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封印されし魔王は隠遁を望む  作者: おにくもん
第九章・北方四神伝・II
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1607話・権威者の如何

一時間近く山道を歩き、漸く村の入り口に到着したディーイー達。


完全にバテてしまったディーイーは屈み込み、今更ながらに後悔していた。

『うぅぅ…こんな事なら狂飆の守護者(スィエラ)で直行すれば良かった』



すると今の今までに姿を見せなかった人造精霊ペタルダが、ディーイーの耳元に姿を現して囁いた。

「ディーイー様…無理はお控え下さい。万全であっても何が起こるか分かりませんし」


このペタルダはカルボーシリーズと違い、ディーイーの体調観察の為に随行している存在だ。

その情報をメディ.ロギオスに送り、ディーイーが患う魔力核の治療に役立てるのである。

当然、症状の悪化を防ぐ為に、ディーイーへ注意を促すのもペタルダの仕事なのだった。



「分かってるよ」

『急に出て来たと思えば小言かよ…うるさい奴だな』



ディーイーの内心を見透かしたように、透かさず指摘するペタルダ。

「今、うるさいとか面倒とか思ったのでは?」



「うぐっ……と、兎に角、留意するからガミガミ言わんでくれ」



「左様ですか」

するとペタルダは溜息をつくと、スゥ〜っと姿を消した。

と言っても見えなくなっただけで、きっとディーイーの体にへばり付いている筈だ。



「ディーイー様…大丈夫ですか?」

心配そうに手を差し出すティミド。



「あ、あぁ…どこかで一休みしたい所だな」

その手をディーイーが取ると、一瞬でティミドに抱えられてしまう。

「え?! ちょっ!!」



「無礼を承知で強行させて頂きます。お叱りは後ほど甘んじて受けますので…」

お姫様抱っこしながら涼しい顔でティミドは告げた。



「うん…何だかゴメン……」

しゅん…となるディーイー。

『これでは本末転倒だな』


元々はお忍び…もとい家出?で始まった北方への旅。

そこへティミド達を巻き込んでしまった。

だからこそ軟弱な自分の世話までさせなくは無かったのだ。

なのにこれでは目も当てられない。



そうするとティミドは何か察したのか、優しげに微笑みながら言った。

「ディーイー様は私の主君なのです。ですから面倒な事は何でも押し付けて下さい」



「う〜ん…そう言われてもな。それは私の嫌いな権威者の思考だしな…」



「だから何でもご自身で抱えると? それで私達が納得するとでも?」



「ウッ……」

言い返せないディーイー。



「既にディーイー様は良い意味でも悪い意味でも、凡ゆる権威者等と隔絶しているのです。何より永劫の帝国アイオーン・アフトクラトリアはディーイー様の為に存在していますし、何でもかんでも抱えられては私達の立つ瀬が有りませんよ」



『ほんと、身内には弱ぇんだな…』

懇々(こんこん)と説教をするティミドを、少し離れた位置から見ていたリキは意外に感じた。


恐らく人類最強かと思えるディーイー相手に、そんな事が可能なのは殆ど居ない筈なのだ。

それだけ主君を大切に思っているのも然る事乍ら、寛容なディーイーの為人も相まっているのだろう。



二人を無言で見つめるリキに、シンが不思議そうに尋ねた。

「どうかしましたか? リキさんにしては複雑そうな表情ですが」



「おいおい…それじゃぁよ、いつもの俺が何も考えてない馬鹿みたいじゃねぇか」



「違うのですか?」



「いや……まぁ考えるのは苦手だがよ…」



「フフッ…それで何を考えていたのです?」



「ん? あ〜〜ディーイーさんは威圧的な所が無いと思ってな。とても主君と臣下の雰囲気じゃ無いだろ?」



リキの返答に、シンは当の二人を見て頷いた。

「はい、確かにそうですね」



「なんて言うか…王様らしく無い。それでも畏敬の念を抱いちまう。本当に不思議な人だよな」

ディーイーのような人間が龍国の王だったなら…などとリキは思わずには居られない。


永劫の帝国アイオーン・アフトクラトリアの国民が羨ましいな…』

きっと辺境だからと差別されず、今よりずっと幸福な環境だったに違い無いのだら。



「これは飽く迄も私見ですが…ディーイー様が持つ権威は、その実力に裏打ちされた物だからでは? ですから威圧する必要が無く、他者は自然と畏敬を抱くのでしょうね」



「そうだな…シンさんの言う通りだ」

頷くリキ。


加えて絶世の美貌を持つのだから、正に完璧超人と言える。

だがその容姿や実力に反して、どうしてか非常に人間臭い。

故に近寄り難さを緩め、親しみ易ささえ感じさせる。



「何を二人でヒソヒソと話してるんだ? 早く村長の家まで案内してよ」



ディーイーの要求にリキは首を傾げた。

「え? 村長? 何でだ?」



「何でって…承諾無しに村人全員を移送出来ないよ。それに取り敢えずは村長に訳を話して、そこから全員へ話を通して貰う方が楽でしょ」



「あ……そうか。すまんすまん、直ぐに村長の家まで案内するぞ」



「はぁ…流石は脳筋だな、」

と愚痴りながら、ディーイーは何気無く先を見つめた。

『おおぅ…村の中も急斜面かよ』


山の中腹に在る村なので、普通に考えれば急斜面が多いのは当然だ。

対してディーイーは裾野だと思い込んでいただけに、その落胆具合は大きい。


『これじゃあ気軽に散歩も難しいな…』

そう思っていると、村中に続く道の先に人影が見えた。

少し遠目なので確かでは無いが、小柄なので女性か子供かも知れない。



すると、その小柄な影が声を上げた。

「リキ!?」



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