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封印されし魔王は隠遁を望む  作者: おにくもん
第九章・北方四神伝・II
1757/1764

1633話・ほうれんそうと、憤慨のガリー

少し?諍いが起きたが何とか収まり、次元潜航艇の船内に入った一同。

この船はディーイー専用に誂えた物で、何処にでも寝そべられるよう各所へソファーが設置されていた。

勿論、ディーイーが寝そべる為である。



それを目の当たりにしたガリーは、つい苦笑してしまう。

「フフフッ…何ともディーイーらしい船と言うか…」

通路に転々と設置されたソファーが、妙にシュールに感じたのである。



すると案内していたカルボー010が溜息をつく。

「はぁ……ただ怠惰なだけなら良いのですが、ディーイー様は脱いだ物を彼方此方に置くので、片付けるのが大変です」



「あ〜〜分かる! 今はティミドさんが居るから大丈夫だけど、いつも俺が片してたからなぁ」



そんなカルボー010とガリーの遣り取りに、ロギオスが然りげ無く割って入った。

「聖女皇陛下のご様子ですが、いつもと変わり有りませんでしたか?」



「え…? いつも?」

意図した意味が分からず問い返すガリー。



「これは言葉足らずでしたね。私が知りたいのは実際に接して居た貴女方が、聖女皇陛下の体調に違和感を感じなかったか?…ですね」



「う〜〜ん……」

ガリーは考え込んでしまった。


何も無い時のディーイーは、いつもダラダラしている。

それが普通なのか、或いは体調不良なのか判別が付かなかった。



答えあぐねるガリーに、ロギオスは苦笑いを浮かべる。

「巧みに不調を隠しているかも知れませんね。まぁ今のは気にしないで下さい」



あの狂気の魔法医師(ルナメディクス)に意味深な事を言われては、誰でも不安になると言うものだ。

「その…ディーイーの体は大丈夫なんですか?」



心配そうにガリーから尋ねられ、いつも通りロギオスは飄々と答えた。

「全く問題は有りませんよ。只、私の目が届かない所で無理をしていないか確認しただけです」



「そうですか……」



こうして些細な会話が終わる頃、ガリー達は艦橋へ案内された。



「どうぞ皆さん、お好きな席へ着かれて下さい」

口調は丁寧だが、妙に投げやりなカルボー010。



そんな人工精霊に文句を言う事も無く、皆は思い思いの席に座る。

また明らかに上座な艦長席へ、敢えて座ろうとする者は居ない。


因みに艦橋に備え付けられたテーブルは、幅が3m、長さが6mもある。

用途は主に作戦会議や、こう言った話し合いの場で使われる。



その艦長席の右隣へ座ったグラキエースが言った。

「さて、首尾の報告と確認、それと問題や課題があれば解決策と対策を考えましょうか」


この言い様は"問題が有る"と暗に告げていた。

そして事前に話し合いの場を設けた事で、他者からの批判を封じるものでもあった。



その更に右隣に座ったガリーは、グラキエースの振る舞いに舌を巻く。

『先手を打つなんて…流石はグラキエースさんだわ。強いだけじゃ無いのね』

伴侶だけに誇らしく思えた。


そもそもペクーシス連合王国を建国した存在で、建国の祖なのだから弁が立って当然ではある。

加えて毅然とした佇まいは、他者を率いる統治者の風格を感じさせた。



グラキエースへ対面するよう、下座に着いていたロギオス。

彼が態とらしく挙手した。

「いいですか?」



それを見て若干だが当てつけに感じるガリー。

『この人…一体何なの?! あんな一番遠い席に座って』

ここには5人しか居らず、皆んなで近い席に座れば良い筈なのだ。



対してグラキエースは気にして居ないのか、至極冷静な様子で返した。

「何ですか、メディ.ロギオス」



「先ずは当方の状況を報告しても?」



「どうぞ」



「ハクメイ姫…それと黒金の蝶の副団長サーディクさんは、無事に救出致しました。またその序でにヤオシュさんの母君も救出しましが、それに伴い問題が発生しまして…」

そう前置きをしたロギオスは、アドウェナを敢えて見逃した事を告げた。



これへガリーが真っ先に声を上げる。

「なっ?! アドウェナを逃がしただって??!!」



声を荒げるガリーを見て、ロギオスは首を傾げた。

「はて? どうしてそんなに血相を変えるのですか?」



『こいつっ!!』

苛立ちが頂点に達してしまうガリー。

自分達を死地に追いやろうとしたアドウェナを、見す見す見逃したのだから当然だ。

「あの女が何をしでかすか分かったもんじゃない! 絶対に逃がすべきじゃ無かった!」



「ふむ……」

これまた態とらしく相槌を打つロギオス。

明らかに人を小馬鹿にした様子だ。



一方、アドウェナを直に知っている訳では無いので、グラキエースは事の重大さを認識していない。

それでも伴侶ガリーが此処まで心配するのだ、故に軽視は出来なかった。

「メディ.ロギオス…禍根を残したのでは?」



ロギオスは内心で溜息が出そうになる。

『やれやれ…伴侶の肩を持つと言う訳ですか』

「私は与えられた使命を完遂しただけです。アドウェナの確保や処理は仰せつかっておりませんよ」



全くその通りであり、ガリーは言い返せない。

「くっ…」



因みにグラキエースも使命は完遂したが、それに付随する問題が発生している。

その為、彼女自身も強気には出れなかった。

何より此処は批判では無く、報告や対策を議論する場なのだから。

「兎に角、過ぎた事で揉めても仕方ありません。何か対策を講じた方が良いでしょうね」



「と、グラキエース殿も仰っていますが…如何しますか、ガリーさん?」



多分、ロギオスは普通に喋っているのだろが、どうしても揶揄気味に聞こえてしまう。

その所為でガリーは苛立ちが収まらなかった。

「もう勝手にすれば!」



『ふふっ……そんな口を私に利けるのは、この世で数える程しか居ませんよ』

妙に愉悦を覚えるロギオス。

狂気の魔法医師(ルナメディクス)は恐怖の対象であり、忌避される存在だった。

故に感情を正面から打つけようとする者など、殆ど居なかったのだから。



楽しんで頂けたでしょうか?


もし面白いと感じられましたら、↓↓↓の方で☆☆☆☆☆評価が出来ますので、良かったら評価お願いします。


続きが読みたいと思えましたら、是非ともブックマークして頂ければ幸いです。


また初見の読者様で興味が惹かれましたら、良ければ各章のプロローグも読んで貰いたいです。


なろう作家は読者様の評価、感想、レビュー、ブックマークで成り立っており、して頂ければ非常に励みになります・・・今後とも宜しくお願いします。


〜「封印されし魔王は隠遁を望む」作者・おにくもんでした〜

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