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NPCが友達の私は幸せ極振りです。  作者: 二葉ベス
第1章 ぼっちの私がギルドを作るまで
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第11話:ぼっちの私は装備を買いたい。

「終わった!」


 ツツジと一緒に帰ったり、夕飯の支度をしたりと、いろいろやらなきゃいけないことが終わってだいたい20時ぐらい。やっとログインできると、ややヘトヘトになりながら、ゴーグルのそばまで歩いていく。

 そのままゴーグルを身につけて、ダイブスタート!

 意識が0と1の境界を越えると、目の前に現れたのは青い髪が素敵なメイド、アザレアだった。


「おはようございます」

「おはよ!」


 いやぁ、なんか日中会えないだけでこんなにも会いたいと思うなんて変なの。


「昨日はありがとうございました」

「いいのいいの! さて、今日はどうしようかなー」


 宿を出て、町中をぶらつく。何しようかな。やっぱ装備整えたほうがいいかな。1人で悩んでいてもしょうがないし、アザレアにも聞いてみよ。


「アザレア、今日何したらいいかな?」


 アザレアはしばらく頬に手を当てて考え出すと、1つの答えを紡ぎ出した。


「昨日のご様子から、やはり装備を整えたほうがよろしいかと。ですがレベルも致命的ですし、レベル上げもされた方が……」


 なんか頭から不穏な煙がにじみ出てきたんだけど。そんなに心もとないかな私の戦力?!


「あー、分かった! 分かったから、今必要そうなのは?」

「そうですね……。無難に装備を整えるのが自然かと」

「そうだよねぇ、オシャレしたいよね、せっかくなら!」

「え?」


 え。だって見せる相手いないけど、オシャレしたいじゃん。女の子なんだから。


「ほら、お金も手に入ったしさ!」

「ですね。では準備して出発しましょう」


 オシャレしたいとは思ったけど、なんか変だったかな。アザレアの反応めっちゃ塩っぽかったし。まいいや。


 ◇


「うーん、なんか装備ってダサい」

「そんなことを仰られても」


 だって頭装備はヘルメットみたいだし、胴体装備はそれこそ鎧の甲冑。下半身はギリギリスカートっぽい装備があるぐらいで、なんかダサい。


「どうにかなんないのー?」

「と言われましても」


 私嫌だよ、防御力のためとは言え全身鎧を身にまとってガシャンガシャン言いながら町歩くの。どこの鉄仮面だよ。


「お金積むからオーダーメイドとかできないのかな」

「できると思いますが、お値段に飛び上がるかと」

「どんなもん?」


 こちらですと、差し出されたお値段表に文字通り飛び上がった。なに、この値段?! こんなにぼったくるの、このゲーム?! どうしよう。流石に今の手持ちじゃ精々1つぐらいしか作れない。なんか、1箇所だけ強くしても不格好だし、それはそれで嫌だな。


「うー。どうすれば……」


 鎧装備の前で腕を組んで唸っているが、結論は一向に出ない。あぁ神よ、どうすればいい感じの見た目の装備を作れますか……?


「重ね着すればいいんじゃないの?」

「へ?」


 不意に声がした方に振り向くと、大きなリュックサックが視界の下の方に入ってくる。それに従うように、目線を下に動かすと、チョコのように茶色い髪の毛と雪のように白く透き通った肌をした小さな女の子が立っていた。


「え、誰」

「うちのことはいいから。それより見た目なら重ね着装備があるんだけど」

「重ね着?」


 アザレアが続けて用語を説明する。

 どうやら普通の装備とは別に、上からテクスチャを張り替える様な感覚で、重ね着というのができるらしい。防御力は一般的な鎧甲冑。見た目は重ね着で揃える、というのが主流らしい。

 というか、アザレア知ってたなら言ってくれればいいのに。


「重ね着用の装備ならあっちにあるから。それじゃ」

「あ、ちょっとー! って行っちゃった」


 神のように気まぐれに助けてから颯爽とその場を去ってしまった。それにしてもあの子すっごく可愛かったな。中学生とかかな。まるでお人形さんみたいだったなー。今度会ったらフレンド申請でもしてみようかな。


「よし! じゃああの子の言う通り見に行こうっと」


 見た目装備は様々で、それこそさっきの鎧甲冑から、探索者のような軽装備に、実際にあってもおかしくないような服装まで。すごい。いろいろあるから目移りしちゃうな。


「アザレアはどれがいいと思う?」

「私のことはお気になさらずに」

「そうじゃないよ! 私はアザレアに聞いてるの!」

「と、言われましても……」


 なんて言いつつも一緒に考えてくれる辺り、やっぱりいい子。まぁそういうプログラムがされてるからかもしれないけど、そんな無粋なことを言ってもしょうがない。


「やはり黒や白は定番ですが、レアネラ様の髪の色から、こちらのような薄い色彩の衣服もよろしいかと」

「おー、データから判断するってやつだね!」

「そういうわけではありませんが、似合うかな、と思いまして」


 似合うかな、か。嬉しいな、そういうこと言ってくれるのは。

 アザレアが言ってくれた服も混じえながら、えーっと……こんな感じかな。出来上がった格好を試着すると、アザレアに見せてみる。


「どうかな……?」

「……素敵です」

「ホント?」

「私が選んだ服も着ていただきありがとうございます」


 出来上がったのはアザレアが選んでくれた薄いオレンジ色の衣服をメインに、全体的に明るい色合いで整えてみた。面倒で伸ばしていた髪の毛も赤と白のチェックのリボンでまとめて、ちょっと愛らしさも強調してみたり。


「よし、これにする!」

「……ありがとうございます」

「なんでお礼二回も言ったの?」

「嬉しくなった、からでしょうか?」

「なんで疑問形なのさ!」


 ちょっとくすりと笑みを浮かべる。本当にかわいいなこの子は。


「そういえば。見た目もそうですが、中身もちゃんと買いませんと」

「あ! そうだったー!」


 その後、見た目にお金を割きすぎた結果、中身の防具はしょぼいものを買うことになったのは秘密だ。

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