表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
NPCが友達の私は幸せ極振りです。  作者: 二葉ベス
第1章 ぼっちの私がギルドを作るまで
24/161

第23話:彼女のために私はギルドを作りたい。

 オーダーメイドの詳しい内容を話し合っている間に、アザレアとノイヤーはそれぞれがやりたいことをしているようだ。

 ノイヤーは、あれ本読んでるのかな? 杖がついた本を読んでいるみたいだけど、本型の杖なのかな。

 アザレアは椅子、かな。というか、あっち側のスペースはなんだか家具系の武器が多いような……。


「アレクさん、あっちのエリアに家具型の武器が多いけど、あれなに?」

「家具型の武器って……。ちゃんとした家具だよ。見ていくか?」


 うん、と縦に首を振り、てってこてってことアザレアの方に向かっていく。

 近づけばちゃんと家具であることが分かるようにエリア分けされている。こっちはニト○とかホームセンターみたいにちょっと明るめで広いスペースが設けられている。

 おー、確かに武器ではない。だってタンスとか冷蔵庫とか運ぶのが大変そうなものまである。どんなに筋力があったってあれを持つのは一苦労だろうなぁ。


「レアネラ様、注文は終わったのですか?」

「あともうちょっとかな。それよりアザレアが珍しいもの見てるから」

「あ、これですか?」


 これは桜型の机だろうか。色はまだ木材特有の茶色だけど、色を塗り替えればアザレアの花にも見えなくもないかな。


「お前たちもギルドを作りたくなったら、よろしく頼むな」

「ギルド?」


 なんでそんなところでギルドの名前が出てくるんだろう?

 疑問に思っている私の顔で察したのか、アレクさんが説明を始めてくれた。


「知らないのか? ギルドホームには家具が置けるんだよ。ほらそこ、置いたときの効果も書いてあるだろ?」


 あ、ホントだ、名前の下に効果もパネルに表示されている。なになに、金運アップ。こっちは物欲センサー回避。風水アップと表示されてるけど、それは宗教的なレベルなんじゃなかろうか。もうなんでもありだなぁ。


「縁結びの家具とかないの?」

「あるぞ。あの鳥居なんだけどな」

「もう神社やった方がいいじゃん」

「それな。このゲーム、家具はやりたい放題できるんだ」


 なんとかの森で聞いたことある。確かDIYってやつだったっけな。それにしたって縁結びもあるなら、交通安全とか安産祈願とかあってもおかしくなさそう。


「お前らはギルド入らないのか? レアネラがいるなら引く手あまただろうよ」

「んー、あはは。前にアザレアが作りたいとは言ってたんだけどね」

「……アザレアが、か」

「今、宿ぐらしなので、ちゃんとしたホームがほしいって」


 間違っていない。というか50%ホントのことを言っているつもりだ。もう半分は言ってないだけだから、騙す騙さないはないと思う。

 実際、今からギルドを探すのは確かに楽だろう。なんだか最近私は有名人扱いされているような気がするからだ。街を歩くと、見知らぬ人に声をかけられたり、視線を感じたりするし。それもこれも全部ノイヤーのせいなんだけど。

 もちろん私自体は入って問題ないけど、問題はアザレアのことだ。ご主人さまがどこで私たちの尻尾を掴むか分からない。もしかしたらもう掴んでいて、今は泳がせているだけかもしれない。そう思うだけで、アザレアを1人にするわけにはいかなかった。


「IPCがそこまで物事を捉えているとはな」

「うちのアザレアは優秀なんです!」


 ちょっとだけドヤ顔してみるけど、私が言われたわけじゃない、とアレクさんにツッコまれてしまった。いいツッコミをありがとう。

 そんな会話を盗み聞いていたのか、ノイヤーも混じりたそうにこっちの様子をうかがっている。くればいいのに。あ、しびれを切らしたのかやってきた。


「わたくしは賛成ですわ! さぁ、わたくしをギルドに入れなさい!」

「うわ、ちょっと! 急に出てきて何言ってるのさ!」


 押しのけるように何故かノイヤーがギルド加入を立候補してくる。何なのさもう。


「いいじゃありませんの! こういうところから縁が生まれていくのですわよ! さ、ギルドを立ち上げますわ!」

「って言ってるけど、アザレア」

「ギルド結成には5人のプレイヤーが必要となります」


 ガックシ、と言わんばかりに肩を落とすノイヤー。メンバー候補を数えたいのか、手のひらを使って数を数え始めた。


「わたくしとレアネラは確定として、後はアレクと……」

「ちょっと待て、俺も入ってるのか?!」

「当たり前ですわ」

「加えてビターもとなったら、4人、か」

「あれも一緒ですの?」


 うわ、すっごい嫌そうな顔。ホントにあの子のこと嫌いなんだな。でも喧嘩するほど仲がいいとも言うし、実際はどっちなんだか。

 というか4人。アザレアはプレイヤーじゃないから除外せざるを得ないけど、あとひとり。あとひとりだけいれば。私の知り合いで、このゲームをやってる……。


「あー!」

「うわっぷっ! どうかなさいましたの?」

「あと1人、候補がいる!」

「本当ですの?!」

「うん、まぁ。ノッてくれるか分かんないけど、聞いてみる価値はあるかな」

「じゃあこれで4人ということですわね!」

「勝手にビターを除かないで」

「勝手に俺も入れないでくれ」


 ビターはともかく、確かにアレクさんは他にギルドに入っていそうな雰囲気がするけど、実際のところどうなんだろう。ちょっと聞いてみよ。


「俺か? 俺は一応フリーだよ」

「まぁそうですの? なら尚更確定ですわね!」

「強制加入かよ。……まぁいいか。どうせ俺もどこかには入れとは言われてるんだ、気楽にやれるところならどこだっていいさ」

「やった!」


 よしよし、これで3人。あとでビターには聞く必要が出てくるけど、多分。おそらく。きっと、大丈夫だろう。いざとなったら私の交渉テクで屈服させるしかない。


 そうなったら4人であと1人。ツツジ、入ってくれるかなぁ。

1章はギルドが結成されるまでになります。

なのであと少しぐらいですね


2章は既に本編を書いていますが、百合姫感(シリアス風味)が強めです

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ