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封印されし魔王は隠遁を望む  作者: おにくもん
第九章・北方四神伝・II
1759/1764

1635話・人間と精霊の違い

「北方諸国での神獣の加護は、元より定められた領域にしか効果が有りません。なので幾ら頑張ろうとも、本土と同じ加護を辺境は得られませんよ」



「「「……」」」

このロギオスの爆弾発言に同席していたガリーとガオシャン、それにクルトは唖然としてしまった。



『この事実を知る者は、今では私やグラキエース殿しか居ないですし…まぁ驚いて当然ですか』

などと密かに思うロギオス。

だからと言って所詮は他人事…特に同情する気は無かった。

「さて…話は逸れましたが、如何しましょうか」



如何とは、船に不在で行方が知れない主君ディーイーの事である。

これを察したグラキエースは直ぐに答えた。

「勿論捜索します。先ずは最後に居られた座標へ向かいましょう」



「同感です。では早々に支度をしましょうか」

そう返したロギオスは、我先にと席を立った。



ここで我に返ったガリー。

「え…ちょっ!? 捜索に向かうのは賛成ですが、こっちの報告が済んでませんよ?」



「ん? あ〜〜そうでしたね。では手短に願えますか?」

面倒臭そうな雰囲気がダダ漏れのロギオス。



又もや苛立たされるが、グッとガリーは堪えて言った。

「ガオシャン様を次の龍王に擁立します。差し当たって永劫の帝国アイオーン・アフトクラトリアの協力が必要になると思います」



「……」

ロギオスは何も言わず、僅かに片眉を動かした。



『これは流石に不味かったかな…』

グラキエースの後ろ盾が有るとは言え、気不味くなってしまうガリー。


ここで漸く我に返ったガオシャンが口を開いた。

「他国を龍国内の争いに巻き込む事は、本来なら有っては為りません。ですが他に拠り所が無く、永劫の帝国アイオーン・アフトクラトリアすがるしか無いのです…」



「ふむ…私は特に反対する気はありませんよ」



サラッと容認するロギオスに、ガオシャンは驚きを隠せない。

「え…?! 宜しいのですか?! てっきり私は反対されるかと……」



「グラキエース殿が居て尚、その様な話になったなら、とやかく私が言う道理は有りません」

このロギオスの返答は、"グラキエースが尻を持つ"のだから勝手にすれば良い…と暗に告げていた。



「そ、そうですか…有難う御座います」

何が「有難う」なのか…などと自分でも思うが、兎に角は反対されずガオシャンは胸を撫で下ろす。



「では聖女皇陛下の捜索に向かいましょうか」

と告げたロギオスは、もう用は無いとばかりに席を立つのであった。






 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※






ティミドは片膝を付いて腰を摩って居た。

「痛たた……」



「ティミド…大丈夫?」

晴天のように美しい髪の麗人が、心配そうに尋ねた。

彼女は水晶の様に透き通る肌を持つ人外…風の精霊王スィエラだ。



「だ、大丈夫よ…スィエラが居なかったら危なかったけど、」

実は広大な回廊を進んでいる最中に、転送系の罠?が発動したようなのだ。


そして強制的に飛ばされた場所が空中で、ティミドは危うく落下死する所だった。

それをスィエラが咄嗟に浮遊魔法を施し、無事に地面へ降ろした訳である。

因みにティミドが腰を摩っているのは、転送された直後に壁へ腰を打つけたからだ。



「それにしても……」

ティミドは飛ばされは場所に困惑する。


初めに居た場所と同じく高すぎる天井なのだが、幅が打って変わって5m程しか無いのだ。

また回廊なのか、先が見えない位に奥行きが長い。


幸いなのは明かりだ。

天井付近に何らかの照明機構が有るようで、それが照らす光で辛うじて見通せた。



「先の回廊もだけれども、ここも相当に広い空間だわ」

と同調するようにスィエラが呟いた。



「ここって何処か分かる?」



「初めに居た場所からは大して離れていない。只それは座標の話で、高さに於いては随分と地下へ移されたわ」



「……」

スィエラの言葉に、どうしてかティミドはゾッとした。

それは潜在的に感じる危機感か?

或いは不手際に因る自責の念だったのだろうか?


どちらにしろ主君と分断されたのは間違い無い。

『うぅぅ…どうしよう』



ティミドの心情が伝わり、同じ様に落ち込むスィエラ。

「すまない…私が付いていながら、こんな事になるなんて」

契約により魂の共有を果たした今、互いの情動をも共有してしまうのだ。



「あ…いや……そもそも私が迂闊うかつだったんだし、スィエラが責任を感じる事は無いよ」



「……」

それでも気落ちしたままのスィエラ。



『あぅぅ……これじゃぁ自分で自分を慰めるようなものか…』

慣れて居ない所為か、ついティミドは魂の共有を失念してしまった。


兎に角は自分の気持ちを改めねば、スィエラにまで影響が出る。

『私がしっかりしないと!』



するとスィエラが怖々(おずおず)と尋ねた。

「気になる事が有る。訊いても良いかな?」



「え…? あ、うん…どうぞ」

改まるスィエラに、少しばかり不安をティミドは感じる。

生涯を共にする契約の間柄であり、今更になって余所余所しく問うのは変だからだ。



「その…貴女の伴侶は大丈夫なの?」



「伴侶…?」

まさかの問いにティミドは半ば唖然とした。



「貴女と結婚をした男性… レティ-センシアだよ」



「なっ…!」

何故それを?…と言い掛けて止めるティミド。

恐らくだがスィエラは思考や情動だけで無く、こちらの情報までもが筒抜けなのだ。

そうで無くば、この問いは有り得ない。



「初めに伝えておくべきだったわね。貴女と私は凡ゆる面で繋がってしまったの。だからティミドの記憶は私の物でもあるわ」



「ちょっ!? そんなの何にも隠せないじゃない!!」



スィエラは不思議そうに首を傾げる。

「…? どうして隠す必要があるの?」



「…!!」

ここで漸くティミドは、精霊と人間の違いに気付く。

そう…精霊には人間の常識が通用しないのだ。

そして同じと思われた情動の変化は、"共有した為に起こった反応"だったのかも知れない。



楽しんで頂けたでしょうか?


もし面白いと感じられましたら、↓↓↓の方で☆☆☆☆☆評価が出来ますので、良かったら評価お願いします。


続きが読みたいと思えましたら、是非ともブックマークして頂ければ幸いです。


また初見の読者様で興味が惹かれましたら、良ければ各章のプロローグも読んで貰いたいです。


なろう作家は読者様の評価、感想、レビュー、ブックマークで成り立っており、して頂ければ非常に励みになります・・・今後とも宜しくお願いします。


〜「封印されし魔王は隠遁を望む」作者・おにくもんでした〜

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