第132話:共闘する私たちは絆を終わらせない。
活動報告にキャラ紹介のその2を載せてます。
メインキャラはこれで解説しきった、はず。
総合評価400pt超え、ありがとうございます!
最終話までプロットが見えてきたので、最後までお付き合いいただけましたら幸いです
「お、お前はッ?!」
「団長勝負といこうじゃん、この変態野郎!」
「ま、こっちは2人なんだけどさ!」
ヴァレストがやられそうなところを《ポジションチェンジ》で位置を入れ替えて庇う。私の傍らにはツツジ。事情はだいたい聞いている。この人がチートを使っていて、救いようもないほどにダメ人間だということを。
一度距離を取ると、男は話し始めた。
「ついにレアネラさんまでご登場とは、アザレアの護衛はどうしたのですか?」
「あなたを倒せば全部丸く収まるからいいの」
「ちょっと、私たちに倒されてくれない?」
「それは、できない相談ですね! コード《聖剣斬》!」
放たれるのはヴァレストが使う無数の斬撃を飛ばす《聖剣斬》のスキル。話を聞いての通り、自由自在にスキルを使い出すことができるみたいだ。
私は聖剣斬での攻撃を盾で受け止める。レベルも随分と上がったんだ。こんなことで破れる壁じゃない。
「なるほど、実力はそれなりに身に着けてきたようですね」
「そっちは身についてないと思うけど」
「……黙りなさい。コード《千剣斬雨》」
山なりに何かが光ったと思えば、今度は星のような数ほどの銀色の剣が降り注ぐ。これをいちいち受けていたら、ノーハーツに槍先すら届かない。
隣りにいるツツジに振り向く。彼女は「うん」とうなずく。こちらも攻勢に出ることにしよう。黙ってなんて、いられない!
「行くよ、レア」
「おっけい、ツツジ」
「「《超加速》!」」
私は真正面を突き破る弾丸。そしてそれについていくようにしてツツジは剣の雨を避けていく。
接敵はすぐだ。槍を握りしめて、奴を貫かんと矛先を突き立てる。
だけど、そこでぶつかるのは透明な壁。《ブロック》と叫んだスキルの前に、その弾丸特急は阻まれた。
襲いかかる剣の雨は未だに止みはしない。頭上へと降り注ぐ落剣を超加速モード中の私はなんとか振り切る。やっぱり、ツツジみたいなことはできないわ。
「どうした。倒すと息巻いておいてそれかい?」
単純に《ブロック》の硬さじゃない。あれは1回だけ無効化するスキルであって、物理攻撃を完璧に防げるようなものじゃない。
普通に考えてチートか。だったら私にだって考えがある。剣の雨が止んだタイミングで今度はとある魔法を槍に付与して攻撃する。
「《エンチャント【雷電】》!」
未だ超加速中の私は銃弾のように猛烈な接近をして、《ブロック》中のノーハーツに襲いかかる。
《エンチャント【雷電】》は雷の魔法を武器に付与できるスキル。多分ユニーク称号である【勇者ごっこ】で手に入れたスキルなんだけど、これは該当の称号でなくても発動できるスキルだ。数少ない私の魔法攻撃の手段、とくと受けてみよ!
「……ッ! 《ブロック》解除!」
予想通り《ブロック》は物理攻撃を防ぐもの。付与された魔法攻撃はそれを貫通することができる。これならブロックをかいくぐって攻撃することも可能だ。
ノーハーツはそのまま《ブロック》を解除して後方へ移動する。だけどそれをさせてたまるか。
「レア、盾借りるよ!」
「足場に使って!」
超加速状態が終了した私はそのままツツジにバトンタッチする。元々《超加速》は自身の素早さに応じて効果時間がやや変わるらしい。なので私よりもツツジの方が素早さのステータスが高いため、効果時間も遥かにあっちの方が上。
加えて脚力も上がった状態だ。盾の押し出しとともに踏み込めば、その速度は音速をも超える、はず!
「くそっ!」
たまらずカウンターと言わんばかりに斬り込むノーハーツだけど、ツツジにはそんな攻撃効かないよ。
ノーハーツの剣をレール代わりにしながら、ツツジの逆手の短刀が滑っていく。攻撃のタイミング。うかつにもツツジの前で攻撃のスキを与えてしまった。続く攻撃は、ツツジによるカウンターだ。
「《無中のカウンター》!」
《剣の舞》と共に攻撃力が飛躍的に上昇したツツジの一撃は重い。どんなに硬い装甲でも、完全に整ったツツジの実力ならば、一斬りでかなりのHPを削れる。
ノーハーツの腕を斬り裂いた斬撃は彼のHPを容赦なく削っていく。1割にも満たなかった装甲値を貫通して、なんと5割もの体力をえぐり取った。
「小娘が! コード《聖剣の一撃》!」
「レア!」
「《ポジションチェンジ》!」
瞬間、データの通信が行き来したと思えば、ノーハーツの前に現れたのは私。文字通り《ポジションチェンジ》のスキルは位置の入れ代え。攻撃役と防御役のチェンジ行動。
タイミングよく入れ代わった私たちは私がそのままノーハーツの一撃を受け止める。さらに背後からは《剣の舞》で攻撃力が上昇しているツツジ。前門の私、後門のツツジ、と言ったところか。
ガキンと衝撃が盾に走る。その衝撃を地面に向けて攻撃の勢いを受け流す。これはツツジから教わった盾の基本ってやつらしいよ。
「ツツジ!」
「《スラッシュ》!」
「《ブロック》だ!」
光る刃が透明な壁に防がれるものの、今度は私の存在が意識から外れているはずだ。まだエンチャント中で、魔法攻撃は可能な状態。ならば、ドンドン攻める。
「《連槍》!」
物理的な槍の攻撃阻まれるが、エンチャントした魔法はそれに限らない。雷の槍は5連撃とも全てヒットし、ノーハーツのHPをじわじわと削る。
「ちょこまかと……ッ! コード《封印》」
その言葉とともに全身からスキルと言う名の加護が解けるのを感じる。もしかして、これがスキル無効化スキルってやつ?!
「最初はお前からだ!」
最初の標的は私。なるほど、先に壁役を倒して、ツツジは放置するつもりなのね。《ブロック》の壁は健在。打ち破れないからこそ、私に標的が向いたわけか。
でもなんとなく今までの行動で分かったことがある。それは《ブロック》中に攻撃的行動はできないということ。なら《ブロック》の壁は私を攻撃することで消えるはず。
「スキあり!」
ツツジがブロックが解除されたノーハーツの膝裏を狙うべく、下から潜り込むように短刀を振り切る。その先には剣があって、そして男はニヤリと笑う。
「《乱れ咲き》」
刀身に光が灯る。これは咲良さんのときと戦った時に見せたカウンター技?!
完全再現とまでは行かないだろうけど、これを受けたらツツジは間違いなく死ぬ。そうは、させるものか!
掲げた盾をノーハーツのバランスを崩すために、地面を蹴り上げて突撃する。刹那の判断。それが正しいかどうかは、これから分かる。
確かにツツジの短刀は光る刀身にヒットした。そこよりの派生攻撃である連続突き攻撃は、ツツジに当たることはなかった。
私に押し出された男は、ツツジがいるはずだった地面を数度貫いて、地面に倒れた。
地面を滑っていたツツジは半ば強引にUターンを決めて、ノーハーツにとどめを刺すべく近づく。
「《超加速》!」
ノーハーツもこの状況を打開するべく、超加速モードに突入して襲い来るツツジの凶刃を回避した。
もう少しだったのに。だけど、この状態ならいずれ勝てるはずだ。
恐らくノーハーツには技量がない。この私たち2人を打開するための実力はないはずだ。
なら、どうしてヴァレストはあんなに押されていたんだろう。実力的には私たち2人よりは及ばないにしろ、近接戦闘なら我がギルド内の3本目の指に入る実力者だ。それなのになんで……。
「気をつけろ! そいつは脳波をコントロールできる!」
置いてきたヴァレストの声が私たちの耳に入る。
その瞬間。超加速中のノーハーツの顔がニヤリと歪む。
軽い頭痛と、全身の先の方から力が抜けていくような感覚。いや、ようなじゃない。抜けているんだ。武器を落として、膝を付いて、まるで糸が切れた操り人形のように、ガシャンと私たちの身体は地面に落ちていった。




