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封印されし魔王は隠遁を望む  作者: おにくもん
第九章・北方四神伝・II
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1619話・クラーウィスとディーイー

「え~っと……今の私の国を知っても、私を裏切らないと言えるんだな?」



念を押すようなディーイーの問いに、クラーウィスは頷いた。

「うん、裏切るなんて有り得ないよ。こんなお人好しの治める国だものね!」



「お人好しって……」

ある程度の自覚が有るだけに、ディーイーは否定できない。



「兎に角、私は世界の均衡を保つために、ディーイーさんの協力が必要なの。例を挙げるなら生活的な支援から武力的な事まで…まぁ差し当たっては相当に依存する事になるけど」

そう告げるクラーウィスの言葉の後半は、少し申し訳なさを含んでいた。



「成程…支援か。それは可能な限りさせて貰おう。それでだが…現状の明確な目的は無いのか?」



「明確な目的?」

首を傾げるクラーウィス。



「君達は世界の均衡を保つまつろわぬ一族なんだろ? なら現状で危惧している情勢や、危険視している国とかは無いのかね?」



「あ……そう言う事か。う~ん……実は北方諸国の国家体制に疑問が有るの。これはスキア神やオスクロ神も同じ考えで、是正しようとする意見が数百年以上も前から挙がってるわ」



クラーウィス以上に首を傾げるディーイー。

「んんん?! 数百年以上も前から危惧してるのに、何も手出し出来なかったと?」



するとクラーウィスは少し落胆した様子で答えた。

「うん……当然そう思うよね。でも私達は1000年近くも停滞を余儀なくされたの。それはどうしようも無かったわ」



ここでディーイーはピンときた。

「ひょっとして北方を変える程の協力者…或いは国家が出現しなかったのか?」


南方の強国であるリヒトゲーニウスは既に守り人一族を擁し、魔法文明力が桁違いな魔導院は鎖国状態。

加えて最も近い距離にある東方諸国も、その強大な力を持つ女王に因って殆ど鎖国状態だった。

そんな状況で”国”を持たぬ一族が、神獣が治める”連合国家”に太刀打ち出来る訳も無いのだ。



「うん…ディーイーさんの言う通りだよ」

しょんぼりと肯定するクラーウィス。



「そ、そうか……」

『これは失敗したやもな…』

ここに来てディーイーは後悔し始める。


自分の出現で”どうにか出来る”と思われてい居るのが不味い。

これは詰まり自分の力を利用して、北方を壊そうとしているに他ならないからだ。

当然にディーイー自身は北方との戦争など望んでいないし、何らかの政治的工作もしたくない。

『う~む……只、昔の仲間を探しに来ただけなのだが…』



それを察したのか、クラーウィスは申し訳無さそうに言った。

「飽く迄も協調だから…ディーイーさんの嫌がる事は強要しないよ。お互いに納得する所で協調出来ればと思ってるから」



『フッ…察しの良い子だな』

「なら北方に対して如何に動きたいのだ?」



「そうねぇ~~私としては歪んだ北方の仕組みを変えたいわね」



そのクラーウィスの返答に、ディーイーは怪訝そうに返す。

「北方に拘るのは良いが、似た様な…いや、もっと危険な相手は居ると思うが?」



今度はクラーウィスが眉をひそめて問い返す。

「どう言う意味?」



「混沌の森…その内郭だよ。君達が知らないとは言わせないぞ」



ディーイーの言葉は、居合わせたリキとシンをも怪訝とさせる。

『混沌の森…? あれは人為的な物なのか?』

『混沌の森に”内郭”?!』



クラーウィスは溜息をついた。

「はぁ……本当にディーイーさんは底が知れないわね。まさか内郭トエイソの事まで知っているなんて驚きだよ」



「で、どうなの? 服わぬ一族の女王として、混沌の森の内郭トエイソを無視出来ないのでは?」



ディーイーに追求され、クラーウィスは少し沈黙した後に答えた。

「………そうね。でも混沌の森自体が、この大陸に在って隔絶した存在だわ。だから無理に手出しする必要は無いと思う」



「"今"は実害が無い以上、敵視する対象に為らない訳だな?」



「うん…そんな感じ。それで話を戻すけど、北方を変える為に力を貸してくれる?」

世界の根幹に迫る話をしたのに、「触れたく無い」と言わんばかりにクラーウィスは話を変えた。



明らかに不自然であり、何かを隠しているのは確かだ。

それでもディーイーは敢えて追求する事を避けた。

何故なら元々の話から逸れてしまうからである。

『まぁ追い追い聞き出せば良いか…』

「勿論、協調すると言ったのだから、可能な範囲で力を貸したい。だがなぁ…基本的に私は他国の政治体制を尊重する考えなんだよ」



回りくどいディーイーの言い様に、僅かだが困惑した様子を見せるクラーウィス。

「え〜と……要するに他国を侵略しないし、不用意な干渉もしたくないって事?」



「侵略なんて絶対に嫌だな。戦争ほどに人的資源の無為な浪費は無いからね」



「……」

クラーウィスは呆気に取られる。

永劫の帝国アイオーン・アフトクラトリアは武國、月の国(セレーネ…ポリス)、守り人一族、東方諸国と大陸の半分近くを版図に治めるのだ。

なのに今の反応は、とても女帝のする発言とは思えなかった。


『その気になれば大陸を征服するのも可能なのに…』

ある意味で王としての気質を疑わざるを得ない。

だが裏を返せば平和主義でありながら、版図を拡大させる才に突出しているとも言える。


『太平の世の覇者…』

ふと、そんな言葉がクラーウィスの脳裏に浮かぶ。


されど有り得ない。

覇者と言うのは征服者であり、他国を侵略し全てを蹂躙する存在の称号なのだ。


仮に侵略をせずに大陸を纏め上げたなら?

『統一者…そう呼ぶのが相応しいかも知れないわね』

そんな事など、きっと夢物語だ。

それでも期待を抱いてしまう。


ディーイー……聖女皇プリームは自分の受け継ぐ記憶の中で、最も稀有な存在なのだから。



楽しんで頂けたでしょうか?


もし面白いと感じられましたら、↓↓↓の方で☆☆☆☆☆評価が出来ますので、良かったら評価お願いします。


続きが読みたいと思えましたら、是非ともブックマークして頂ければ幸いです。


また初見の読者様で興味が惹かれましたら、良ければ各章のプロローグも読んで貰いたいです。


なろう作家は読者様の評価、感想、レビュー、ブックマークで成り立っており、して頂ければ非常に励みになります・・・今後とも宜しくお願いします。


〜「封印されし魔王は隠遁を望む」作者・おにくもんでした〜

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