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封印されし魔王は隠遁を望む  作者: おにくもん
第九章・北方四神伝・II
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1622話・臣下の心、主君知らず

上空で待機していた次元潜航艇へ、午後の3時に戻って来たディーイー達。

この時、腹の音で昼食を抜いていた事に気付く。

勿論、その腹を鳴らしたのはディーイーである。



「うぅ…色々立て込んで食べ損ねた」

居間のソファーに倒れ込みながら、ディーイーは後悔した様子で呟いた。



そんな主君に苦笑するティミド。

「フフフッ…何かに没頭されますと、いつも食事を忘れてしまいますよね」


出先でなければ傍付き役が配慮し、無理にでも食事の時間を捻出する。

しかしながら今回は侍女も居らず、尚且つ旅先と言う状況なのだ。

規則的な予定を組める筈も無かった。



「うぅ〜ん……お腹すいた…」



すると居間から姿を消していたシンが、いつの間にか戻って来て言った。

「そう仰るかと思い、戻って直ぐにカルボーさんへ食事の用意をお願いしました」



「おおおっ! 流石はシンさん、抜け目ないね!」

感激するディーイー。

実は空腹の所為で目眩がする程だったのだ。



「本当に流石ですね。侍女にしておくには勿体無いくらいですよ」

ティミドも御世辞抜きで評価を口にした。



「有難う御座います。ですが私の評価よりも…」

そうシンは言うと、ほんの僅かに顔をしかめて視線を横に流す。

その視線の先には、壁際に立つスィエラの姿があった。


彼女?はディーイー曰く風の精霊王で、狂飆きょうひょうの守護者の二つ名を持つ存在だ。

また異質な存在力と強大過ぎる力の為、その姿を人は朧げにしか認識出来ないのだった。

故に否応無しではあるが、シンは恐怖に似た嫌悪感を抱いてしまうのである。



「あ……忘れてた。そう言えばスィエラから報告を聞かないと」

失念していたとばかりに言うディーイーだが、全く起き上がる気配が無い。



これにスィエラの気配が揺れた。

姿が朧げにしか見えないシンやティミドでも、それが困惑や動揺と言った状態に見える程だった。



なので見兼ねたシンが提案した。

「ディーイー様…食事をしながら報告を聞かれては?」

人間では太刀打ち出来ない"精霊の王"を、易々と無下にするディーイーにドン引きしたのは否めない。

『この方は本当に怖い物知らずですね…』



「んぁ? う〜ん…分かった」

挙げ句の果てには生返事である。



程なくするとカルボー010が2体の分身?を連れ、食事の乗った配膳台を押して入室した。

良く見ると色や髪型が異なり、実は分身で無く別個体だと分かる。



「え〜と…この船の管理者は……真ん中の?」



ティミドが何気無く問うと、右側に浮かんでいたカルボーが舌打ちした。

「チッ…! それはカルボー012です」



「えぇぇ…?!」

『若干の違いは分かるけど、どれがどれだか分かんないよ…』

と内心で嘆くティミド。



「我々を見た目で認識するから悪いのです。魔力や存在力を感じれば、おのずと区別が付く筈ですが?」

そうカルボー010は皮肉を言いながら、他の個体と共に配膳を始める。

何だがんだ言いつつも、与えられた仕事は手際良くこなすところは、流石はメディ.ロギオスの人工精霊である。



「そんな事を言われても…」

ティミドからすれば、分からない物は分からないのだ。

そして、ふと思いが口に出てしまう。

「ディーイー様は個体の区別は付きますか?」



「え? 私? 分かんない」

と適当に答えながら食事を頬張るディーイー。



『はぁ……これは半分聞き流しか…』

ティミドは胸中で溜息が漏れてしまった。



そんなディーイーに怖々(おずおず)とスィエラが傍に寄ると、その体にソッと触れた。



どうやら生粋の精霊は、人工精霊のように言葉を話さないようだ。

その代わり契約者や親和性の高い者とは、心象などの伝達に因って意思の疎通を可能にするらしい。


『う~ん……やっぱり異様ね…』

改めてティミドは、主君を取り巻く現実に異様さを覚える。

絶世の美少女と、姿さえ朧げな奇怪な精霊王……この2つが同時に存在する事に、全く現実味を感じなかったのだ。


この超絶的な主君ディーイーに匹敵する境地の存在は、恐らく存在しないだろう。

それを踏まえるとまつろわぬ一族の女王は、どれ程の"格"なのか気になる所だ。


いや…正直に言えばクラーウィスを如何に扱うのか、ティミドの中で興味があった。

国と呼べる物が無く、有るのは村民が400人程の集団でしかない。

その様な名ばかりの女王が、主君と同格になれる訳が無いのだから。


『まぁ良くて永劫の騎士(アイオーン・エクェス)と同等と言ったところかな…』

それでも主君は優し過ぎるので、建前だけなら同格の立場を提示するかも知れない。


後はクラーウィスが身の程を弁えるか否かだ。

仮に増長するならば、それ相応の釘を刺さねば為らない事となる。



臣下の思惑など知ってか知らずか、ディーイーは「おっ!」と声を漏らした。



「ど、どうかなさいましたか?」



ティミドと問いに、ディーイーはニヤリと笑みを浮かべて答えた。

「この辺りの魔力濃度が高かっただろ。何らかの魔力発生源が有ると思っていたが、その所在が分かったぞ」



何だか嫌な予感がするティミド。

「左様ですか。ひょっとして…それを確認されに行くおつもりで?」



「うん。多分だが服わぬ一族の箱舟かもな。あっちは隠したがってるけど、こちらが勝手に見つけちゃったら仕方ないだろう?」



「た、確かにそうですけど…後で揉めたりしませんか?」



「その時はその時だ。さぁ食事を済ませたら、魔力発生源に向かうぞ!」



本来なら意気揚々になった主君を喜ぶべきだ。

しかし、これが何かの引き金になる可能性もある。

そう思うと折角の食事も、ティミドは喉を通らないのであった。

『はぁ……胃が痛い』



楽しんで頂けたでしょうか?


もし面白いと感じられましたら、↓↓↓の方で☆☆☆☆☆評価が出来ますので、良かったら評価お願いします。


続きが読みたいと思えましたら、是非ともブックマークして頂ければ幸いです。


また初見の読者様で興味が惹かれましたら、良ければ各章のプロローグも読んで貰いたいです。


なろう作家は読者様の評価、感想、レビュー、ブックマークで成り立っており、して頂ければ非常に励みになります・・・今後とも宜しくお願いします。


〜「封印されし魔王は隠遁を望む」作者・おにくもんでした〜

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