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封印されし魔王は隠遁を望む  作者: おにくもん
第九章・北方四神伝・II
1745/1764

1621話・クラーウィスとディーイー(3)

「この山岳地帯の何処か……いや、この村の近くに箱舟を隠しているな?」



そんな事を急にディーイーから問われ、クラーウィスは表情を一変させてしまう。

「…!!」

そして直ぐ顔に出した事を後悔した。

『うぅぅ…これじゃぁ肯定してるのと一緒だわ』



「フフッ…やっぱりそうか。まぁ話したくないなら別に構わないよ」



「え?! 良いの?」



「うん。君も無理な協調を強いらないと言っただろ。だからお互い様だよ」



二人の遣り取りに焦れたのか、リキが頭を掻きながら言った。

「ご歓談のところ悪いんだがな、結局どうするんだよ?」



「ん? あぁ〜〜船に戻るかどうかだったか」

ディーイーは少し思案してから答えた。

「……一旦船に戻るか。カルボーが待ってるだろうし、何より狂飆の守護者(スィエラ)の報告も吟味したいしな」



「そうか…じゃあ俺も船に戻らなきゃな」

そう言った直後に、リキは悲鳴を上げる羽目となる。

「ぐわぁ!?!」

クラーウィスが思いっきりリキの尻を蹴飛ばしたのだ。



「何いってるの!! 帰ってきて早々に妻を放置するなんて、馬鹿なんじゃない?」



クラーウィスに怒鳴られ、いつも以上にシュン…となるリキ。

「うぅ…蹴るなんて酷い……」

しかも蹴られた勢いで四つん這いになり、非常に情けない。



「フフフッ…ならリキさんはクラーウィス嬢と居れば良いよ。用事や話が有れば迎えに行くしな」



こうして一時間ほど休憩したディーイー達は、リキとクラーウィスを残して次元潜航艇に戻るのだった。






 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※






「何と言うか…嵐のように来て去って行ったわね」

クラーウィスは山小屋の窓から空を眺めて、少し呆れた様子で呟いた。


先程、ディーイー達は得体の知れない何かに運ばれ、上空に待機している次元潜航艇へと戻って行ったところだ。

それが余りに奇異的で、驚きを通り越して呆れていたのである。

『人が飛んでるのを初めて見たわ…』


制限が解除され、自分も魔術が使えれば飛ぶ事も可能だろう。

しかしながら一人では無く、同時に3人を飛ばすなど幾ら魔術師でも出来はしない。

『やっぱりディーイーさんは規格外過ぎる』



「俺は他に凄いのを幾つも見てるからよ、今更驚く事は少ないがな。でもよ、あれで万全じゃねぇんだから、未だに信じられねぇわ」

などと、こちらも半ば呆れながら返すリキ。



「なら万全な時は、どれくらい凄いの?」

クラーウィスは物凄く興味が惹かれる。


ディーイーの武技は勿論のこと凄いが、その戦いに対しての覚悟が自分と全く違っていた。

それだけでも驚嘆に値するのだが、そこへ更に"凄いの"が有ると言うなら是非とも見てみたい。

それが駄目なら、せめて詳しい話を聞きたいと思ったのだ。



リキはベッドに腰掛けると、記憶を探る様に視線を泳がせた。

「う〜ん………」



「何? 言えないの?」



「いや…何をどう話せば良いか迷ってな」



相変わらず要領が悪いリキに、クラーウィスは溜息が出てしまう。

『見た事を言うだけで良いのに…』

「じゃあ、ディーイーさんの一撃の強さは?」



これには直ぐ答えを返すリキ。

「素手で巨岩を粉砕するぞ」



「え……あの白くて細い腕と拳で?!」

クラーウィスは耳を疑った。



「あぁ……俺も目ん玉が飛び出るかと思った」



『どう言う原理なの…?!』

理解が及ばず困惑するクラーウィス。

例え自分が鉄槌を持っていても、巨岩の外側を欠かすのが精一杯だ。

なのに粉砕とは、とても人間業とは思えなかった。



「ディーイーさんに少し聞いた話だと、螺旋の力を利用するらしい。一応は理屈も教えて貰ったけどよ…ちんぷんかんぷんだ、ぶはは」



豪快に自嘲するリキに、今回ばかりはクラーウィスも頭を抱えた。

『もうっ…肝心な所が分からないと意味無いじゃん!』


それでも"螺旋"が分析への良い鍵となる。

『螺旋……私に受け継がれた情報だと……』

2つの異なる力を螺旋状に束ね、それを出力する技法だった。


その中で最も基本的と言われるのが、自身と地面との反発を利用した大地の力と、体内で練り上げた”気”との螺旋だ。

と言っても尋常でない程に難しく、最も基本的にも拘わらず只の達人程度では実戦で使いこなせない。

かく言う自分も未修得な状態なのである。


だが1つ疑問が湧く。

この螺旋を使いこなせても、問題の攻撃手段が軟弱だと意味がない。

要するに幾ら攻撃が強くても、それを放つ為の拳が”常人のそれ”では、放った瞬間に自分の拳を砕いてしまうからだ。

否…拳だけでなく、腕までもを粉砕骨折させてしまうに違いない。


『え…?! じゃぁ…あんな弱そうな体が鋼鉄みたいに強靭なの?!』

「ね、ねぇリキ! ディーイーさんって体が無茶苦茶に頑丈なの?」



クラーウィスの問いに、リキは鼻で笑って答えた。

「フッ! そんな訳無いだろ。クラーウィスも見た通りに体力も無くて、物凄い虚弱体質だぞ」



「…??? なら、どうして素手で巨岩を砕くのよ?」



「そんなもん俺が知りてぇよ!」



「えぇぇ?!」

『こいつ役に立たない……』

どうも要領を得ず、クラーウィスは色々と落胆する羽目になる。



あからさまに落ち込む養女…もとい幼妻に、

「まぁそう落ち込むなよ…折角、俺が帰って来たんだし、パ~っと明るくいこうぜ」

などと空気を読まない発言をするリキ。



「何が明るくよ!! あんたが役に立たないから落ち込んでるんでしょ!! この唐変木!!!」



「えぇぇぇ?!!?」

結果リキは、クラーウィス以上に落胆する羽目になるのであった。



楽しんで頂けたでしょうか?


もし面白いと感じられましたら、↓↓↓の方で☆☆☆☆☆評価が出来ますので、良かったら評価お願いします。


続きが読みたいと思えましたら、是非ともブックマークして頂ければ幸いです。


また初見の読者様で興味が惹かれましたら、良ければ各章のプロローグも読んで貰いたいです。


なろう作家は読者様の評価、感想、レビュー、ブックマークで成り立っており、して頂ければ非常に励みになります・・・今後とも宜しくお願いします。


〜「封印されし魔王は隠遁を望む」作者・おにくもんでした〜

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