1630話・捜索、探索、集結
ディーイーとシンは先行したティミドを追って、遺跡の入り口に穿った通路を潜る。
そうして10m程進むと、真っ暗で広大な空間に出たのだった。
「う〜ん…広過ぎて灯りが届いてないな」
自身の周囲に浮遊する三つの宝珠の内、一つだけを隠蔽から解いて灯りにしていたディーイー。
その灯りが暗闇を照らしきれていなかった。
「不用意に進むと危険かと…」
追随するシンが静かに告げる。
「う〜ん…もうちょっと灯りの出力を上げてみようか」
そうディーイーは返して宝珠を上昇させた。
そもそも周囲が見えなければ、探索どころでは無い。
また傍で光量を上げなかったのは、眩しくなるだけで余計に見えなくなる為だ。
「おおお?! 無茶苦茶高いぞ」
宝珠を100m程上昇させて、漸く天井付近に到達し、流石のディーイーも驚きの声を上げる。
山岳内の地下施設だとしても、これは余りに大き過ぎた。
加えて天井の材質が岩や木製では無く、何らかの金属なのは間違い無かった。
つまり"この規模"は、現文明では建築不可能な施設と言えた。
ここで宝珠の光量を上げ、可能な限り周囲を照らしてみた。
すると凡その全貌が明らかとなる。
床から天井までが約100m、幅も100mに及ぶ。
更に奥行きは…この宝珠1つでは照らし切れず、150m先までを視認出来た。
「これは凄いな…」
これに似た空間をディーイーは思い出す。
エスプランドルの迷宮にも規模は半分になるが、巨大な地下回廊が存在する。
そこの主な用途は、魔神を食い止める為の絶対防衛線だったのだ。
しかし此処の用途は、それとは明らかに違った。
天井が高過ぎるのである。
「う〜ん…幅と高さも凄いが、奥行きも相当に長いな」
ディーイーは天井付近まで上げた宝珠で、最大限の出力で照らした。
それでも凡そ300m程度しか奥行きを確認出来なかった。
「どうなさいますか? 見える範囲では分岐路も無さそうですが…」
シンが淡々と尋ねた。
「……」
逡巡するディーイー。
仮にシンの言う通り全く分岐が無ければ、ティミドとの合流も難しくは無い。
少し急いで進めば、いつかは追い付く筈だからだ。
だが迷宮化していた場合、転送型の罠も有り得る。
この様な広大な回廊なら、それが特に顕著だったりするのだ。
『でもなぁ…以前居た世界と常識も違うだろうし』
直に見て確かめなければ、ディーイーでも実際の所は分からなかった。
「よし! このまま探索しながら進もう」
「時間を掛けてでも安全に進む訳ですね」
「うん…今の私は魔法が使えないから、何かあった時に対処出来ないのよね。だから何か起こらないよう、慎重に進むとしよう」
「宝珠は確か…全部で4つ有るのですよね? その宝珠で探索は難しいのですか?」
シンの問いに、ディーイーは困り顔で答えた。
「そうしたいのは山々なんだけど…宝珠には活動限界が有ってね、使い過ぎると魔力切れを起こしちゃうんだよ」
「え……では今この状況も不味いのでは?」
頭上100mの位置で輝く宝珠を指して、心配そうに問い返すシン。
「いや、あの程度なら大丈夫だよ。確かに相応の魔力を消費してるけど、宝珠には周囲の魔力を吸収する機能もあるからね。今の状況で何とかトントンかなぁ」
「左様ですか…」
「ん…? 何だか浮かない顔だね?」
「いえ…私に宝珠を1つ割いておられるので、それが負担になっていないかと…」
「そんなの計算に入れてるから大丈夫よ。それよりも私から余り離れないでね」
ディーイーの念を押す様な言い様に、しっかりとシンは異議を口にした。
「宝珠の守りが有るなら、私へ無理に意識を割く必要はありません」
そうするとキョトンとした顔でディーイーは言った。
「え…? あ、いや…私が立ち眩みしたら、シンさんに支えて貰おうと思って…」
「……」
ズッコケそうになるシンであった。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
上空に3つの影が、身を寄せる様に浮かんでいた。
それは余りの上空で、地上からは何なのか人の目では確認出来ない。
そもそもは"それ"が目的だった。
この3つの影こそが永劫の帝国の最重要機密の1つ、次元潜航艇であった。
横並びに寄せ合う3つの次元潜航艇。
その右端の船から何者が姿を現し、中央の船へ移動を始める。
しかし舷梯などを使わずに、何と空中を歩いている様に見えた。
そして左側の船からも1つの人影が現れると、こちらも同じく空中を歩み、中央の船へ降り立ったのだった。
先に甲板へ降り立った"優男"は、笑みを浮かべながら言った。
「そちらも滞りなく片付いたようですね」
これに後から来た"褐色の麗人"は、特に表情を変える事なく淡々と返す。
「その言い方からするに、貴方の方も問題無く済みましたか」
常日頃、笑顔を絶やさない白衣の優男。
彼こそは列国に脅威認定された"狂気の魔法医師"であり、今は永劫の騎士であるトゥレラ-ロギオスだ。
また褐色の麗人は、ペクーシス連合王国の初代女王ことグラキエース。
彼女もまた現在は永劫の騎士で、プリームスが魔王だつた頃の四天王の一人でもあった。
少し惚けた仕草で言うロギオス。
「問題無く済んだと定義するならば、少々語弊が有りますね。目的は達成しましたが…」
するとグラキエースは頭を抱え溜息をついた。
「はぁ……やはり別の問題が起きましたか」
「ほほぅ…グラキエース殿も?」
ロギオスは意外そうに問い返す。
彼からすればグラキエースは、主君に迫りスキエンティアに匹敵する超絶者なのだ。
そんな相手が不手際を起こすなど、本音で言えば想像出来なかったのである。
「取り合えずは中で話しましょうか。顔合わせしておきたい方も居ますから」
そう返したグラキエースは、自分の次元潜航艇に踵を返した。
その視線の先には、不安そうに甲板で待つ5つの人影があった。
『え……ひょっとして真ん中の船に飛び乗れって事?!』
5つの人影の1つ…ガリーは血相を変えたのだった。
楽しんで頂けたでしょうか?
もし面白いと感じられましたら、↓↓↓の方で☆☆☆☆☆評価が出来ますので、良かったら評価お願いします。
続きが読みたいと思えましたら、是非ともブックマークして頂ければ幸いです。
また初見の読者様で興味が惹かれましたら、良ければ各章のプロローグも読んで貰いたいです。
なろう作家は読者様の評価、感想、レビュー、ブックマークで成り立っており、して頂ければ非常に励みになります・・・今後とも宜しくお願いします。
〜「封印されし魔王は隠遁を望む」作者・おにくもんでした〜




