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封印されし魔王は隠遁を望む  作者: おにくもん
第九章・北方四神伝・II
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1606話・東陽省の都督と裏切り者

何故か重い足取りで歩き出すリキ。

と言ってもディーイーにしか分からないであろう、ほんの僅かな変化だった。



『んんん? 何だ~? 村に案内するのが嫌なのか?』

ディーイーの胸中は妙な不信感で一杯になる。

勿論、仲間としての不振では無く、個人的?に何か隠しているような気がしたのだ。

『まぁ良いか…村に着けば分かるだろうし』



こうしてディーイー達は、シンの話を聞きながら村へ向かう経路を進んだ。



「リキさんの話では東陽省の都督に脅されて、南門省で活動していたのですよね?」



シンの問いに、リキは振り返らずに頷く。

「あぁ……四方京に在る迷宮を氾濫ホンスウィさせるのが俺の任務だった」



「そして、その東陽省の都督は亀国の工作員と繋がっている…で間違い無いですね?」



「おう……」

と気不味そうに返した。



「ここからは私が仕えていたロン家の話になりますが、ロン領督の領督妃…もとい裏切り者のペイバンも亀国と繋がっています。ですからベイパンが東陽省に渡った可能性が高いかと」



「成程。上手く行けば亀国の工作員と東陽の都督、それにペイバンも一掃出来る…そうシンさんは言いたいのですね?」



要約したティミドの問いに頷くシン。

「はい。飽く迄も可能性ですし、私には如何にするか決定権は有りません。なので参考にして頂ければと…」



『おいおい…何気に圧力を掛けてくるな』

ディーイーは苦笑いしてしまう。


今考えるとベイパンの裏切りに関して、自分は特に何かを言った覚えは無かった。

明確に告げたのは、ガリーとリキが抱える問題解決への助力のみだ。

故にシンは焦ったのかも知れない。


『普通に頼んでくれれば、幾らでも手を貸すのにね…』

しかしハクメイの侍女と言う立場だけに、シンは主人を差し置いて頼めなかったのだろう。


もはや登山道と言わんばかりの斜面…それをディーイーは軽々と登りながら言った。

「この際だから東陽省の都督も潰しておこうか。上手くすればベイパンと工作員も捕縛出来るかもだし」



言質を得たシンは、柄にも無く飛び跳ねそうになるが、寸前で我慢して頭を下げた。

「ご配慮痛み入ります」

『良かった…』



これに先頭を歩くリキが慌てる。

「ちょっ??! 本気でレン-ツアン都督を殺るつもりか?!」



「ふ〜ん…東陽省の都督はレン-ツアンと言うのか」



「名前なんてどうでもいい! レン-ツアンは龍王派な上、亀国にも繋がってるんだぞ! 奴に何か有ったら、この両者が確実に動いて厄介事になるのは分かるだろ?」

リキは振り返ると、完全に足を止めてディーイーを説得しようとする始末。



対してディーイーは頭を抱えて溜息が出てしまう。

「はぁ……そんな事は言われるまでも無い。それに殺すなんて一言も言ってないぞ」



「え……? 違うのか?!」



「潰すとは言ったが、それは殺める事じゃない。レン-ツアンとやらをさらって、そ奴の画策を根こそぎ頓挫させれば良い」



「攫うって…その後は具体的にどうするんだよ?」



リキの背中を押して先導を促すと、ニヤリと笑みを浮かべて告げるディーイー。

「そんなの決まってるでしょ。言う事を聞かない場合の損失と、聞いた場合の利益を教え込むんだよ」



「そ、そうか…成程……」

リキはゾッとした。


そもそも今の領督を倒した所で、別の領督にげ替わるだけなのだ。

故にディーイーはレン-ツアンをそのまま利用する事を考えたのだろう。

そしてレン-ツアンが素直に従わねば損失だけで無く、心身共に想像を絶する苦痛を味わうに違いない。



こうして殆ど道とは言えない斜面を上り、50分程が経過した。



「うぅ…流石に足腰に来るな」

と言いながら腰をトントンと叩くディーイー。


この程度の斜面を登るなど、極地に至った身体操作の前では散歩にもならない。

だがそれは"本来の体"ならの話だ。


今のディーイーの体は全く鍛えられていない、15歳の少女のそれに等しい。

加えて暇さえあれば、ゴロゴロと怠惰な生活を送る今日この頃。

そんな怠けた体で過酷な登山が出来る訳もないのだった。



「ディーイー様、宜しければ私の背にお乗り下さい」

見兼ねたティミドがソッと囁いた。



「いや、大丈夫だ。これくらいで背負われるなんて恥ずかしいよ…」

などと返しつつもディーイーの息は上がっている。

最初の軽快な足取りは見る影も無い。



「左様ですか…」

そう主君が言うなら、引き下がるを得ないティミド。


そして思う…やはり技術だけでは体力を補えないのか…と。

例えるならディーイーは鋭過ぎる刃に似ている。

確かに鋭ければ何でも切断出来るだろうが、鋭いだけに耐久度が低く、無理矢理な使用は刃こぼれを起こす。

下手をすれば刀身を折り兼ねないだろう。


だからこそ、ここぞと言う場面で刃を振るうべきなのだ。

また小まめな手入れも怠っては為らない。

『よしっ! 限界が来る前に、強引にでもディーイー様を背負わないとね!』



そんなティミドの思惑など知らず、ディーイーは半ばフラフラになりながらリキの後に続く。



流石に心配になるリキ。

「ディーイーさん、もう少しで村に着く。辛いなら直ぐにでも抱えてやるぞ?」



「あ…い、いや、大丈夫だ」

とディーイーが答える前に、透かさずティミドが割って入った。

「リキさん、何度も言わせないで下さい! ディーイー様のお世話は私の役なのです!!」



「うぅ…す、すまん」

『気遣っただけなのによぅ…』

色々と無下にされて凹むリキ。

しかし、それ以上に"色々と露見"するのが確定で、今から億劫で為らないのであった。



楽しんで頂けたでしょうか?


もし面白いと感じられましたら、↓↓↓の方で☆☆☆☆☆評価が出来ますので、良かったら評価お願いします。


続きが読みたいと思えましたら、是非ともブックマークして頂ければ幸いです。


また初見の読者様で興味が惹かれましたら、良ければ各章のプロローグも読んで貰いたいです。


なろう作家は読者様の評価、感想、レビュー、ブックマークで成り立っており、して頂ければ非常に励みになります・・・今後とも宜しくお願いします。


〜「封印されし魔王は隠遁を望む」作者・おにくもんでした〜

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