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封印されし魔王は隠遁を望む  作者: おにくもん
第九章・北方四神伝・II
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1611話・ローレとディーイー

権力者に求めるものは"協調"だとローレは答えた。



これにディーイーは益々興味が惹かれる。

彼らまつろわぬ一族の目的は何なのか?

この様な辺境の山奥に隠れ住む理由は?



「随分と興味が惹かれたようですね」



ローレに指摘され、両手で頬を押さえるディーイー。

「えっ?! あ……顔に出てた?」



「フフッ…正直なのは良い事かと」

微笑むローレだが、少し寂しくも感じた。

裏を返せば駆け引きをする必要が無い、或いは此処で決裂しても良い…そう思われているとも言えるからだ。


どちらにしろ、面倒事など余程の利が無ければ関わらない。

きっと拒絶されるに違いないのだ。

それでも秘密を明かしたのは、クラーウィスが持つ根幹を見抜く能力を信じたからだった。



「正直か……まぁ気が緩んでいるだけだかね」



このディーイーの返しに、ローレの胸中は諦めで満たされた。

『やはり歯牙にも掛からない存在と言う訳か…』

「我らの話をする前に、貴女様が此処へ来られた理由を伺っても?」



「ん? あぁ〜〜そうだね。え〜と…何から先に話すかな…」

ディーイーは少し頭を抱える。


リキと出会った事が起因ではあるが、そもそも一国の王がお忍びで此処まで来たのも変な話なのだ。

『う〜ん…家出して北方に来たって言うのもな』



すると見兼ねたのかリキが割って入った。

「事情は俺から話そう。ディーイーさんは俺に力を貸してくれている側だし、俺が説明するのが筋だろう」



「え? う、うん…そうリキさんが言うなら」

『大丈夫かな…』

若干の不安を抱きながらも頷くディーイー。

正直、順を追って正しく説明出来るか心配で為らない。



だがリキの説明は端的で、意外に要領が良かった。

ディーイーとの偶然の出会い、南門省の迷宮での一件、その迷宮で自分が迷宮の氾濫(ホンスウィ)を起こす予定だった事。

しかしリキは迷宮の氾濫(ホンスウィ)を起こさず、ディーイーに助けを求めた事を告げた。



此処まで聞いたローレは感慨深そうに唸った後、核心に触れる問いをした。

迷宮の氾濫(ホンスウィ)を起こせば四方京は壊滅した筈。どうしてそんな事をしようとしたのだ?」



「それは…俺が東陽省の都督に弱みを握られていたからだ」

と苦渋の表情を浮かべ答えるリキ。



「弱み…?」



「……」

リキは俯き、つい口をつぐんでしまう。



答えあぐねるリキを見て、シンが代わりに答えた。

「話しに割って入る事をお許し下さい。実は東陽省の都督から、故郷の村を滅ぼすと脅されていました。それで迷宮の氾濫(ホンスウィ)を起こす都督けらの依頼を、リキさんは受けざるを得なかったのです」



ローレは目を見張ると、深い溜息をついて言った。

「はぁ……まさか…そんな苦境に在ろうとは」

リキに対して、申し訳ない気持ちで一杯になる。


元は貧しい故郷の村の為にと、山を降りリキは出稼ぎに出ていたのだ。

そうして著名な傭兵となったリキのお陰で、少しではあるが年々村の生活は楽になっていった。


されど下界に深く関われば、それだけ予測し得ない問題に巻き込まれる。

『それを分かっていた筈なのに…儂は……』

目先の欲に囚われ、リキを苦境に立たせてしまった。

一族の長として恥ずべき失態と言えた。



自責の念に駆られる老人へ、ディーイーは然も大した事の無いように告げる。

「まぁ結果的に迷宮の氾濫(ホンスウィ)は起きなかった…リキさんが私に打ち明けたからね。序でに迷宮自体もその機能を失ったし、後は東陽省の都督を処理するだけなのよね」



「え……?」

意味が分からず聞き返すローレ。



「だから四方京の迷宮は、私が殆ど崩壊させたから迷宮の氾濫(ホンスウィ)自体が起きないし"起こせない"の」



「ほ、崩壊…ですか?」

再度、ローレは聞き返した。



「何と言うか…ちょっと規模の大きい魔法を使っちゃってね。迷宮の中層から下は無くなったも同然なのよ。だから心配しなくて良いわよ」

やり過ぎな結果に、ディーイー自身も申し訳無さを感じていた。

正しくは自分の別人格がした事だが、他者からすれば知った事では無いなだから。



「あ、貴女様は…一体……」

"何者なのか?"…そう問い掛けてローレは一旦飲み込んだ。


高位の存在に、それを問う事自体が不敬に当たるのだ。

故に地位の高い者は着飾り、その権威をあからさまに示す…察して敬えと言わんばかりに。


しかし目の前の仮面の少女は、それらと隔絶しているようにも見える。

確かに上等な旗包を着ているが、何処ぞの貴族の如く装身具まみれでは無い。

どちらかと言えば簡素で、とても王とは思えなかった。


それでも仕草の端々からは、その隠しきれない品の良さが窺える。

何より実に鷹揚で、自然とその雰囲気に飲み込まれてしまう。



そうするとティミドが、妙に誇らしげな様子で言った。

「ディーイー様…いえ、プリームス聖女皇陛下は武力も魔力も極地に在るのです。それを実証するように配下には剣聖や剣匠…それに狂気の魔法医師(ルナメディクス)が在籍しています」



『何でティミドが自慢げなのよ…』

恥ずかしくなるディーイー。


武勇伝や自慢話は、得てして他者に滑稽に映るものだ。

だからこそ自分では恥ずかしくて言える筈も無い。

しかしながら他者が勝手に喋るのを、予測して止めるなど至難の業である。

『うぅ…油断していた…』



「剣聖?! 剣匠?! 狂気の魔法医師(ルナメディクス)?!!」

流石は高名?な3名だけに知っていたのか、随分と驚いた声をローレは上げた。



「今や永劫の帝国アイオーン・アフトクラトリアは東方諸国や武國をも傘下に置いた、その名の通り帝国なのです。ですから我らにくみすれば、何もかもが円滑に進むでしょう」



「……」

驚き過ぎたのか、完全に固まってしまうローレ。



だが、このティミドの言い様は主君を差し置いた言葉となる。

何故なら"与すれば"は、相手を引き入れる前提の言い様で、そんな事を一言もディーイーは言っていないからであった。



楽しんで頂けたでしょうか?


もし面白いと感じられましたら、↓↓↓の方で☆☆☆☆☆評価が出来ますので、良かったら評価お願いします。


続きが読みたいと思えましたら、是非ともブックマークして頂ければ幸いです。


また初見の読者様で興味が惹かれましたら、良ければ各章のプロローグも読んで貰いたいです。


なろう作家は読者様の評価、感想、レビュー、ブックマークで成り立っており、して頂ければ非常に励みになります・・・今後とも宜しくお願いします。


〜「封印されし魔王は隠遁を望む」作者・おにくもんでした〜

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