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封印されし魔王は隠遁を望む  作者: おにくもん
第九章・北方四神伝・II
1758/1764

1634話・主君の行方と辺境の真実

ロギオスの報告に因り、アドウェナを見逃した事が発覚。

これにガリーが随分と怒りを露わにしたが、議論と対策の場だと言う事で何とか収拾がついた。



ここで自然とグラキエースが議長を担い話を進めた。

「メディ.ロギオス…どうしてアドウェナを逃がしたのか、その理由を聞かせて貰えますか?」



どう答えるべきか、ロギオスは僅かに逡巡する。

『どうしましょうかね……』

逃げたアドウェナが如何に行動するか観察したい…それが本音だった。

これは因果律を研究する上で、実に良い検体と言えたからだ。


またアドウェナが自分の弟子…もとい原体の弟子と言う点も見逃せなかった。

複製体の自分でも、原体の業は引き継がれるのではないか?

それを知る為、敢えて不手際を選んだとも言えた。


しかしながら、こんな事を説明できる訳も無い。

『なら正攻法ですかねぇ』

「ハクメイ姫の救出を最優先にした結果です。それに乗っ取られていた都督妃も、無傷で取り返したのですよ。称賛されても咎められる理由は無いと思いますが」



これにグラキエースは冷静に指摘で返した。

「ふむ……そうですね。ですがメディ.ロギオスなら、アドウェナの処理も可能だったのでは?」



「いえいえ、それは買いかぶり過ぎですよ。何よりアドウェナの処理は仰せつかっていません、ですから聖女皇陛下の御沙汰をと思いましてね」



「そうですか…」

一応の筋は通っている。

故にグラキエースは、それ以上の追求を止めた。


仮に危惧する点が有るとすれば、ロギオスが何かを画策している可能性だ。

だが、その可能性も低い。

何故ならロギオスは主君に恩義を感じ、強い忠誠心で仕えている為だ。

つまり主君は当然の事、永劫の帝国アイオーン・アフトクラトリアへ害をなす結果にはしない筈なのだ。



「しかし…聖女皇陛下の判断を仰ごうにも合流座標が変更された上、船にも不在とは……」

と少し落胆気味に呟くロギオス。



これにはグラキエースも、敬愛する主君に早く会いたかったので同感だった。

それでも私情は隠して言った。

「元の合流座標は東陽省の都市上空でした。それを踏まえると我々の到着が早いか、或いはディーイー様の方が遅くなると考えられたのかも知れません」



「只それだけの理由なら構わないのですが、聖女皇陛下の正確な位置が把握出来ていません。嫌な予感がしますね」

このロギオスの言葉で艦橋が静まり返った。



ディーイーは自由気ままで奔放な所がある。

されど連絡の遣り取りをした状態で、急に行方が分からなくなる事は無かった。

つまりグラキエースやロギオスの干渉力が、"何らかの力"に因って阻まれている可能性あるのだ。



「……私とディーイー様は、とある魔導具で凡その位置が把握出来ていました。その情報が今は途絶えた状態です」

そう告げたグラキエースの声音は至極冷静だが、その表情は僅かに陰っていた。



「魔導具とは…確か宝珠でしたか。聖女皇陛下へは1世代の物でしたよね? そしてグラキエース殿の物は新しい第二世代…ひょっとして宝珠間の送受信が上手く行ってないのでは?」

などと言い出すロギオス。

もう批判を通り越して難癖である。



またもや諍いか?!…と居合わせたガリー等は焦ったが、グラキエースは然して気にした様子を見せなかった。

「そう言うメディ.ロギオスこそ、ディーイー様に付けていた人工精霊が役に立っていないのでは?」



正に静かな煽り合いだ。

それでも甲板での諍いに比べれば大人しく、実に冷静で理知的に見えた。


なので当然にロギオスも飄々と返す。

「フフッ…これは手厳しい。まぁ人工精霊との送受信が遮られたのは、恐らく何らかの施設に入ったからでしょう。それも並々ならぬ強固な何かです」



ここでハッとするガリー。

「…! もしかしてディーイー達は迷宮とかに潜ったって事?!」



「いえ、迷宮程度ならば私やグラキエース殿の干渉を阻めません。そうなると超文明の古代遺跡に潜ったか…若しくは宝珠と人工精霊の破壊が考えられます」

このロギオスの推測は前者なら意味不明で、後者なら予期せぬ襲撃や事故が起きた事になる。



「超文明の遺跡って……リキさんの故郷を守る為に、どうして遺跡に潜る必要があるんです?」



「さぁ? 飽く迄も可能性の話ですよ」



ロギオスの返しに、やはりイラッと来るガリー。

「ちっ…! はいはい、そうですか」

『グラキエースさんも、こんな人と良く真面に会話出来るわね…』



そのグラキエースはと言うと、何故か頭を抱えていた。



ロギオスの言葉を真に受けたとは思えないが、何か危惧する心当たりが有るのかも?

そう考えたガリーは慌てた。

「え……グラキエースさん? どうしたの?!」



「メディ.ロギオスの推測は十分に可能性が有ります。何せディーイー様は知識欲旺盛で奔放ですから。それに…」



「それに…?!」



「この地域は北方の辺境ですが、元は混沌の森だったのです。そうなると危険な遺跡が存在しても、何ら可笑しくは有りません」



「え……混沌の森……?!」

まさかの言葉にガリーは半ば呆気に取られた。



するとロギオスも頷く。

「左様…以前は本土だったと今の民は思い込んでいます。これは明らかな情報操作ですよ…龍国中枢のね」



余の衝撃に、ガリーは完全に固まってしまう。

「……」


それは同席している龍国の"元聖女"であるガオシャンと、その使徒のクルトも同じだった。

「そんな……」

「辺境の悲願は…」



「ん? 辺境の悲願…?」

クルトの言葉に反応するロギオス。



クルトは怖々(おずおす)と答えた。

「その…辺境は本土復帰を希望にし、本土へ貢献し続けて来たのです。これでは……」



「そう…北方諸国での神獣の加護は、元より定められた領域にしか効果が有りません。なので幾ら頑張ろうとも、本土と同じ加護は得られませんよ。まぁ火炎島のような例外は有りますがね」



楽しんで頂けたでしょうか?


もし面白いと感じられましたら、↓↓↓の方で☆☆☆☆☆評価が出来ますので、良かったら評価お願いします。


続きが読みたいと思えましたら、是非ともブックマークして頂ければ幸いです。


また初見の読者様で興味が惹かれましたら、良ければ各章のプロローグも読んで貰いたいです。


なろう作家は読者様の評価、感想、レビュー、ブックマークで成り立っており、して頂ければ非常に励みになります・・・今後とも宜しくお願いします。


〜「封印されし魔王は隠遁を望む」作者・おにくもんでした〜

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