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封印されし魔王は隠遁を望む  作者: おにくもん
第一章:終焉と新生
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5話・リンカーネーション改  ※挿絵有り

生まれ変わったプリームスのイメージ画を描きました。

以前の燃えるような赤から、銀・白・青と言ったイメージになっております。

挿絵(By みてみん)


プリームスが現在どのような危機的状況にあるのか、掻い摘み素早くスキエンティアに告げた。

またその後どのようにして乗り切るのか、その方法と手順を説明する事にする。



魔力とは魂に宿る力の根源である。

故に聖痕がプリームスの魔力と反発している以上、自身の身体にプリームスの”魂”を留まらせることは自殺行為を意味していた。


そこで転生魔法リンカーネーションを応用して、プリームス自身に使用するのだ。

転生先はスキエンティア用に用意していた、プリームスの複製体である。


そして元の身体も失う訳にはいかないので、プリームスの魂が抜けた身体を、インテリジェンスアイテムであるスキエンティアが預かり操る訳だ。



これが成功して得られる結果は、まず聖痕とプリームスの魔力反発が無くなる。

これにより元のプリームスの肉体が正常な生命活動を取り戻す。

考えられる危険性は、スキエンティアがプリームスの身体を正常に操り管理できるのか?、と言う事だ。



一方、転生先の複製体にプリームスの魂を移動させた場合の危険性は、そもそもリンカーネーションの魔法が成功するかどうかと言えよう。

更に言えば転生を成功させたとして、果たして複製体が正常に生命活動を行い、プリームスが自身の身体の様に操作出来るのかどうかだ。



プリームスの説明を聞くスキエンティアだったが、内心は不安で一杯だった。

しかし他に方法が見当たらない以上、主に準るしかなかった。




プリームスの肉体はもう限界に近づいていた。

故に即座に転生の準備を始め、プリームスと複製体を覆う魔法陣が地面に形成される。

もし今、何者かが邪魔立てすれば、いとも簡単に魔法は失敗しプリームスは死に至るだろう。



だが辺りは静かで、心地よいそよ風がプリームスを撫でるだけだった。

今しかない、そう判断し魔法を発動させた。




”リンカーネーション・インプローブ”




次の瞬間、凄まじい光が辺りを照らした。

更にプリームスを中心に巨大な光の柱が形成され、その光は天高く突き抜けてゆく。


プリームスは自身の意識が薄らいで行くのを光の中で感じた。

失敗したのか?

それとも・・・。








頬に何か滴るのを感じた。

それに後頭部に何やら柔らかい感触も感じる。

私は・・・どうなってしまったのだろう?



目をゆっくりと開けてみた。

眩しい・・・身体も何だか自分の物ではないようだ。



つまりそれは・・・。



視界がハッキリし、目にしたのは自身を見つめる自身の顔だった。

その顔は悲しそうに涙を流していた。

そして小さく呟く。

「陛下・・・」



プリームスはまだ感覚がハッキリしない右手を動かすと、悲しそうに見下ろす”自分であった”顔の頬に触れた。

「スキエンティア・・・?」



嬉しそうに涙を流すスキエンティア。

「はい・・・そうです。スキエンティアです・・・陛下」



プリームスは小さく溜息をつくと呟いた。

「そうか・・・成功したのだな」



プリームスは首を動かし周囲を確認した。

どうやら以前の自分に膝枕されていたらしい。

いまはスキエンティアだが・・・。



因みにプリームス自身は素っ裸で少し肌寒い。

何とかせねば風邪を引いてしまうし、そもそも出歩けない。


そう思ったプリームスは、スキエンティアに支えられてぎこちなく立ち上がる。

何だか物凄くスキエンティアに見つめられている気がした。


スキエンティアは恥ずかしそうにプリームスから目を逸らすと、

「陛下・・・その、御体は何歳程のものなのでしょうか?」



「うん? この今の依代の事か?」

と問い返すプリームス。



もじもじとして小さい声で答えるスキエンティア。

「はい・・・」



プリームスは記憶を辿るように、視線を泳がしながら答えた。

「スキエンティアに以前リンカーネーションを使用した時と言ったろう。あれからゆえ15年か・・・。つまり肉体年齢で言えば15歳といったところだな」



「左様で・・・」

そう返事をするとスキエンティアは、困った顔で続けて言った。

「陛下は、その頃から、その・・・扇情的なお体でしたのですね。目のやり場に困ります」



今のプリームスの身体は、背丈こそ本来の自分より頭一つ分低いが、非常に女性らしい身体をしていた。


年齢にそぐわない豊満な胸、くびれて引き締まった腰、大き過ぎず形の良いヒップ、そして何よりも美しい顔が幼いのだ。

その顔と身体の差があまりにも魅力的で、スキエンティアを困らせてしまったのだ。



プリームスは苦笑する。

「あ~すまんすまん。すぐに何か羽織るとしよう」



それを聞いたスキエンティアは少し残念そうだった。



スキエンティアに歩み寄り、その手を取るプリームス。

いきなり全裸の美少女に片手を掴まれたのだから、スキエンティアは驚くしかなかった。

「へ、陛下!?」



「じっとしていろ・・・」

と言い放ちプリームスはスキエンティアの左手の指から、幾つか指輪を抜き取った。


そして自分の指に指輪をはめると、その手を目前にかざした。

すると指輪が小さく光を放ち、プリームスのかざした手の先から衣服が大量に出現したのだ。



スキエンティアは思い出したように、ポンと手を叩き言った。

「そうでした・・・陛下は指輪に収納機能を付加しておられましたね」



プリームスは特に返事する事無く、出現した衣服を物色し始めた。

そして気に入った下着を見つけると早速身に着ける。


ぼ~っと、その仕草を見ているスキエンティアを一瞥し、プリームスは告げた。

「何をしている・・・その恰好で出歩くのは少々不味かろう。お前の分・・・いや、元は私か・・・って、そんな事どうでもいい! とりあえず無難そうな服を選んで身につけろ」



スキエンティアは、プリームスが魔王の状態で着ていた漆黒のオープンバックドレスのままで、流石に派手すぎた。

『今は目立たない方が良いだろう。早々着替えさせねばな・・・』




スキエンティアは、自身を見やるとニンマリした。

「少々不味いのは、陛下のこの体形かと・・・。お傍で拝見するのも、宜しゅうございましたが・・・自分自身がそうであると、また違った趣が・・・」



何だか凄く腹が立ったプリームスは、適当に掴んだ衣服をスキエンティアぶん投げた。


これから新しい人生を始めるのだ。

だがこんな変態に自身の肉体を預けて、果たして良かったのだろうかと不安になるプリームスであった。



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