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封印されし魔王は隠遁を望む  作者: おにくもん
第三章:謀略の王都
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77話・プリームスとアグノス(2)    ※改稿済み

朝日がカーテンの隙間から差し込み、天蓋から下された薄い幕を照らす。

その日差しは淡い光となってプリームスの瞼を優しく刺激した。



いつの間にか眠ってしまったらしい。

昨夜は随分とアグノスに愛でられてしまい、プリームスの身体はクタクタだ。


しかし不思議な物で不快な気はしなかった。

心地よい気怠さと言えば良いのだろうか、精神的に疲れが癒されたからかもしれない。



傍で眠っているであろうアグノスを見やるプリームス。

すると起きていたのか薄っすらと目を開いてプリームスを見つめていた。


「起きていたのか・・・」

昨夜の事を考えるとプリームスは少し恥ずかしくなり、咄嗟に目を背けてしまった。



アグノスの手がプリームスの肩に触れ、

「おはようございます、プリームス様。何故、目を逸らすのですか?」

そう言って不満げに見つめる。



仕方なくプリームスはアグノスを見やった。

「少し照れ臭い・・・アグノスは何と言うか、色々と肝が座っているな」



小さくクスッと笑うアグノス。

「これでも一国の王女ですから。そう言うプリームス様も見た目と裏腹に、随分とお歳を召されたような雰囲気を感じます」


そう告げられてプリームスは口を閉ざしてしまった。



静かで穏やかな沈黙の時間が過ぎる。

そしてカーテンの隙間から差し込む日差しが2人を照らし、白い肌と相まって神秘的な様相を見せた。


更に2人ともベッドに全裸で横たわっているので、お互いに扇情的な印象を与えてしまい"触れて愛でたい"と言う気持ちが湧き出てしまう。



どちらからとも無く顔を寄せて優しく口付けをした。

そうしてゆっくりと離れるとプリームスが呟く。

「私は何歳に見える?」



急に問われて少し戸惑い思考するアグノス。

「正直に言えば15歳程にしか見えません。ですが私より女性的で扇情的なお身体をされていますし・・・」

と言い困った表情を浮かべた。



つまりふしだらな身体をしていると言いたいのだろう。

その上、童顔なものだから均衡がとれていないとアグノスに思われたに違いない。

そう思いプリームスは少し落ち込んでしまった。



そんなプリームスの様子を見て慌てるアグノス。

「えっ!? 何か気に障る事を言いましたか?」



ベッドに横になったままアグノスから背を向けるプリームス。

綺麗な形の臀部(でんぶ)がプルンと揺れ、しなやかで(くび)れた腰が露わになる。

そして拗ねたように呟いた。

「どうせ私は童顔で卑猥で老けた物言いの変な女だよ」



「ええぇ?! そんな事、一言も言ってないですよ!」

と戸惑うアグノス。



プリームスは拗ねたまま動かない。

ヘソを曲げたプリームスを見てアグノスは笑みが溢れてしまう。

子供っぽい所が有って可愛らしいと感じたからだ。



アグノスはそっとプリームスの背中に寄り添い呟く。

「プリームス様は御自身でそれが欠点と御思いでしょうが、私はそう言った所を含めて貴女に惚れたのです」


そうして続けてプリームスの耳元で囁いた。

「機嫌を直してくれないと、悪戯しちゃいますよ」



するとプリームスが突然振り返りアグノスに覆い被さってしまう。

「生意気な小娘め! 懲らしめてやる!」

とプリームスは言い放ち悪戯顔を浮かべた。



次の瞬間プリームスはアグノスに馬乗りになり、その身体に口付けをし始める。

昨夜とはまるで逆転状態だ。



くすぐったそうに悶えるアグノス。

「おやめ下さい、プリームス様・・・」


「昨夜の仕返しだ」

プリームスは、そう言うと容赦無くアグノスの双丘に顔を埋めた。



アグノスが堪らず声を洩らした時、

「ゴホン・・・」

とワザとらしく咳き込む声がした。



一気に熱が冷めたかと思うと、恥ずかしさで顔が火照ってしまうプリームスとアグノス。

ベッドには天蓋から薄布が垂らされており、直視出来ないのがせめてもの救いか。



プリームスが慌ててアグノスから離れ、声の主を確認すると侍女であった。


プリームスの視線に気付いたのか侍女は、

「お目覚めのようですね。湯浴みと朝食の支度が出来ております」

と恭しく頭を下げて2人に告げる。



しかし素っ裸なのでプリームスはどうしようかと考えていると、

「お召し物もご用意しております」

そう侍女が言って手に持ったガウンを見せてくれた。



用意の良い事で・・・。

流石、王宮の侍女と言ったところか。


プリームスは居た堪れない様子でベッドから下りる。

アグノスはと言うと慣れたもので、素っ裸でさっさと侍女の前に立ちガウンを着せられていた。



そう言えば殆どを戦乱や闘争の中で暮らしていた為、こんな穏やかに世話されるのは久方ぶりだ。


これから先も、せめて自分を慕う者達にはこのような時間が続く事を願うばかりである。



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