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封印されし魔王は隠遁を望む  作者: おにくもん
第九章・北方四神伝・II
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1608話・辺境の名も無き村

「リキ?!」

木陰の中に居た何者かが、リキを見て声を上げた。



これにリキは、何故か気不味そうな顔をする。

「…!」



当然、居合わせたディーイーは怪訝さを覚えた。

『んん? 折角帰って来たのに、会いたく無い相手なのか?』

声からして少女のようだが、そんな相手に気不味くなるのは益々持って変に感じた。



同じ思いだったのか、ディーイーを抱えていたティミドが眉をひそめた。

「リキさん…呼ばれてますよ」

気不味いのに敢えて言うとは、中々に意地悪である。



「お、おぅ…」

リキは仕方無さそうに歩を進めた。



すると木陰から少女が飛び出して来て、憚る事なくリキに抱き付いたのだった。



『ほほう…』

内心で感嘆するディーイー。

その少女が実に美形だったからだ。


北方人特有の黒髪では無く、珍しい赤銅色の長髪、身長はディーイーと大差なさそうに見える。

そして愛らしい顔は幼さが残るが、その体付きは女性の”それ”であり、男を誘惑するに十分な素質が窺えた。


『瞳の色も薄っすらと赤いか。これは…』

生まれつき特定の魔力に適性がある証拠だ。



その少女はリキに正面から抱き着いついて言った。

「どれだけ待たせるの! もう半年も前に成人しちゃったよ!!」



対してリキは圧倒されっぱなしの様子。

「う……そ、そうか。すまなかった…」



シンが空気を読まずに尋ねた。

「リキさん…そちらのお嬢さんは?」



「え? あ……こいつは俺の身内で……その……」

何とも歯切れの悪いリキ。



「私はクラーウィスよ」

と答えた少女は怪訝そうにシンを見つめ、その次にティミドとディーイーを見やった。

「って…女の人ばっかり!」

そしてディーイーの容姿をガン見して、当然固まる羽目に。



「あ……こりゃいかん」

慌てて収納魔導具から仮面を取り出し、ディーイーは身に付けた。


時は既に遅しだが、これから村長に会うので被害は抑えなければ為らない。

と言うか、未だに自分の容姿を見て茫然自失するのは、何とも納得がいかない。

『やれやれ…面倒この上ないな』



こうしてリキは自失したクラーウィスを抱え、ディーイー達を村長の元へ案内する事になった。

その間、やはりリキは気不味そうにしたままだ。



これにディーイーが突っ込まない訳が無い。

「リキさん! どうせ後でバレるんだから言ってしまえ。さっきから気不味そうにしてるのは、その子が原因なんだろ?」



「う…!」

と声を漏らして立ち止まると、リキは諦めた様子で話し始めた。

「はぁ……そうだな、隠していても仕方ないよな。このクラーウィスは俺が10年前に引き取った養女なんだ。それで成人したら…」



言い淀むリキへ、容赦無く尋ねるディーイー。

「成人したら?」



「結婚する事になってるんだよ…」



「ほぅ…これはこれは」



ディーイーに意味深な返しをされ、リキは顔が真っ赤になった。

『うぅぅ…10歳も離れてて、絶対に変態オヤジだと思われてるよな』



「で、式はいつ挙げるんだ?」



特に突っ込みも無くディーイーに問われ、リキは困惑する。

「え……あ…そ、そうだな、落ち着いたらかな」



そうするとリキに担がれていたクラーウィスが、急に正気を取り戻して怒鳴った。

「リキ!! 私が15になったら結婚するって言ったじゃん!! それに直ぐ村を出るつもりでしょ! 私も付いて行くからね!!!」



捲し立てられてドン引きのリキ。

「えぇぇ…?!」



そこにシンが割って入った。

「兎に角、立ち話も何ですし、落ち着ける場所へ移動しませんか?」



「お、おう…」

リキは担いでいたクラーウィスを下ろすと、トボトボと歩き出す。

その姿は今までに無く情けなさと哀愁が漂っていた。



そんなリキを他所に、クラーウィスは興味深そうにディーイーへ近付く。

「あれ? 貴女…仮面付けちゃったの? と言うか、何で抱っこされてるのよ?」



『フフッ…この娘は物怖じしないのだな』

「ティミド、降ろしてくれ」



「あ…はい」



ディーイーはクラーウィスの真正面に立った。

『肉体的には私と同じ年齢か。でも…』

この娘に妙な違和感を感じ、それが興味へと変化した。

「私はディーイー。傭兵団・眠りの森の団長をしている。私を抱えていたのが仲間のティミドに…」



シンが透かさず名乗った。

「シンです。因みにリキさんも眠りの森の団員ですよ」



「へぇ〜〜そうなんだ。私と変わらない歳ぽいのに、傭兵団の団長って凄いね。それと何で仮面付けてるの?」



ディーイーはリキの後を追いながら答えた。

「先ずは最初の問いだが…私は体が弱くてね、ここまで来るのに体力を使い過ぎたんだよ」



「あ〜〜確かに外から来る人で、この村まで自力で来れた人は居ないね。でもそんなヒラヒラした格好で良く登ってこれたねぇ」



「うん? 変かい?」



クラーウィスは首を横に振った。

「ううん…凄く似合ってる。でも登山には向いてないよね」

そう返した彼女の格好は、少し大きめの繋ぎ服だ。

暑いのか袖を捲り、胸元も大きく開いていて、たわわな谷間が目を引いた。



『おおぅ! 美少女な上に育ちも良いじゃないか』

「ハハハッ…ハッキリと言う子だな。で、2つ目の問いだが、君が実体験したから分かるんじゃないかな?」



「………うん。別嬪過ぎて魂が抜けるかと思った。だから顔を隠したんだね?」



「そんな所だ。これから村長と話をしようと思っていたしな、私を見て茫然自失になられても困るからね」



「ふ〜ん…」

何か含む様な表情を浮かべたクラーウィスは、ディーイーの前に出ると器用に後ろ歩きを始めた。

丁度お互いに見合っている体勢だ。



『この娘…面白いな』

「危ないよ?」



「大丈夫! 目を瞑っても歩けるから。それよりも色々話を聞かせて欲しいんだけど」

などと言い出すクラーウィス。



その振る舞いは良く言えば人懐っこい、悪く言えば馴れ馴れしい。

故にティミドが苛立たない訳が無かった。

「クラーウィスさん…初対面の相手に少し無礼では有りませんか?」



楽しんで頂けたでしょうか?


もし面白いと感じられましたら、↓↓↓の方で☆☆☆☆☆評価が出来ますので、良かったら評価お願いします。


続きが読みたいと思えましたら、是非ともブックマークして頂ければ幸いです。


また初見の読者様で興味が惹かれましたら、良ければ各章のプロローグも読んで貰いたいです。


なろう作家は読者様の評価、感想、レビュー、ブックマークで成り立っており、して頂ければ非常に励みになります・・・今後とも宜しくお願いします。


〜「封印されし魔王は隠遁を望む」作者・おにくもんでした〜

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