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NPCが友達の私は幸せ極振りです。  作者: 二葉ベス
第1章 ぼっちの私がギルドを作るまで
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第15話:探す私は旅の錬金術師に会いたい。

今回は少し短め

 今日もログインしてみると、アザレアが一通の手紙を持って待っていた。


「なにそれ」

「今朝起きた際にドアの向こう側から。宛先がレアネラ様だったので、それまで待っていました」


 私宛の手紙。メールすればいいのに、わざわざ手紙なんて古風な。まぁいいや。誰から来たかとかは書いてなさそう。とりあえず封を開けてみれば分かるか。


「えーっとなになに~?」


 中には一枚の地図とメモ書き程度に「ここに来い」とだけ書かれた紙が入っていた。逆に言えばそれだけである。そんなことありますー?


「ここは、郊外の廃墟の辺りですね」

「アザレアを拾ったあの辺り?」

「みたいです。誰かが住み着いたのでしょうか」


 うーん、とりあえず言ってみたいけど、アザレアも一緒に、とはいけなさそうかな。とは言え、二日も目を離していると、もしかしたらまだ見ぬご主人さまに襲われかねないし、今日は警戒しながらも連れて行こう。回復アイテムもあるし。


「よし! じゃあ一緒に行こ」

「はい。頼りにしていますね」


 そう言われると嬉しくないわけなくて。よーし、レアネラさん頑張っちゃうよー!


 ◇


 って言っても、本当に何事もなく目的地に着いちゃった。

 あったのは、野良犬がわんわん騒いでいたことだ。犬ってちょっと苦手なんだよね。噛まれると痛そうだし。やっぱり猫だね、猫。にゃおーん。


「見てください、ホコリに紛れて魔法陣のようなものが……」


 本当に目を凝らさねば見えないよう偽装しながら、魔法陣のようなものが地面に描かれている。なんだこれ。とりあえず上に乗ってみようかな。


「レアネラ様、危ないのでは……」

「大丈夫だよ、多分」

「その多分が怖いのですが」


 ハッハッハ! そのとおりですねごめんなさい。

 ただ、上に乗っても特に何も反応がなく。どういうことなんだろう。ちゃんと掃除しないとダメですよ、的な?


「うーん、ちゃんとここって書いてあったんだけどなー」

「何か合言葉のようなものがあるのでしょうか?」

「合言葉……生ハムメロン」


 しかし周りはシーンと静まり返っている。どうやら合言葉はこれではないようだ。


「なんだろう。手紙に何か書いてないかな」


 地図やメモ書きを裏返しても、特に何も書いてない。もう炙ってみてもいいかもしれない。火は持ってないけど。


「困りましたね」

「そうだねぇ……これじゃ、あの事聞けないや」

「あの事、とは?」

「あー、そういえばアザレアには言ってなかったっけ」


 私は旅の錬金術師を探すこととなった原因であるアイテム「主従関係を断ち切るアイテム」がないかと、錬金術師に聞きに来たのだ。結局無駄足になりそうだけど。


「これじゃ、アザレアはしばらくリスポーンできないなぁ」

「大丈夫ですよ、HPが0にさえならなければいいので」

「それが怖いんだけど」


 ややがっくりとその場にへたりそうになった時だった。

 突然魔法陣が光り始めたと思うと、その場でまばゆい閃光となり、私たちの視界を覆う。あまりの眩しさに目を瞑らざるを得なかった。

 閃光が止むと、感じるのは優しい光。恐る恐る目を開いてみると、そこは一軒家のように木組みの壁と床、そして本やメモ書きなどが無作法に散らばった無法地帯だった。


 そして、目の前にいるのは、あの時にも見たチョコのように茶色い髪の毛と雪のように白く透き通った肌をした小さな女の子が立っていた。


「ようこそ、うちのアトリエに。歓迎はしないから」

「おぅ……」


 防具の重ね着を教えてもらった彼女が、まさか旅の錬金術師だなんて思うまい。

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