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NPCが友達の私は幸せ極振りです。  作者: 二葉ベス
第1章 ぼっちの私がギルドを作るまで
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第12話:オシャレした私はせっかくだからモンスターを倒したい。

 気分がいい。見た目を新調するというのは、本当に気分がいい。まるで自分が新しく誕生したような気持ちだ。新しい自分の誕生祝いに何をしようかな。せっかくだからモンスターでも倒して、強さの証明をするのも悪くない。よし、そうしよう!


「アザレア、モンスター討伐しにいかない?」

「もちろん問題ございません」

「あ、大丈夫だよ! アザレアは念の為宿で休んでてくれれば」

「……申し訳ありません」

「いいんだよ、リスポーンしちゃったらそれこそ困っちゃうし」


 彼女が申し訳なさそうな顔でちょっとだけ笑みを浮かべている。そんな顔しなくてもいいんだけどな。ちょっとだけ罪悪感に苛まれながら、アザレアを宿へと送っていくことになった。


「あ、そうだ。ついでにアイテムも買っておこうかな」

「良いと思います。ちょうどこの先にアイテム屋があったはずですので」


 マップを見ると、確かにそうみたい。

 しばらく歩いていると、たどり着くことができた。


「へいらっしゃい!」


 今どきへいらっしゃい! とか言う人いるんだ。とかじゃなかった。とりあえずアイテムを買い揃えたいんだ。


「アイテムかい? それなら、もうちょっと待ったほうがいいと思うぜ」

「え、なんで?」


 アイテムに旬とかいう概念はなかったと思うんだけどな。とりあえずおじさんの話をもうちょっと聞いてみよう。


「何しろ、旅の錬金術師様をお見かけになってな。しばらくしたら、今の値段でもうちょっと性能の良い商品が出回るだろうぜ」

「へー。おじさん、その旅の錬金術師って何者?」


 そんなの初めて聞いた気がする。NPCにそんな名前の人聞いたことないし。それよりこの人、上にユーザー名載ってるから多分プレイヤーだと思うし。

 若干頭を上に上げながら質問してみると、アイテム屋のおじさんは快く答えてくれた。


「この界隈では有名なプレイヤーでよぉ。各地を転々として、通りすがった町や拠点に性能の良いアイテムを流通させてくれるっつー、なんとも変なプレイヤーなんだよ。アトリエもどこにあるか分からないけど、とにかく旅をする錬金術師ってことで、その名前がついたんだよ」


 はー。そんなの物好きみたいな人がいるのはちょっと意外かも。いや、オンラインゲームだし、そのくらいの変人がいてもおかしくないか。


「分かったよ。また数日したらここに来てみるよ」

「おう、ありがとな嬢ちゃん!」


 さて、どうしようかな。数日間モンスターを狩らないと思うと、ちょっと暇潰しできないな。


「なんかモンスターがいなさそうなところで、釣りとかしようかな」

「でしたら以前行った森に釣りスポットがあるみたいなので、そちらに行かれては?」

「そうだね。釣りグッズは買い足せばいいか」


 せっかくオシャレしたのに、とは思うけど、魚も広い括りでなら、モンスターみたいなものだろう、。

 今度は道具屋に行って釣り竿を買い、以前行った森に行くことになった。道中に出てくるモンスターも大した強さを持ってないので、サクッと倒せるようになった。流石にレベルが上ったからかなー。

 そんなわけでやってまいりました釣りスポット。こういうところって渓流っていうんだっけか。大きな岩場と緑生い茂る木々。なんともマイナスイオンが充満していそうなところだなー。


 適当に釣り糸を垂らして、魚を待つ。その間にこのゲームの釣りの仕様をひと通り見ているけど、敏捷力に比例して釣れたり釣れなかったりするらしい。

 というのも、敏捷力自体が素早さだけでなく、器用さにも判定があるみたいで……おっと、釣り糸が引いてる。素早く竿を引き上げてー。


「釣れたー! 1匹目!」

「おめでとうございます。アイテムボックスに入れましょう」


 釣れた魚を懐にしまうと、また釣り糸を垂らす。

 さっきの話だが、敏捷力が高いカスタムをした私は意外と器用なようで、おっとまた引き始めた!


「よいしょー! 2匹目!」

「おめでとうございます。アイテムボックスに入れましょう」


 このようにバンバン魚が釣れてしまうわけで。なんという優しい世界。なんというちょろい釣り。こんなに簡単でいいのか。いやそんなことあっては、また引いてる。


「釣れすぎじゃない。3匹目!」

「おめでとうございます。アイテムボックスに入れましょう」


 アザレアもさっきから定型文しか言ってないし。アイテムボックス魚臭くなっちゃうよ? 嫌だよ私。魚屋さん開業したくないよ?


「短時間でこれだけ釣れれば、ヌシも釣れるかもしれませんね」

「ヌシ?」

「渓流のヌシです。一定の短いスパンで釣りを続けると、ヌシが出てくるそうです」


 渓流にヌシなんているのが驚きだけど、そんなちょろいスパンでヌシが出てきていいものなのだろうか。あれかな、うちの若いもんが世話になったな、的な。


「釣れるといいねぇ……」


 まさかアザレアからそんな話題が出てくるとは思ってなかったけど、まぁ暇だし、いっちょ狙ってみますか、ヌシってやつを!

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