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封印されし魔王は隠遁を望む  作者: おにくもん
第九章・北方四神伝・II
1762/1764

1638話・山岳地下の古代遺跡

目の前にそびえ立つ只の壁…しかも一切の隙間が無く強固に見えた。

ここはティミドとスィエラが転送された先の、貯水槽?の出入り口付近だ。



「これを突破して先に進むの?」



ティミドの不安そうな問いに、スィエラは僅かに微笑んだ。

「もう忘れたの? この遺跡の入り口を開いたのは誰かしら?」



「う、うん…そうだったわね」

確かにスィエラは遺跡の入り口を解析し、破壊する事なく道を切り開いた。

それでも"この壁"は明らかに異質で、並々ならぬ頑強さと緻密さを感じさせるのだ。

故に、これが開くとは想像出来なかった。



「大丈夫。私は派手な事は苦手だけど、こう言った細かな解析は得意なのよ」



「でも…」

開ける方法が分かっても、それを実行出来るかは話が別である。



すると諭すのを諦めたのか、スィエラは何も言わずに壁へ右手をかざした。

その直後に何処からともなく微風が吹き出す。



『遺跡の入り口の時と同じ…』

スィエラが何をしているのか、ティミドは凡そを推測出来ていた。


物の構造を解析する為に、スィエラは風へ何らかの魔術を付加しているに違い無い。

そしてその風に因って対象へ干渉するのだ。

また風は目に見えない無形…それだけに物質的な制約が無く、容易に干渉が可能なのだろう。



「フフッ…ちゃんとティミドは観察出来ているわね、貴女の推測通りよ」

そうスィエラが告げると微風がピタリと止み、ティミドに振り返る事なく続けた。

「でも如何にして開くか…その道理を理解していないわね」



「え…? あ……そ、そうね」

理解していないと言うか、そもそも分かる筈が無い。

なので飽く迄も推測の範囲を越えなが、恐らく扉の機構を読み取り、それを恰も使用権限者の如く勝手に動かすのだと考えられた。

つまり出入口の機構を騙す訳だ。



そうするとスィエラは嬉しそうに笑った。

「フフフッ…! 流石はプリームスの身内だわ。この世界の人間が、そんな推測をするなんて驚きよ」



「この世界の人間って……まるで他の世界を見て来たような言い方ね」



「……」

これに何も答えず、スィエラは出入口を開ける事へ集中する。



『やれやれ……都合が悪くなると何も言わないんだから…』

自分の思考や過去の情報は筒抜けなのに、こちらからは何も知りようが無い。

何とも不公平だとティミドは思ってしまう。



床が僅かに揺れた。



「んん?! ひょっとして成功した?」



ティミドの問いに、スィエラは踵を返した。



「え? な、何?! って…ちょっと!!?」

突然の展開に混乱するティミド。

その踵を返してきたスィエラが、急に自分を抱えて走り出したのだ。

そう…来た方向へ戻るように。



刹那、轟音が響き、僅かだった揺れが地震のように大きくなった。



「うわぁぁ………」

抱えられたティミドは余りの光景に、つい声が漏れる。

先程まで自分達の居た場所が、左右から迫り出して来た壁で消失していた。

もしスィエラに抱えられて離れて居なければ、壁に押し潰されて命を失っていただろう。



「機構は単純だけど、この設備の構造が複雑で大仰なようね」



「う、うん……」

スィエラの呟きに、ティミドも同感だった。

只ここを抜けるだけで、これ程にも大掛かりに設備が動くのは滑稽である。



そうして2分程の揺れが続く間、貯水槽の出口付近?は駆動し続けた。

左右の壁が交互に横へ迫り出し、そこに加えて突き当りの壁だった物が奥へ引っ込んでいったのだ。



「これって……」



ティミドの呟きに頷くスィエラ。

「うん、これは明らかに階段ね」



1段が30㎝は有りそうで、上るのも降りるのも実に大変そいうな階段。

それが天井まで続いていたのだった。



「えぇぇ……これを上がって行くの?!」

労力を考えるとゾッとしてしまうティミド。



「フフッ……横に進むより全然良いとは思うけど? 水平に移動しては、いつまで経ってもプリームスと合流出来ないわよ」



「まぁそうなんだけど……」

ティミドはスィエラから降りると、諦めた様子で上り難い階段へ向かうのだった。






 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※






先行したティミドと精霊王スィエラを追って、長大な回廊を進むディーイーとシン。

既に500mは歩いた筈だが、未だに突き当りには到着していなかった。


また100mの天井付近に宝珠で灯りをともしているが、それで見渡せる範囲は300m程度で、視認出来る範囲には何もない。

つまり少なくとも遺跡の入口から800mは、只のドでかい通路なだけであった。



「はぁ……はぁ……流石に疲れてきた……ちょっと休憩しよう」

そう告げたディーイーは、素早く収納魔導具からソファーを取り出した。

勿論、寝転ぶ為である。



「ディーイー様…大丈夫ですか?」

声音は淡々としているが、そのシンの表情は普通に心配顔だ。

ディーイーが虚弱体質なのを十二分に承知しているからだった。



「うん……少し休憩したら進もう」



「承知しました。所で、ティミドさんは随分と先に進んでしまった様ですね?」



「ん…? あ……いや、ひょっとしたら転送系の罠に掛かったのかも。宝珠で調べながら進んでいたんだけど、途中で魔法機構が起動した痕跡をみつけたのよ」



目を見張るシン。

「え…?! それは不味いのでは? それにこのまま進んでも…」

正直、意味が無いと思えた。

ティミドが他の場所へ転送されたなら、ここを進んだ所で合流出来る訳もないのだから。



「そうなんだけど……これがもし偶然に罠が発動していたなら、本気でティミドの捜索に注力した方がいい。でも私達を分断する為なら、このまま進むべきだわ」



シンはディーイーの言っている意味を即座に理解した。

「つまり後者なら、この遺跡の管理者なりが私達を危険視しているのですね」



「そう言うこと。その管理者か或いは防衛機構か…どちらにしろ私達を只で帰す気は無いだろうしね。だからボコってティミドと合流するだけよ」



「さ、左様ですか……」

強気なディーイーに少し引いてしまうシン。

しかし、このような発言や振る舞いが出来るのは、ディーイーに相応の実力が有るからだ。

正に超絶者ゆえの自信だと感服するのであった。



楽しんで頂けたでしょうか?


もし面白いと感じられましたら、↓↓↓の方で☆☆☆☆☆評価が出来ますので、良かったら評価お願いします。


続きが読みたいと思えましたら、是非ともブックマークして頂ければ幸いです。


また初見の読者様で興味が惹かれましたら、良ければ各章のプロローグも読んで貰いたいです。


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〜「封印されし魔王は隠遁を望む」作者・おにくもんでした〜

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