。こうして軽口を叩きあうくらいの仲になったのが驚きで仕方ない。


「まぁ、他の理由もあるんだけど」

「なんか言った?」

「なんにもー! アクセ探そ!」


 でもたまにこうやって小声で何かを言う癖はなんとかしてほしい。微妙に聞き取れなくて反応に困ってしまう。


「そういえば知ってる武器屋ならあった気がする。見に行く?」

「先に言ってよ! もちろん行く!」


 こんな笑顔を向けられる日にはそんなこともいいかなと思うわけで。なんでこんなに私に良くしてくれるんだろ。よく分かんないや。


 ◇


「お、レアネラか。盾ならまだだぞ」

「今日はアクセサリー探しに」

「こんにちは」


 アレクさんはちょっと驚いたようにツツジのことを見てる。それもそっか、だってアザレアに似てるんだし。


「こっちは私のリア友のツツジ」

「よろしくね!」

「びっくりした。アザレアにあまりにも似てたから」

「アザレア?」


 流石に自分と勘違いした人が気になるのか、彼女の名前を反復する。どうせギルド結成のときに会うだろうし、後で会わせておこう。軽く説明すると、ツツジは驚愕の声を出す。


「IPCって、マジ? あの国家予算の!」

「そ。あの国家予算の。拾ったの」

「拾ったって……。捨てる方も国家予算捨てるってどうなの」


 厳密にはアザレアの方から見限ったようなもんだけど。まぁそれは置いておこう。今はアクセサリーを探すべく、お店の中を見て回らないと。


「……決めた」

「決めたって?」

「ギルドのやつ。私に似合うかわいいアクセを見繕ってくれたら入ってあげる!」


 そ、そう来たかー! こういう贈り物って私やったことないから分からないんだけど。何、かわいくて似合うアクセって。えぇ、どれにすればいいのよ。


「……もし選択ミスったら?」

「そしたら入らなーい」

「ひえー!」


 この選択は重要だぞレアネラ。この選択次第で、ツツジが入るか入らないか。いや、ギルドが結成できるかできないかの瀬戸際なんだ。ぐぐぐ、どれを選べば……。

 正直素人目にはどれが似合うとか分からないんだけど。性能で選べば……かわいいって言ってるじゃんバカ!


「そんなに真剣に考えなくても」

「真剣になるよ! ギルド結成がかかってるんだから」


 ブレスレットに指輪。ネックレスと言う選択肢もあるし、リボンも。むー、これは量が多すぎる。いくらか絞らないと……。ブレスレットは多分腕が痛くなりそうだからやめておいて、指輪もいつの間にか無くしそう。ネックレスは戦ってたら胸にガンガン当たりそうだし、リボンはかわいいけど、似合いそうなやつは……。


「ん?」


 そっか、そういえばヘアピンとかも贈り物にあり? 暖かい色がいいかな、それとも地味目の……。あ、このヘアピン、猫の顔みたいでかわいい。こっちは花がらで、花の形なんてのもあるんだ。へー。


「お、ヘアピンかー。かわいいの多いね」

「…………」

「ありゃりゃ、これは真剣に考えてるみたいだ」


 うーん、かわいくて似合うもの……。青色だし黄色が似合うかな。それとも赤とかオレンジのほうが……。お、これは……。


「マーブル模様のクロスヘアピン、これだー!」

「うぉ、びっくりした」


 いつの間にか近くにいたのか、私が思ったよりも声を張り上げていたのか。ツツジがナチュラルにびっくりしていた。


「あ、ごめん。見つけたよでも! これ!」

「金と水色のマーブル模様のヘアピン、こういうのあるんだ」

「バツ印になってて、前髪につけたらかわいいかなって……どうしたの?」

「な、なんでもない」


 突然口を抑えてどうしたんだろう。しばらくしたら抑えをあったけど、何か思い出し笑いしてたのかな。


「そっか、レアが必死に考えてくれたもんね」

「そゆこと! どう、ギルド入る気になった?」

「うんもう降参! 入ってあげるから、これ買おう!」

「うん!」


 よかった、どうやら気に入ってもらえたようだ。心からホッとする。

 これで5人揃った! これでアザレアのためにギルドホームを作れる!


「元々入るつもりだったんだけど、こんなにいいもんもらっちゃったし、仕方ないよね」

「なんか言った?」

「うんん、なんにも!」


 やっぱり小声でなんか言う癖どうにかならないかな。

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