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封印されし魔王は隠遁を望む  作者: おにくもん
第一章:終焉と新生
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8話・身体的能力測定

プリームスは自身の肉体的な性能を確認しておく事にした。



握力に関してはレイピアを握って振り回す程度ならある。

ただこのレイピア、伝説級の武器なので非常に軽く切れ味も抜群なのだ。


このレイピアをプリームスが振り回せるだけで、おそらく他の同じ大きさの武器を扱うのは無理かもしれない。



更に自身の体力を知っておく為、スキエンティアと模擬戦をしてみる。

スキエンティアは装備させているロングソードで、プリームスはレイピアだ。



畏まった様子でロングソードを構えるスキエンティア。

攻めて来ないのでプリームスからレイピアを振るった。



鋭いプリームスの突きがスキエンティアを襲う。

予想以上に速かったのかスキエンティアは躱しきれず、ロングソードで受けた。



プリームスが笑む。

「どうした? スキエンティアも攻めてくれねば、私の身体能力測定を達成出来ん」



スキエンティアは少し慌てた様子で答えた。

「も、申し訳ありません! では・・・」


受けたレイピアをロングソードで器用に弾き返す。

そして鋭いスキエンティアの払い斬りがプリームスの足元を狙った。



だがプリームスは何事も無かったようにスキップをして、スキエンティアの払い斬りを簡単に躱してしまう。


「なっ?!」

驚くスキエンティア。



スキップをした僅かな反動を利用して、プリームスはレイピアで横から斬りかかった。



流れるような、そして力みが全く無いプリームスの攻撃は、余りに自然過ぎて"兆し"が読めない。

故に、気付けば至近までスキエンティアに刃が迫っているのだ。



防戦一方になってしまう。

プリームスの斬撃をロングソードで辛うじて受け流しながら、スキエンティアは焦った。



後ろに跳躍しスキエンティアはプリームスから距離を取る。

間合いが開けばロングソードの方が有利だからだ。



プリームスは追って来ない。

スキエンティアを見つめて不敵な笑みを浮かべるだけだった。



スキエンティアは自分が仕える主の底の深さに、改めて驚愕する。

武を極める為に100年も費やしたと言うプリームス。

スキエンティアのような若輩が足元に及ぶ筈もなかったのだ。



だがこれは主の身体能力を計る為の行為なのだ。

及ばずとも貢献せねばなるまい。



スキエンティアは全力で踏み込み上段からロングソードを振り下ろす。

一瞬でプリームスは間合いに詰め寄られ、スキエンティアの斬撃が頭上に迫った。



しかし再び何事も無かったようにプリームスは左手を差し出す。

その手の人差し指と中指が、高速で振り下ろされるロングソードの側面に触れたように見えた。



すると流れるように僅かばかりかロングソードの軌道が逸れて、半身になったプリームスの横を通過する。



スキエンティアは余りの事に驚愕し、唖然としてしまった。

もはや体が次の行動に移れる訳も無い。



いつの間にかプリームスがスキエンティアの懐に入り込み、レイピアが喉元に突きつけられていた。



プリームスは「う〜む」と唸るとスキエンティアくら離れた。

そして思案しながら告げる。

「体は思った以上に動くな・・・私の意思と肉体の反応速度に差はほぼ感じぬ」



スキエンティアは溜息をつき相槌を打った。

「左様で・・・」

そしてスキエンティアも思案する。

『魔法無しでの純粋な武器による戦闘は足元にも及ばない。さらに陛下は、全く全力では無かった筈・・・こんな私で陛下のお役に立てるのか、、?』



プリームスはそんなスキエンティアの考えに気付いたのか、

「スキエンティア、自虐的な事は考えるなよ」

と見透かしたように告げたのだ。



少し落ち込んだ様子のスキエンティアにプリームスは歩み寄り、優しく背中に触れた。

「お前は十分過ぎる程に強い。さっきの私の動きは、持って5分と言ったところだ・・・分かるな?」



スキエンティアは事態に気付く。

「つまり・・・体力が全く無いと?! それは些か不味いのでは・・・」



プリームスは頷き溜息をついた。

「うむ・・・以前のように全力で何時間も戦うなど不可能だ。5分を超えれば息もあがるし、腕は痺れてレイピアを握るのも辛くなりそうだ。せめて完璧に魔法を制御出来ればいいのだが・・・」



余り良い事態では無いのだが、スキエンティアは嬉しかった。

自分の存在意義が示されたからだ。



スキエンティアはプリームスの前に跪くと、嬉々とした声音を隠せずに言った。

「陛下、何事が有ろうとも私めがお守り致します。ご安心くださいませ!」



プリームスは鞘にレイピアを納めると屈み込み、スキエンティアの胸に寄りかかった。

「うむ、期待している。取り敢えずは疲れたゆえ、このまま支えてくれ・・・」



スキエンティアは何だか嬉しくなり、プリームスを優しく抱きしめるのだった。

「承知しました」



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