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NPCが友達の私は幸せ極振りです。  作者: 二葉ベス
第1章 ぼっちの私がギルドを作るまで
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第24話:交渉ベタな私は仲間を集めたい。

「お願い! 私が作るギルドに入ってくれない?」


 翌日、学校の教室では両手を合わせて懇願するように、ツツジにお願いする私の姿がそこにあった。

 当の本人は何故か微妙な顔をしてるけど、これはいったいどっちだろうか。


「あー、この前出たアイスの話しない?」

「ギルド! お願い!」

「プリン味のアイス美味しかったなー!」

「……ホントにお願いなんだけど」


 これは、面倒くさいって言うよりも、困ってる顔って感じな気がする。いったいどうしたというのだ。


「嫌?」

「うっ……嫌とかそういうわけじゃないんだけど……」

「だけど?」

「なんというか、ちょっとだけ待ってほしいと言うか」

「エクシード・AIランドやってるんだよね?」

「やってはいるんだけど、さぁ……」


 ツツジにしては妙に歯切れが悪い。ホントにどうしたんだろう。


「大丈夫? 熱あったりしない?」

「なんでそこで風邪の心配されるの」

「いつもより言葉の歯切れ悪いなって思って」

「うぅ……ホントは驚かしたかったんだけどなぁ」

「ん?」


 今、ぼそっと言ったことが聞こえたけど、驚かしたかったって、私を? なんで。どうやって。

 そんな事を考えていると、ツツジは続けて言葉を口にする。


「……せめて3日! 3日欲しい!」

「3日って、また微妙な数字」

「それだけあれば、きっとさっちーに似合う女になるから!」

「似合う女ってなに?!」


 たまにツツジはよく分かんないことを口走るけど、今日のはかなりポイント高いよ。わけの分からなさ度が。


「いいから! じゃあ3日後サベージタウンのクエストステーションに21時ね!」

「あ、うん分かった」


 なんか釈然としない感じで予定が組まれてしまった。まぁいいや。ゲーム内のツツジに会えるならそれに越したことはないでしょう。


 ◇


「さてっと、あと1人」


 AIランドにログインすると、メッセージ箱に1件メールが入っていることに気づく。内容はと言えば、まさしく私が今考えていたビターのギルド加入の話だった。


「いつかは行かないといけなかったし、要件はさっさと終わらせちゃおっと」


 いつものように廃墟の方に行き、隠された魔法陣の上に立つと、視界が光に包まれ、目を開けるとビターのアトリエへとたどり着いた。


「おはよ!」

「ん、来てくれたか」


 アトリエにはビターはもちろん、アザレアも部屋の整理をしていた。

 最近のアザレアはもっぱらビターのアトリエに籠もりがちだ。あんまり外の世界を味合わないのはどうかとは思うけど、これもバレないためだから仕方ない。

 ビターは調合の手を止めると、アイテム画面から紅茶のティーパックを取り出して、カップに入れる。すると、お湯も入れていないのにパックから紅茶が湧き出してくるじゃないか。これも錬金術の一種だと思うと、なかなかすごい。


「で、うちを勝手にギルドの頭数に入れたそうじゃないか」

「あはは、友達も入れてちょうど5人だったのでつい」

「はぁ……」


 いつもの頭を抱えるポーズをすると、私の方にすっと向き直り、こう語る。


「ギルドの特典もちょうど欲しかったところだ。ギルドに入ってやらなくもない」

「ホント?!」

「ただし、1つ条件がある。ヌシを釣ってくることだ」

「ヌシ?」


 ヌシって、あのヌシだよね? どうしてこのタイミングで。


「キミとの協力もある。ただ何せずにポンとギルドに入るというのも、うちのプライドが許さない。ってことでヌシだ」

「ヌシは錬金術において優秀な素材になります」

「アザレアの言うとおりだ。あれがあれば主従関係を断ち切るアイテムのヒントになるかもしれないし」


 私はそんなことを話半分に耳に入れながら、メニュー画面からアイテムボックスを開くと、大量の魚の中から黒くひょろ長いひときわ目立つ魚を取り出す。


「これのこと?」

「キミっ! 持ってたなら最初から言え!」

「いやぁ、言うタイミングがなくて」


 アイテム譲渡でヌシをビターに渡すと、鮮度が落ちないようにアイテムボックスに入れた。


「これで文句なしでしょ?」

「はぁ……ただ、あのノイヤーがいるんだろ? また変な気を起こさないか心配だ」

「ビターって、見た目に関わらず意外としっかりした考えの持ち主だよね」


 ん? なんかビターからの視線が妙に鋭くなった気がする。具体的に言うと殺意が高まったと言うべきだろうか。え、私なんか失言しちゃった?


「レアネラ。キミはうちに対して、1つ訂正すべきことがある」

「う、うん」

「うちは大学生だ!」

「えぇー?!」


 大学生?! その見た目で? うっそだー!


「キミ、今その見た目でとか思っただろ! なぁ思っただろ!」

「い、いや、そんなこと、ないよ?」

「嘘だな。はぁ、だからこの身体が苦手なんだ」

「そんな、かわいいよ?」

「だからだよ……」


 ビターは私の頭の天辺を目線に移すと、軽くため息をつく。


「キミ、身長160ぐらいだろ」

「う、うんそうだけど」


 正確に言えば161cmだ。それなりに高い方だとは思ってる。


「その身長をうちにくれないか」

「え、嫌です」

「だよなー。滅多に誘われないが、飲み会のときに1人だけ子供がいるってことで外ではおおっぴらにお酒飲めないし、だからといって宅飲みしようにも、うちの身長じゃ子供のおつかいと思われて、店員に年齢確認されるし。はぁ……」


 うわー、リアルな事情を生々しく聞いてしまった。というかその見た目で20歳超えてたんだ。わ、若作りだなー。


「まぁいいさ。ノイヤーのやつがいるのは釈然としないが、ギルド結成に協力しようじゃないか」

「ありがと!」


 これでまたアザレア匿い計画のことが進む。あとは3日後にツツジと会うだけだ!

 ……そういえば、こっちでの名前っていったいなんだろう?

エクシード・AIランドは性別から身長まで変えれますが、ビターはゲームとキャラメイクを天秤にかけて、ゲームを取りました。おかげで身長141cmのままスタートしています。

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